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加賀友禅作家・内嶋さつきとは？
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こちらのページでは、加賀友禅の作家・内嶋さつきについて解説します。

実力派の加賀友禅作家であり、金沢市で開催されている加賀友禅女流作品競技会では何度も賞を受賞しています。また、金沢市の伝統工芸品を紹介しているJR金沢駅の「伝統工芸品探訪」のコーナーには、内嶋さつき作の加賀友禅が展示されています。

ここでは、そんな内嶋さつきの作品や特徴などについてまとめてみました。

加賀友禅作家の手がける着物には、加賀染振興協会が発行する「伝統証紙」「加賀友禅証紙」が添えられますが、そのためには師匠について修業を積み、協会の会員による推薦を受け、落款を登録する必要があります。

内嶋さつきは本加賀友禅作家・木村州宏を師匠として学び、1995年(平成7年)に独立しています。

その後は、協会に認められた「加賀友禅技術者」として着物の制作を手がけ、現在に至るまで優れた作品を多く世に送り出しています。

そんな内嶋さつきは、加賀染振興協会が後援する加賀友禅女流作品競技会の“常連”でもあります。

「百花繚乱」をテーマにした2016年の第34回競技会では『花咲き物語』という作品で最優秀賞を獲得。また、「新時代への挑戦」がテーマとなった2019年の第37回競技会では、『風香詩』という作品で優秀賞を得ています。

内嶋さつきの手がける加賀友禅は、自然の風物、特に草花を繊細に表現しているのが特徴です。

楚々とした雰囲気を際立たせる花々は淡く描かれており、遠くから見ると、ともすれば風に吹き散らされてしまうような儚さを感じさせます。

しかし、近くで見れば緻密に描き込まれ、繊細ながらも確かな存在感をたたえていることが感じられ、見る人にみずみずしい生命感を印象づけます。

色合いは控えめでありながらも、目を凝らしてみればしたたかに咲いている……そんな力強さを感じさせるところが大きな魅力といえるでしょう。

ここでは、内嶋さつきの手がけた作品を紹介します。

訪問着『風色』

まさしく“風色”の名にふさわしい、春の日に川面をきらめかせながら吹き渡る涼風のような爽やかさを感じさせるデザイン。水色の生地に、霞のようなやや濃いクリーム色のぼかしを大胆に施したうえで、濃い藍から淡い青へと流れるような色遣いで草花を精緻に描いています。

全体に醸し出されているかろやかな雰囲気は、加賀友禅よりもむしろ京友禅に近いものを感じさせますが、決して華美には流れず楚々とした美しさを体現しているところは、やはり加賀友禅ならではといえます。
訪問着『花穂』

古代紫をさらにくすませたような渋みのある生地に、可憐な草花の文様を散りばめたデザインが印象的な訪問着です。右の袖から背を通って裾へと流れる枝花をしなやかに描き、繊細なぼかし染めで表現された淡い青や緑、黄、桃色の草花がひそやかに咲き乱れ、輝くような風情を醸し出しています。

落ち着きのある大人っぽさを演出しつつも、儚く美しい情緒を感じさせる逸品です。