- 時計
- 2025.01.23
グランドセイコーとセイコーは何が違うのか?それぞれの魅力も解説
「グランドセイコー」と「セイコー」の違いをご存知でしょうか?
一見似ているようでいて、実はそれぞれに異なる個性と魅力が宿る、この2つのブランド。どちらも日本の誇る時計ブランド「セイコー」の名を冠していますが、その成り立ちや目指すところは大きく異なります。
時計愛好家の間では常識でも、一般的には「違いがよくわからない」という声が多いのも、また事実なのです。それもそのはず。精巧な時計の世界は奥深く、細部に宿るこだわりを知ってこそ、その真価が見えてくるものなのです。
歴史・外観・価格帯といった視点から両者の違いを丁寧に紐解きながら、それぞれのブランドが持つ独自の魅力に迫ります。
この記事を読み終えたとき、きっとグランドセイコーとセイコーの違いをはっきりと感じられるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
グランドセイコーはセイコーから生まれたブランド
グランドセイコーは、もともとセイコーの上位コレクションとして誕生しました。
セイコーの時計として歴史を刻み始めたグランドセイコーが、後に独立し、1つのマニュファクチュール(自社で主要な部品を一貫製造する時計メーカーのこと)として確立されたのです。
では、グランドセイコーはどのような経緯を経て独立を果たし、マニュファクチュールブランドとしての地位を確立したのでしょうか?
ここでは、時計コレクションとしての「グランドセイコーの誕生」から、独立したマニュファクチュールブランド「グランドセイコー確立までの歴史」を、段階を追ってご紹介します。
この歴史を紐解くことで、セイコーとグランドセイコーの違いがより明確にご理解いただけるでしょう。
ぜひ、ご覧ください。
誕生と歴史
国産の最高級腕時計「グランドセイコー」の誕生
1960年、セイコーは国産の最高級腕時計として「初代グランドセイコー」を発表しました。
初代グランドセイコーは、翌年に控えた輸入腕時計の関税緩和を見据え、「スイスの高級腕時計に対抗する」という明確な目的を持って誕生したのです。
この初代グランドセイコーの登場を皮切りに、グランドセイコーはセイコーの上位コレクションとして、数々の名作を世に送り出してきました。
2004年には、セイコー独自の機構である「スプリングドライブを搭載したモデル」が登場し、グランドセイコーの技術力を世界に示すこととなります。
マニュファクチュール「グランドセイコー」の誕生
その後、グランドセイコーは2017年にセイコーから独立し、1つの独立したブランドとして新たな歴史を歩み始めます。
では、世界的に評価されつつあったグランドセイコーが、なぜセイコーから独立する必要があったのでしょうか?
セイコーは幅広い価格帯の時計を扱うブランドであり、その中で最高級の時計を追求するには限界がありました。
スイスの高級時計ブランドと肩を並べる、真に最高級の時計を生み出すためには、セイコーから独立し、より自由な環境で開発を進める必要があったのです。
独立後、グランドセイコーは世界に通用するマニュファクチュールとして、国内に1つの工房を構えました。
岩手県の「グランドセイコースタジオ 雫石」では、機械式時計を。長野県の「信州 時の匠工房」では、クオーツ式とスプリングドライブ式時計を製造し、熟練の時計職人や技術者たちが集結しています。
その結果、「SLGH005 ヘリテージコレクション 白樺」は、権威あるジュネーブ時計グランプリ 2021(GPHG2021)において、「メンズウオッチ」部門賞を受賞するという快挙を成し遂げました。
現在も、2つの工房はグランドセイコーのものづくりを支え続け、ブランドをさらなる高みへと導いています。
グランドセイコーの魅力
世界中の時計愛好家を魅了し、高い評価を受けるグランドセイコー。
その魅力は、日本の美意識に基づいた洗練されたデザインと、卓越した性能を誇るムーブメントに集約されます。
グランドセイコーは、「グランドセイコースタイル」と、その進化形である「エボリューション9スタイル」という、独自のデザイン様式を確立しているのが特徴です。
これらのスタイルは、日本人の繊細な美意識や自然観を基盤とし、光と影のコントラストはもとより、光と影が織りなす繊細なグラデーションまでも表現しようとしています。
この独自のデザインスタイルは、ケース・ブレスレット・ダイヤルを構成する9つの主要な要素に反映されています。これらの要素により、美しさはもちろんのこと、優れた視認性と長期間にわたって正確に時を刻み続ける信頼性を兼ね備えた、グランドセイコーが完成するのです。
また、グランドセイコーは、ムーブメントの開発においても妥協を許しません。
スイス公認クロノメーター規格よりも、さらに厳格な基準を設けた「新グランドセイコー規格(新GS規格)」を独自に設定し、高精度なムーブメントの開発に注力しています。
この新GS規格では、姿勢差や温度差など、時計の精度に影響を与えるさまざまなな要因を考慮し、実に17日間にも及ぶ厳格な試験を実施しています。
これらの厳しい基準をクリアした時計のみが、「グランドセイコー」の名を冠することを許されるのです。
セイコーはグランドセイコーを生み出したブランド
前述の「グランドセイコーの歴史」を通じて、グランドセイコーとセイコーが別々のブランドであることが、ご理解いただけたのではないでしょうか。
ここからは、グランドセイコーを生み出した母体である「セイコーの歴史と魅力」についてご紹介します。あらためて、私たち日本人にとって非常に馴染み深い「セイコー」について見ていきましょう。
誕生と歴史
セイコーの歴史は、1881年に「服部時計店」として創業したことに始まります。創業の翌年、1882年には時計製造工場である「精工舎」を設立し、時計製造への道を歩み始めました。
1913年には、精工舎から国産初の腕時計「ローレル」が誕生します。
しかし、1923年の関東大震災によって精工舎は全焼という、壊滅的な被害に遭います。それでも、セイコーは復興に尽力し、翌年の1924年には腕時計の販売を再開。
このときに販売された時計に、初めて「セイコー」のブランド名が冠されたのです。
そして、1960年のこと。ついにセイコーは、最高の技術を注ぎ込んだ最高級腕時計「初代グランドセイコー」を世に送り出します。
それまで幅広い層に向けて時計を製造してきたセイコーにとって、初代グランドセイコーの製造は、まったく新しい挑戦でした。
その後もセイコーは、クロノグラフやダイバーズウォッチなど、数々の国産初の時計を開発し、日本の時計産業を牽引していきます。
1967年には、スイスの権威ある「ニューシャテル天文台コンクール」で上位を独占するという偉業を達成。
さらに、1969年に発表した世界初のクオーツ式腕時計は、世界的な「クオーツショック」を引き起こし、セイコーの名を世界中に知らしめることとなりました。
1999年には、スプリングドライブを搭載したグランドセイコーが発売されました。現在、スプリングドライブは独立したグランドセイコーの時計のみに搭載されています。
セイコーの魅力
セイコーの最大の魅力の1つは、その圧倒的な知名度です。
日本国内では「最大の時計ブランド」として広く知られており、世界においてもクオーツショックの影響から非常に高い知名度を誇っています。
デザイン性はもちろんのこと、機能性や価格など、幅広いニーズに応える豊富なラインナップも、セイコーの魅力といえるでしょう。
機械式時計をはじめ、クオーツ式やソーラー式など、メンズ・レディースを問わず、多彩なモデルが用意されています。
とくにクオーツ式時計は、1万円台からでも品質の良い時計を手に入れられるため、学生から社会人まで幅広い層から支持を集めているのが特徴です。
グランドセイコーとセイコー|時計の違い
ここからは、グランドセイコーとセイコーの時計から、それぞれの違いを見ていきましょう。
外観と値段にわけて解説していきます。
外観
2017年まで、セイコーブランド内で展開していたグランドセイコーには、文字盤に「SEIKO」の文字・グランドセイコーのロゴ「GS」と「Grand Seiko」の両方がありました。
グランドセイコーとして独立してからの時計には、文字盤から「SEIKO」が消え、残っているのはグランドセイコーのロゴだけです。
リューズとバックルにも、刻印による違いがあります。
グランドセイコーのリューズには「GS」、セイコーには刻印がないタイプと「S」が刻印されたタイプが存在しています。
ブレスレットのバックルにも、グランドセイコーは「GS」、セイコーは「SEIKO」の刻印が見られるのが特徴です。
値段
グランドセイコーとセイコーの時計は、値段に大きな違いがあります。
何度もお伝えしてきたように、グランドセイコーは「国内腕時計の最高峰ブランド」です。海外でも、スイス時計に負けない技術を誇る、マニュファクチュールとして知られています。
時計の値段も高額で、30万円台のクオーツ式から5千万円に届くトゥールビヨンまで用意されています。
一方のセイコーは、1万円台から40万円台までの価格帯です。低価格でも品質の良い時計がそろう点は、セイコーブランドへの信頼につながっています。
※価格はすべて2024年12月時点で確認
グランドセイコーとセイコーの違いまとめ
ここまで、「グランドセイコーとセイコーの違い」について、詳しく解説を行いました。
ここで、とくに重要なポイントをあらためて整理し、おさらいしてみましょう。
● グランドセイコーは、セイコーから独立したブランド
● 国内最高峰のブランドであり、世界でも名高い高級時計として知られる
● セイコーは、1881年創業の歴史と伝統を誇る老舗ブランド
● 幅広いニーズに対応する汎用性の高さと、良質な時計を手頃な価格で提供することで知られる
グランドセイコーとセイコーは、いずれも時計業界に大きな足跡を残し、多くの時計愛好家から熱い視線を集める、日本を代表するブランドです。
機会がございましたら、ぜひ実際にグランドセイコーやセイコーの時計に触れていただき、日本の卓越した技術力とものづくりの精神をご体感いただければ幸いです。
グランドセイコーとセイコーは、今後も市場価値の上昇が期待される、注目すべきブランドといえるでしょう。
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