アウガルテンとヘレンドの違いとは?歴史と食器を徹底検証

アウガルテンヘレンドは、絵柄が似ているといわれます。
その理由は、歴史的な背景によるものです。

では、アウガルテンとヘレンドの違いは、どのようなところでしょうか?

そこで今回は、アウガルテンとヘレンドの違いをテーマにしてお話しをしていきます。
それぞれの歴史にもスポットを当てて検証していますので、ぜひ最後まで楽しんでください。

アウガルテンについて

アウガルテンについて

アウガルテンは、民間の窯として1718年にオーストリア・ウィーンで誕生しました。

ヨーロッパでは、マイセンの次に古い磁器ブランドです。

1744年にマリア・テレジアが買い取り、国営になってから、アウガルテンの磁器にハプスブルク家の紋章が刻印されるようになります。

その後のアウガルテンは、アウガルテン宮殿のディナーセットや、ナポレオンの婚礼で使う食器なども製作するなど、繁栄していきました。

1864年には閉鎖に追い込まれますが、1924年に復活

今もなお手作業にこだわり、職人による成形・手描きで製作されています。

アウガルテンの代表シリーズ

アウガルテンは、時代によって、さまざまな趣向のシリーズを発表してきました。

その中でも、以下のシリーズは、アウガルテンを代表するといってもよいでしょう。

● マリア・テレジア
● ウィ ンナーローズ
● ビーダマイヤー
● メロン・サービス

ヘレンドについて

ヘレンドについて

ヘレンドは、1826年にハンガリーのヘレンド村で開窯しました。

繊細な手描きによる磁器は高く評価され、1842年に王室御用達として認められます。

1851年、ロンドンで開催された世界万国博覧会で、ヴィクトリア女王がヘレンドの食器を購入。これをきっかけに、ヘレンドは世界的に名の知れたブランドになっていくのです。

1864年、ウィーン磁器工房(アウガルテン)の閉鎖により、ハプスブルク家門外不出の絵柄である薔薇 の絵柄を、ヘレンドが引き継ぎます

この薔薇の絵柄は、今もヘレンドの定番として人気の、「ウィーンの薔薇」に生まれ変わりました。

ヘレンドの代表シリーズ

ヘレンドは、専門のペインターによる美しく精密な絵柄が、多くの人から支持されています。

人気の絵柄も数多く、強いて代表シリーズとして選ぶなら、次の4つです。

● アポニー
● シノワズリ
● ヴィクトリア
● ウィーンの薔薇

アウガルテンとヘレンドの違い|歴史編

アウガルテンとヘレンドの違い|歴史編

歴史におけるアウガルテンとヘレンドの違いを考えるとき、次に挙げる2点に注目してみるとよいでしょう。

● 誕生した国
● 開窯した年

アウガルテンが誕生した国はオーストリア。ヘレンドが誕生した国はハンガリーです。

どちらもヨーロッパを代表する名窯であるものの、誕生国が異なります。

そして、両国の歴史には大きな違いがあります。

アウガルテンは18世紀初頭、1718年に誕生。一方、ヘレンドは19世紀初頭、1826年の開窯です。

実に100年以上の時を経て、ヘレンドはアウガルテンの伝統を受け継ぎながら、独自の輝きを放つようになりました。

それぞれの歴史が育んだ、2つの名窯の魅力をぜひ比べてみてください。

アウガルテンとヘレンドの違い|食器編

アウガルテンとヘレンドの違い|食器編

ここからは、アウガルテンとヘレンドの食器における違いを説明していきます。

次の2点に注目して、違いを見てみましょう。

● 製造工程
● 価格

品質や技術の面では、アウガルテンもヘレンドも王侯貴族に向けた磁器を製作していた歴史があるため、どちらも最高級のレベルです。

ただし、製造工程においては、すべて手作業か否かで、両者に違いがあります。

アウガルテンは、今もすべて職人による手作りを続けているのが特徴です。

ヘレンドも、マスター制度を設け、ペインターやポターによる手作りを続けている一方、一部に機械化を取り入れています。

価格は、アウガルテンの方がヘレンドよりも高い傾向です。

アウガルテンの食器は、すべて手作業であることや、歴史が古いなど希少価値が高く、価格に反映されているといえます。

また、ヘレンドは、大量生産が可能なため、アウガルテンよりも価格は抑えられているのが一般的です。

絵柄が似ていることについて

絵柄が似ていることについて

アウガルテンとヘレンドの絵柄は、よく似ていると感じている方も多いでしょう。

これは、1864年にアウガルテンが閉鎖した際、ハプスブルク家だけが使用する薔薇の絵柄を引き継いだのが理由です。

また、それまでアウガルテンの顧客だった貴族たちがヘレンドで磁器を注文するようになったため、ヘレンドにはアウガルテンに似た絵柄があるといわれています。

ヘレンドが引き継いだ薔薇の絵柄

ヘレンドは、ハプスブルク家に伝わる薔薇の絵柄を、アウガルテンから引き継ぎました

その絵柄は、アウガルテンが国営となった1744年頃からある「オールドウィンナーローズ」です。

ヘレンドは、「オールドウィンナーローズ」を元にして、「ウィーンの薔薇」へと昇華させました。なお、アウガルテンには、「オールドウィンナーローズ」によく似た「ウィンナーローズ」のシリーズもあります。

ウィンナーローズは、1924年にアウガルテンが復活した後に作られ、「オールドウィンナーローズ」とはデザインが少しだけ異なります。

「オールドウィンナーローズ」には、薔薇のほかにピンク色のつぼみがありますが、「ウィンナーローズ」にはグリーンのつぼみが描かれているのが特徴です。

まとめ

アウガルテンとヘレンド。それぞれの歴史や特徴を掘り下げていくと、何が違うのか、なぜ似ているのか、などが見えてきました。

この記事を読んで、洋食器への興味がより深まるきっかけになってくだされば幸いです。

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