- お酒
- 2024.12.04
ヴィンテージワインとは?価値・選び方・楽しみ方を解説
ワイン好きの方なら、一度は「ヴィンテージワイン」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
ヴィンテージワインとは、古いワインと思われがちですが、実は「醸造したブドウ果実の収穫年が単一年であるワイン」のことを指します。ヴィンテージワインは、その年に収穫されたブドウのみを使用しているため、年月を経ると希少価値が高まることも。
この記事では、ヴィンテージワインとは何か、加えてヴィンテージワインの投資価値や当たり年の選び方などを詳しく解説いたします。
また、おいしく味わうためのポイントにも触れるため、ぜひご一読ください。
目次
ヴィンテージワインとは?
ヴィンテージワインとは、醸造したブドウ果実の収穫年が単一年であるワインのことです。ヴィンテージ(VINTAGE)は、「収穫年」を意味する言葉で、ワインがどの年のブドウから造られたかを示しています。
「2024」のヴィンテージワインであれば、2024年に収穫したブドウを使って製造されたワインという意味です。
ヴィンテージワインとノンヴィンテージワインの違い
ヴィンテージワインとノンヴィンテージワインの違いは、ラベルに収穫年の表記があるかどうかです。
ヴィンテージワインは、特定の1年に収穫されたブドウが主原料のワインで、ボトルのラベルに収穫年が明記されています。
一方、ノンヴィンテージワインは複数年のブドウをブレンドして造られたり、各国のワイン規定を満たしていなかったりすることから、収穫年が表記されていないワインを指します。
ただし、ノンヴィンテージだからといって必ずしも品質が低いわけではありません。シャンパンの多くがノンヴィンテージな理由は、毎年の品質を安定させるためにブレンドしているためです。
ヴィンテージの記載は任意のため、生産者が意図的に表記しない場合もあります。
古いヴィンテージワインのほうがおいしい?
一般的に、瓶に詰めてから10年以上経過した古いワインを、「オールドヴィンテージワイン」と呼びます。オールドヴィンテージワインと新しいヴィンテージワインの主な違いは、長期熟成に向くか否かの差です。
ワインは、年月が経つにつれて風味や香りに変化が生じます。そのため、オールドヴィンテージワインは、長い時間をかけて熟成されることで味わいが深まり、より複雑性が増すのです。
しかし、すべてのワインが長期熟成に適しているわけではなく、短期間で飲み頃を迎えるワインもあります。たとえば、ボージョレ・ヌーヴォーや安価なデイリーワイン、白ワイン全般などが代表的です。
また、長期熟成が前提のワインでも、適切に管理しなければ品質は低下します。そのため、古いヴィンテージワインが必ずしも新しいものよりおいしいとは限りません。飲み頃のピークや保存状態などによって、ワインの評価は変わります。
下記では、「ワインの劣化」について解説しています。劣化したワインの見分け方もご紹介しているため、ぜひご参考にしてください。
▶︎ ワインの劣化について【ブジョネと酸化】を詳しくご紹介します
ヴィンテージワインの価値
ヴィンテージワインの古さはおいしさに直結しないものの、年代物となると高価格で取引されるケースが少なくありません。
長期熟成されたヴィンテージワインの価格が上がる理由は、その保存に必要なコストと希少価値にあります。
保存状態が悪いと味や風味が大きく損なわれるワインは、品質を維持するために特別な環境が必要です。そのため、保管する期間が長くなるほどコストがかかり、価格にも反映されます。
また、ヴィンテージワインは追加生産ができません。年月を経るごとに現存するボトルの数が減少し、希少性が増すことで価値が上昇するのです。
収穫年が記載されたヴィンテージワインには、記念品としての価値が見出されることもあります。たとえば、生まれ年や結婚した年と同じ年に製造されたワインは、特別なギフトとして人気です。
ヴィンテージワインは投資対象としても注目されている
ヴィンテージワインは、投資対象としても注目されています。ヴィンテージワインの品質が保証された状態で適切に保管されている場合、年月を経るごとにワインの希少価値と品質が向上し、高級品となるケースが多いためです。
さらに、土地や金融資産のように価値が暴落しにくいため、資産として運用したり、ご自身で飲んだりして楽しむこともできます。
ワイン投資は、価値が上がることを見越して購入する「先物買い」がオススメです。
ただし、ワイン投資には専門的な知識が必要なうえ、適切な保管環境を確保しなければならないため、短期投資にはあまり向いていません。
ヴィンテージワインの選び方|当たり年を確認
ヴィンテージワインを選ぶ際の目安となるのは、「当たり年(グレートヴィンテージ)」です。当たり年とは、気候条件がブドウの成長と収穫に最適で、品質の高いワインが生産された年を指します。
【代表的なヴィンテージワインの当たり年】
1945年 | ヨーロッパ全体が年間を通じて天候に恵まれ、品質のよいブドウが収穫された年です。とくに、フランスのボルドーやブルゴーニュでは、歴史に残る素晴らしいヴィンテージが誕生しました。 |
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2000年 | ミレニアムイヤーとして特別な年であると同時に、ボルドー地方では文句なしの大当たり年でした。とくに、メルローを中心に多くの優れたワインが生産されています。 |
当たり年を調べるためには、ヴィンテージチャートを利用するとよいでしょう。ヴィンテージチャートは、産地ごとの年代とワインの出来不出来を評価した表で、ワイン選びの重要な指標です。
ヴィンテージチャートは、ワインの専門雑誌やワインの販売・買取を行っている公式サイトなどから確認できます。
ただし、同じ地域でも生産者や品種によって差が出るため、チャートは参考程度に見ることが大切です。
下記では、「ワインの当たり年」について解説しております。当たり年の基準や国別にワインの当たり年などもご紹介しているため、ぜひご参考にしてください。
ヴィンテージワインの楽しみ方
ヴィンテージワイン、とくにオールドヴィンテージワインの魅力を最大限に楽しむには、いくつかのポイントを抑えておきましょう。
以下では、ヴィンテージワインを楽しむためのポイントを3つ解説いたします。
飲むまでの保管方法
浮遊物や沈殿物などの澱(オリ)が多いオールドヴィンテージワインは、保管方法に注意が必要です。
澱は、ワインの熟成過程で色素やタンニンが結合して発生します。口にしても健康への影響はないものの、渋みや苦味の原因につながります。
少なくとも飲む予定の7~10日前にはボトルを立てて保管し、澱をボトルの底に沈めましょう。急に飲むことになった場合は、最低でも1時間は立てておくことをオススメします。
以下は、古いワインの保管に適した温度帯です。
赤 | 16℃~20℃ |
---|---|
赤(甘口) | 8℃~15℃ |
白 | 10℃~20℃ |
白(甘口) | 5℃~12℃ |
ワインは、ワインセラーでの保管が理想です。ワインセラーがない場合、夏は冷蔵庫、冬は適度に暖かい場所に移し、飲む30分前に取り出すとよいでしょう。
ヴィンテージワインのおいしい飲み方
ヴィンテージワインは、開栓時にも注意が必要です。キャップシールやコルクにカビが生えている場合もありますが、これらは適切な条件下で保存されていた証しのため、拭き取れば問題ありません。
ただし、古いワインほどコルクが劣化しているケースが多いため、ゆっくり丁寧にコルクを抜く必要があります。コルクがボトル内に落ちてしまった場合は、茶こしなどを利用してコルク片を取り除きましょう。
ワインを注ぐ際にデキャンタを利用すると、沈殿物などが入りにくくなります。また、デキャンタにはワインの香りを引き出しまろやかにする効果もあります。
食べ物とのペアリング
ヴィンテージワインを楽しむ際には、食べ物とのペアリングも大切です。長期熟成されたワインは、煮込み料理・生ハム・チーズなどと相性がよいでしょう。
たとえば、じっくりと時間をかけて煮込んだビーフシチューやラムのローストなどは、赤ワインの豊かな風味と非常によく合います。
また、熟成されたまろやかなチーズ、とくにハードタイプのチェダーやチェシャーは、ヴィンテージワインの複雑な味わいを引き立てる食べ物としてオススメです。
生ハムやチーズは、室温に戻しておくと本来の風味がより引き出され、よりワインとのペアリングが楽しめます。
ただし、ワインの種類によって最適なペアリングが異なるため、自由に組み合わせながらご自身の好みに合ったペアリングを楽しむこともオススメです。
まとめ
ヴィンテージワインとは、醸造したブドウ果実の収穫年が単一年であるワインのことです。しかし、必ずしもおいしい、価値のあるワインとは限りません。
当たり年と呼ばれる高品質なブドウが収穫できた年のワインや、流通が少ない年代物のワインは高額で取引されることがあります。
また、ワインの飲み頃や保管状態によって、味や風味にも変化があることを知っておきましょう。
オールドヴィンテージワインは浮遊物などが多いため、開栓する7~10日前からボトルを立てて浮遊物を沈めておくことがポイントです。
さらに、開栓時にはコルクが劣化していることも考えられるため、ゆっくりと開栓ましょう。ヴィンテージワインを飲む際には、煮込み料理・生ハム・チーズなどとのペアリングを楽しむのがオススメです。