茨城県を故郷とする鶴岡義雄は、大正から平成にかけて日本の洋画壇で活躍した巨匠です。その繊細な筆致と鮮やかな色彩で描かれた風景画は、見る人の心を魅了し続けています。
数々の受賞歴で裏付けられた確固たる地位と、代表的な作品の数々から、鶴岡義雄が日本洋画史に名を残す巨匠であることは間違いありません。
洋画家として確固たる地位を築いた、鶴岡義雄の略歴と作品の特徴をご紹介します。
鶴岡義雄の略歴
鶴岡義雄は、1917年に茨城県土浦市で生まれました。
幼い頃から絵画への情熱を育み、中学生のときに同郷の画家・「熊岡美彦(くまおかよしひこ)」の講習会に参加したことをきっかけに、画家を志すようになります。
1937年、日本美術学校に入学(2013年に閉校)し、本格的に絵画の技法を学びます。
日本美術学校を卒業した1941年、二科展に初出品した作品「台湾蛮女」が初入選。
その才能を、世に認められます。
1947年の第32回二科展では、「化粧」などの作品3点で二科賞を受賞し、画家としての地位を確立します。その後も二科展には毎年出品し続け、数々の賞を受賞しました。
同じ頃、鶴岡義雄はパリにアトリエを構え、代表作となる「マドモアゼルシリーズ」に取り組み始めます。
このシリーズは、繊細な筆致と鮮やかな色彩で描かれた女性像が特徴で、鶴岡義雄の芸術性を最もよく表した作品群といえます。
1974年の第59回二科展では、「ソワル・ド・パリ」という作品が「内閣総理大臣賞」を受賞し、耽美主義的な女性美を追求した独自の画風が確立されました。
この受賞を契機に、鶴岡義雄はさらに多くの名作を生み出すことになります。
「マドモアゼルシリーズ」と並行して、鶴岡義雄は1974年頃から「舞妓シリーズ」にも取り組み始めます。
このシリーズは、華やかで繊細な舞妓の姿を描き出すことで、日本的な美意識を表現した作品群です。
晩年も精力的に創作活動を続け、1993年には「勲四等旭日小綬章」を受章するなど、日本の芸術界に大きな功績を残しました。二科会の理事を務めるなど、深く芸術に携わりながら、2007年に惜しまれつつ逝去されました。
鶴岡義雄の作品は、繊細な筆致と鮮やかな色彩が織り成す格別な美しさによって、見る人を魅了します。鶴岡義雄が描く女性像は、人物の表情や心理状態を巧みに表現しており、深い感動を与えてくれるのです。
また、風景画も数多く残しており、自然の美しさや生命の力強さを余すところなく表現しています。
鶴岡義雄が手がける作品の特徴
鶴岡義雄は、女性美を追求した画家として知られています。作品の多くは、女性や女性の所作を描き、モダンでエキゾチックな雰囲気を漂わせています。
従来の女性像とは一線を画す、新たな美しさの表現は、見る人の心を魅了して止みません。
鶴岡義雄の画風は、雑念のない明確な線で人物や風景を描き出すことに特徴があります。無駄のない線と鮮やかな色彩によって、独特の世界観を作り上げているのです。
このシンプルな表現こそが、鶴岡義雄作品の奥深さであり、見る人の想像力を掻き立てる力を持っています。
鶴岡義雄は、女性美に最上の価値を求め、高い技術と豊かな感性で作品を制作しました。
その作品の数々は、時代を超えて多くの人々に愛され続けています。
美しいもの、心を揺さぶるものを見たいと思う方は、ぜひ鶴岡義雄の作品を鑑賞してみてください。
鶴岡義雄の代表作
鶴岡義雄の代表作シリーズである、マドモアゼルと舞妓についてご紹介します。
マドモアゼルシリーズ
マドモアゼルシリーズは、1973年頃、鶴岡義雄がパリにてアトリエを構えた頃に取り組んだ作品です。
凱旋門近辺のアンリ・マルタン街で生活していた義雄は、パリの洗練された女性たちに芸術性を見出したといわれています。
そして、ドレスアップしてアクセサリー等で華やかに着飾ったパリジェンヌが、義雄独自のタッチで描かれ「マドモアゼルシリーズ」となりました。
繊細でシャープな鼻筋と引き締まった小鼻、クールなフェイスラインが特徴のマドモアゼルは、パリの魅力を漂わせた甘美な美しさが表現されています。
舞妓シリーズ
舞妓シリーズは、鶴岡義雄がマドモアゼルシリーズの後に取り掛かった作品です。
パリに魅せられて創作に没頭している最中、日本美について思いを馳せた際に「舞妓」に行き着いたといわれています。
義雄が手がけた舞妓は、クラシカルな日本の伝統ではなく、西洋的造形で描かれているのが特徴です。
その独自性が国内外で高く評価され、マドモアゼルシリーズに続く義雄の代名詞となりました。
義雄が描く舞妓シリーズは、艶やかな着物に身を包み、貫禄のある女性美が表現されています。
鶴岡義雄の「マドモアゼル(SM)」買取価格
福ちゃんでは、鶴岡義雄の代表作「マドモアゼル(SM)」を買取した実績があります。
儚げな表情で遠くを見つめる、気品あるパリジェンヌの横顔が印象的な作品です。鶴岡義雄が追い求めた女性美が惜しみなく表現されています。
繊細な顔立ちをきめ細やかな筆致で描き、凛とした表情は鶴岡義雄ならではの世界観を醸し出しています。
絵画としては比較的小さいSM型であるものの、鶴岡義雄ならではの画風が見られる逸品であることから、3万円で買取いたしました。
小さな絵画であっても、福ちゃんなら名品に相応しいお取引をお約束します。
絵画の買取をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
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⚠︎CAUTION!
当記事でご紹介している買取価格はあくまでも目安です。実際の買取相場は保管状態や市場の需給バランスなど、さまざまな要因で変動します。詳細は骨董品買取業者にご確認ください。
鶴岡義雄の作品で「高額査定を期待できる」作品の特徴
- ✔︎「鼓」シリーズ
- ✔︎ 油絵(油彩画)
- ✔︎ 大きいサイズ
鶴岡義雄のマドモアゼルや舞妓をモチーフにした作品は、高値で取引される傾向があります。
とくに、「鼓」シリーズのように、舞妓と鼓を組み合わせた作品は人気が高く、高額査定が期待できます。
油絵(油彩画)は、リトグラフなどの版画作品よりも需要が高いことが、高額査定を期待できる理由です。
さらに、絵画はサイズが大きいほど高価になる傾向がありますので、大きいサイズの作品は高額査定の対象となる可能性があります。
西洋的造形の舞妓で「新たな日本美」を生み出した鶴岡義雄