東郷青児(とうごうせいじ)の美人画やアーティストとしての経歴などを詳しく解説
「東郷青児の美人画について知りたい」
「東郷青児はどんな画家?」
東郷青児の絵画や経歴について知りたい方のために情報をまとめました。
高額査定されやすい作品の特徴などについても触れています。ぜひ参考にしてください。
目次
東郷青児(とうごうせいじ)とは?
「夢見るような甘い女性像」で知られる東郷青児は、日本を代表する洋画家です。前衛的な表現で独自の画風を確立し、戦後の日本美術界に大きな影響を与えました。
多彩な才能を発揮し、油彩画・版画・挿絵・舞台美術など、幅広いジャンルで活躍されたことでも有名です。現在でも多くのファンを魅了し続け、その作品は高い評価を受けています。
東郷青児の多彩な経歴と作品の特徴について、詳しく解説します。
東郷青児(とうごうせいじ)の経歴
東郷青児は、1897年に鹿児島で生まれました。
本名は東郷鉄春(とうごうてつはる)です。
1924年に青山学院中等部を卒業し、画家としての道を歩み始めます。青児という名は、この卒業学歴に由来するといわれています。
画家としての原点は、17歳で詩人画家・竹久夢二の雑貨店『港屋絵草紙店』で働いたことです。夢二の影響を受け、女性美への探求が始まります。
青児は、夢二が手がけた絵の写しを任される機会があり、この経験が後の作品の源流になったという説があります。
青児も夢二も、女性美を追求した画家として共通点が多かったのでしょう。
青児が18歳のときに有島生馬に師事し、19歳で二科会に初出品した『パラソルさせる女』が二科賞を受賞。
才能を開花させます。
20代の頃に経験したフランス留学は、青児の作風に大きな転機をもたらしました。「20世紀最大の画家」といわれるピカソ、「エコール・ド・パリの代表的画家」である藤田嗣治らと交流を行い、画家として多くの学びを得たのです。
ミケランジェロなどの古典にも深く感銘を受けた青児は、未来派やキュビスム、シュールレアリスムなどの影響を受けながら独自のスタイルを確立しました。
帰国後は、スキャンダラスな恋愛遍歴も話題となりました。そのロマンチストな一面は、作品に欠かせないエッセンスになったともいえるでしょう。
青児は64歳で二科会会長に就任し、72歳でフランス政府より「芸術文化勲章オフィシエ」を受賞。さらに翌年は、国内でも「勲三等旭日中綬章」を受章するなど、芸術家として名声を確立しました。
第62回二科展に出席するために訪れていた熊本市で、81歳で急性心不全により逝去。
波瀾万丈の人生に幕を閉じました。
東郷青児(とうごうせいじ)が手がけた「美人画」の特徴
ヨーロッパ留学で得た刺激と、「理屈なしに共鳴してもらえる絵画」への想いから生まれたのが、東郷青児の女性像です。
「青児美人」や「東郷様式」と呼ばれる独自のスタイルは、西洋絵画の伝統技法を取り入れ、時代を先駆けた「女性の新しい理想像」を表現しました。
艶かしくデフォルメされた曲線や、限られた色数を用いた色彩が「青児美人」の大きな特徴です。
ピカソの影響を受けた大胆な構図やフォルム、「自信のある色以外は使うな」という教えから導き出された作風は、青児独自のセンスで表現されています。
青児はファッションにも人一倍敏感で、女性が着ているトレンドアイテムをすぐに絵に取り入れました。
着物から洋服、世界各国の伝統衣装、当時のフランスで大流行したモード系まで、女性像にさまざまな衣類を表現したのは、青児の革新的な美意識の表れといえるでしょう。
アーティストとして多彩な才能を発揮した東郷青児(とうごうせいじ)
東郷青児は、絵画以外にも多くの分野で才能を発揮しました。挿絵・洋菓子の包装紙・化粧品のパッケージなど、そのデザインは時代を超えて愛され続けています。
青児が手がけた洋菓子の包装紙は、ファンの間でとくに人気が高く、ブックカバーや栞として使う方もいるほどです。
吉祥寺の老舗喫茶店「ボア」は(2007年に閉店)、包装紙だけでなく、ケーキの箱や店の名前・ロゴまで青児がプロデュースしたことで知られています。
小説家「谷崎潤一郎」とタッグを組み、耽美的な言葉と美人画が見事に融合した作品を世に送り出した出来事も、青児の注目すべきキャリアの1つです。
また、フランス文学の翻訳、小説の執筆など、画業以外にも幅広く活躍。「芸術のデパート」と呼ばれた芸術家「ジャン・コクトー」の小説、『恐るべき子供たち』の翻訳・挿絵・装丁も担当しました。
東郷青児(とうごうせいじ)の作品で高額査定されやすい絵画
東郷青児が手がけた絵画で、高額査定されやすいものは、下記3つの特徴を持っている作品です。
- ✔︎ 油絵
- ✔︎ 目が描かれていない
- ✔︎ 塔・花・帽子が描かれている
順に解説いたします。
油絵
青児は油彩技法に精通しており、油絵作品は高い評価を受けています。
作品には真作であることを証明する「共シール」が貼られており、作品の価値を高めているのです。
油絵は劣化しやすく、古い作品は割れなどが入りやすいことから、状態の良い作品は希少価値が高くなります。
目が描かれていない
東郷青児の美人画は、目が描かれていないものが高く評価されます。
東郷青児の代表的な作品である美人画は、目が描かれていないことで知られています。理由は、青児が画家人生の初期に手がけた作品は目が描かれていたものの、後に独自のスタイルを確立していく中で、目が描かれていない作品にシフトしていったためです。
目が描かれていない美人画は、青児の成熟した画風を象徴する作品といえます。希少価値や人気が高いことから、高額査定を期待できます。
塔・花・帽子が描かれている
女性像と一緒に塔や花、帽子が描かれている作品は高額査定される傾向にあります。
青児の美人画は、女性像と共に描かれる塔・花・帽子が特徴的です。これらのモチーフは、シンプルで憂いのある作品にアクセントを与え、見る者にさまざまな想像を促すでしょう。
とくに塔が描かれた作品は、「東郷青児の最高傑作」と称され、多くのコレクターが注目しています。
代表的な作品としては、「思い出」「塔と女性」「赤いゑりまき」などが挙げられます。
東郷青児(とうごうせいじ)は大衆に愛される画家
東郷青児は、革新的な美人画で時代を超えて愛される芸術家です。
ピカソや藤田嗣治ら巨匠の影響を受け、ミケランジェロの古典に感銘を受けた青児は、ヨーロッパの伝統技法と自身の感性を融合させ、独自のスタイルを確立しました。
「理屈なしに共鳴してもらえる絵画」を目指した青児の美人画は、時代を超えて多くの人を魅了し続けています。二科会会長就任、数々の受賞など、日本美術界を牽引した一方、翻訳や小説執筆など多才な才能を発揮しました。
洋菓子包装紙や化粧品パッケージのデザインなど、大衆の生活に馴染む活動にも積極的に取り組みました。
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