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- 2025.02.16
中国J切手第1号!「万国郵便連合(UPU)100周年切手」の全貌と価値

世界中の郵便サービスをつなぐ「万国郵便連合(Universal Postal Union、以下UPU)」の100周年を記念し、1974年に中国で発行された「万国郵便連合100周年記念切手」。
中国が「J」シリーズとして初めて発行した記念切手であり、国際郵便協力の象徴として、現在も切手収集家の間で高い人気を誇っています。
中国の文化的特徴と、UPUの理念を反映したデザインが魅力的な当切手シリーズ。この記事では、3枚組の切手それぞれに込められた意匠と意味に加え、現代における価値を徹底解説します。
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目次
万国郵便連合(UPU)100周年切手とは?

「万国郵便連合(UPU)100周年切手」は、1974年5月に中国で発行された記念切手です。
中国が「J」シリーズとして初めて発行した記念切手であり、国際郵便協力の象徴として重要な意味を持ちます。
切手発行までの歴史的経緯
1874年9月15日、スイスの招致により、複数大陸から22カ国の代表がベルンに集まり、24日間に渡る会議を開催しました。
この会議の結果、10月9日に「ベルン条約」が調印され、翌1875年7月1日に発効。
これにより「万国郵便総連合」が設立され、その後、組織名も現在の「万国郵便連合(UPU)」となり、世界で最も古い国際機関の1つとして歩み始めました。
中国のUPUとの関係は、1914年3月の加盟に始まります。
中国のUPUとの複雑な関係
当時の中国は、清朝末期から中華民国初期にかけて、列強による不平等条約の影響下にありました。
とくに深刻だったのは、外国の郵便事業者が中国国内で独自の郵便業務を展開していたことで、これは中国の郵便主権を著しく侵害する状況でした。
1870年代後半から国内郵便行政の整備に着手していた中国は、1897年に「大清郵政官局」を設立し、国内ネットワークの拡大を進めていましたが、外国郵便局の存在が大きな障害となっていたのです。
1911年の辛亥革命を経て中華民国が成立すると、新政府は外国郵便局の廃止と郵便主権の回復を目指し、UPUへの加盟を決定します。
しかし、加盟後も中国の郵便主権回復への道のりは平坦ではありませんでした。
第一次世界大戦後のヴェルサイユ講和会議や1920年のマドリード会議では、UPUは国際的な行政連合であるため「政治的な問題」を決定できないことが明らかに。
最終的に1922年のワシントン会議で、中国の外交官と郵便行政官が外国郵便局の撤退を交渉することとなりました。
新中国成立と郵便産業の発展
1949年に中華人民共和国が成立すると、中国の郵便事業は新たな展開を迎えます。
中華人民共和国は、郵便産業の発展と国際的なイメージ向上、そしてソ連と東欧諸国の支援を得て、UPUでの地位確立を目指しました。
しかし、1951年3月に台湾当局がUPUにおける中国の議席を不当に占拠したことで、中華人民共和国政府はUPUとの関係を一時停止せざるを得ない状況に追い込まれます。
転機が訪れたのは、1972年4月のこと。国連総会決議に基づき、UPUは中華人民共和国をUPUにおける、中国の唯一の正当な代表者として承認。
このような長い歴史的経緯を経て、UPU創立100周年という記念すべき年に、中国は国際社会への完全な復帰と貢献を示す象徴として、この記念切手を発行するに至ったのです。
この記念切手は、中国の郵便主権回復と国際的地位向上を象徴する、重要な意味と役割を果たしたといえるでしょう。
万国郵便連合(UPU)100周年切手の特徴とデザイン
中国が発行した「万国郵便連合100周年記念切手」は全3枚で構成され、それぞれ異なるテーマのデザインが施されています。
各図案の詳細は以下の通りです。
✔ 郵便配達夫(額面8分、発行枚数1,000万枚)
✔ 五大州の人々(額面8分、発行枚数1,000万枚)
✔ 万里の長城(額面8分、発行枚数1,000万枚)
図案ごとに、詳しく解説します。
図案「郵便配達夫」

「郵便配達夫」の図案は、万国郵便連合の主要な活動である郵便配達業務を描いています。
配達員が「人民日報」や「紅旗」などを颯爽に運ぶ様子が見られます。この図案は、人々に迅速かつ確実な郵便サービスを届けようとする決意を表しているのです。
左上にUPUの赤い紋章が配置され、国際的な郵便ネットワークの一員として、中国の立場を象徴したデザインが特徴です。
図案「五大州の人々」

「五大州の人々」の図案は、国際協力と友好を象徴するデザインが特徴です。
異なる人種・国籍・性別の5人が集う姿で、UPUが目指す世界的な郵便協力の理念を表現しています。青空を背景に描かれた友好的な笑顔は、文化や国境を越えた人々の結びつきを象徴したものです。
この図案は、UPUの「ベルン記念碑」に見られる理念とも呼応しており、国際郵便事業における相互理解と協力の重要性を強調しています。
図案「万里の長城」

この切手の図案は、中国の代表的建造物である「万里の長城」を描いているのが特徴です。
俯瞰的な視点から描かれた長城の雄大な姿は、中国の悠久の歴史と文明を象徴すると同時に、国際郵便網の広がりも暗示しています。
山々の間を縫うように続く長城の姿は、中国の郵便事業の長い歴史と、国際郵便業務における将来的な貢献への意志を表現したデザインといえるでしょう。
▼中国切手「万国郵便連合(UPU)100周年」の詳細
・発行日:1974年5月15日
・額面:8分
・切手デザイン:全3種類
・発行枚数:各1,000万枚
・編号:J1
万国郵便連合(UPU)100周年切手の市場価値

「万国郵便連合(UPU)100周年切手」は、発行枚数が多いにもかかわらず、その歴史的意義とデザインの美しさから、現在でも収集家の間で高い人気を誇ります。
状態の良い切手や未使用品はとくに評価が高く、切手買取でも額面以上の高値で取引されることもあります。
切手査定の際には以下の点がとくに重視されるため、貴重な切手は価値を下げないように注意が必要です。
☑ 切手の保存状態
☑ セットの完全性
☑ 印刷の鮮明さ
☑ 目打ちの状態
☑ 変色や汚れの有無
「買取福ちゃん」では、これらの要素を総合的に判断し、適正な買取価格を提示いたします。
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まとめ
「万国郵便連合(UPU)100周年切手」は、中国の国際郵便事業における重要な転換点を示す歴史的な切手セットです。
「郵便配達員」「五大州の人々」「万里の長城」という3つの図案は、それぞれが深い意味を持ち、国際協力と文化交流の重要性を表現しています。
また、「J切手シリーズ」の第1号としての希少性と歴史的価値から、コレクターズアイテムとしても高い評価を受けています。切手収集家にとって、当切手セットは重要な収集対象となっているのです。
こちらの中国切手を手に取りながら、UPUが果たしてきた役割や郵便事業の価値に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。