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  • 2025.01.31

中国の発展を象徴する「南京長江大橋完成切手」~ 切手の歴史と価値を紐解く~

長江に隔てられていた中国の南北交通は、1949年の中華人民共和国建国後、わずか20年足らずで3つの大型橋梁が建設されたことで飛躍的に発展しました。

その中でも、1968年に完成した「南京長江大橋」は、中国の近代化と経済成長を象徴する存在といえるでしょう。

南京長江大橋の完成を記念して翌年に発行された切手が「南京長江大橋完成切手」です。

当記事では、文化大革命期の切手の中でも重要な位置づけにあるこの切手シリーズについて、その歴史的背景から現代における価値まで、詳しく解説します。

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文化大革命期に発行された「南京長江大橋完成切手」

中国の発展を象徴する「南京長江大橋完成切手」~ 切手の歴史と価値を紐解く~

南京長江大橋完成記念切手」は、中華人民共和国が1969年に発行した記念切手です。

この切手の最大の特徴は、文化大革命期の「文」シリーズの中で唯一、「経済建設」をテーマとしている点です。

南京長江大橋がもたらした「中国南北交通の飛躍的発展」

1949年以前、長江は中国の南北交通にとって大きな障壁となっており、橋は一本も架けられていませんでした。

しかし、中華人民共和国成立後、その状況は一変します。

政府主導で大型橋梁の建設が次々と進められ、中国の南北を結ぶ交通網の整備が急速に進展しました。

その中でも、南京長江大橋は「武漢長江大橋」「重慶白沙沱長江大橋」に続く、中国独自の設計と施工による大規模プロジェクトとして特筆すべき存在です。

江蘇省南京市の下関と浦口を結ぶ長江を横断する南京長江大橋は、上層が車道、下層が鉄道という二層構造の橋梁です。

全長は鉄道橋が6,772メートル、道路橋が4,589メートルあります。1960年1月の着工後、1968年10月に鉄道橋が、同年12月29日に道路橋がそれぞれ開通しました。

この大橋の完成によって、北京と上海を直結する鉄道路線がつながり、中国の南北交通は飛躍的に発展を遂げました。

そして、この歴史的偉業を記念して発行されたのが「南京長江大橋完成切手」です。

当時は、異例の3期に分けての発行であったことも特徴的です。

最初の2枚が1969年5月1日、3枚目が同年6月18日、最後の1枚が同年8月26日に発行されました。

「南京長江大橋完成切手」の4つの図案と特徴

南京長江大橋完成切手」は、それぞれ異なる視点から捉えた南京長江大橋の姿を、4つの図案で表現しています。

すべての図案が北京切手工場で印刷され、「グラビア印刷」と「オフセット印刷」の2種類の技法が併用されていることも特徴です。

【各図案の詳細】
✔ 祝賀風景(額面4分、発行枚数800万枚)
✔ 大橋の全景(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ 橋上のパレード(額面8分、発行枚数1,000万枚)
✔ 大橋の鳥瞰図(額面10分、発行枚数1,000万枚)

図案1:「祝賀風景」

中国の発展を象徴する「南京長江大橋完成切手」~ 切手の歴史と価値を紐解く~

4分切手「祝賀風景」には、大橋の完成を祝う、群衆による盛大な式典の様子が描かれています。

橋の下に集まった無数の人々が旗を振り、歓声を上げる様子は、大橋の完成がいかに国民にとって喜ばしい出来事であったかを象徴的に表しています。

また、式典会場の中央に掲げられた巨大な「毛沢東主席」の肖像画と、その両脇に立つ毛主席語録の看板の存在は、当時の政治的背景を如実に反映しているといえるでしょう。

42mm×25mmという限られたスペースの中に、群衆一人ひとりの表情までもが丁寧に描き込まれています。オフセット印刷の特性を活かした細密な表現が、この切手の特徴です。

図案2:「大橋の全景」

中国の発展を象徴する「南京長江大橋完成切手」~ 切手の歴史と価値を紐解く~

8分切手「大橋の全景」は、長江に架かる南京長江大橋の全貌を、遠景から捉えた構図です。

悠々と流れる長江を跨ぐように架けられたその姿は、まさに壮大な虹を思わせ、遠景の山々との美しいコントラストを成しています。この切手からは、交通インフラとしての機能性だけでなく、自然と調和する造形美としての橋の存在意義を見てとれるでしょう。

52mm×31mmの大判サイズを活かした、グラビア印刷による豊かな階調表現も魅力です。

橋の構造美と周囲の雄大な自然の情景とが見事に調和した、美しい図案が特徴です。

図案3:「橋上のパレード」

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8分切手「橋上のパレード」では、完成した道路橋の上を、華やかな装飾を施された車列が行進する様子が描かれています。

赤や緑の鮮やかな色彩の車列が長く連なる光景は、祝祭的な雰囲気を演出しています。その様子からは、近代インフラとしての車道の広さや、大橋が持つ機能性を感じとれるでしょう。

この切手も52mm×31mmの大判サイズであり、グラビア印刷による細部の描写が際立っているのが特徴です。

図案4:「大橋の鳥瞰図」

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最も額面の高い10分切手「大橋の鳥瞰図」は、その額面に相応しい壮大な構図が特徴です。

南京長江大橋」とその周辺を、上空から俯瞰する視点で捉えています。

橋の全容だけでなく、周囲の地形や都市の様子までも緻密に描いた、情報量の多い1枚です。

42mm×25mmのサイズの中に、橋の技術的特徴と地理的重要性を効果的に表現している、オフセット印刷の特性を活かした描写が秀逸です。

▼中国切手「南京長江大橋完成」の詳細
・発行日:1969年5月1日~8月26日
・額面:4分、8分、10分
・切手デザイン:全4種類
・発行枚数:800万枚~1,000万枚

希少な文革切手「南京長江大橋完成」 の価値とは?

中国の発展を象徴する「南京長江大橋完成切手」~ 切手の歴史と価値を紐解く~

南京長江大橋完成切手」は、文化大革命時代に発行された「文革切手」として、現在でもコレクターの間で高い人気を誇ります。

市場価値は、切手の保存状態に大きく左右されます。とくに未使用で美品の場合は、高値での買取も期待できるでしょう。

全4種類の中では、「大橋の全景(額面8分)」の人気が最も高い傾向にあります。

ただし、希少価値の高い切手であるがゆえに、偽物も多く流通しているため注意が必要です。

南京長江大橋完成切手」には、印刷の色合いに濃淡の差が見られるものがあり、真贋判定においては専門知識が不可欠といえます。

とくに「橋上のパレード(額面8分)」は、橋上道路部分の青色や黄色の濃淡など、複数のバリエーションが存在し、判別が非常に難しい切手の1つとして知られているのです。

切手買取に強みを持つ「福ちゃん」では、中国切手に精通した査定士が、最新の市場動向をふまえ、切手の状態確認から真贋判定まで丁寧に査定いたします。

中国切手の売却をご検討の際は、ぜひ「福ちゃん」までお気軽にご相談ください。

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まとめ

南京長江大橋完成切手」は、中国の近代化と経済発展の歩みを象徴する、歴史的意義を持つ切手シリーズといえるでしょう。

文化大革命期という激動の時代に発行された切手でありながら、政治的プロパガンダではなく、経済建設の確かな成果を後世に伝える記念碑的存在です。

印刷技術の粋を集めた高い芸術性と、史料的価値を兼ね備えた同シリーズは、現代においても色褪せることなく、高い評価を受け続けています。

「南京長江大橋完成切手」は、中国切手収集の醍醐味を味わえる、コレクターならずとも一見の価値ある切手シリーズといえるでしょう。

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