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  • 2025.01.29

中ソ国境紛争が生んだ「文革切手」|『団結し国境を守る』5種セットの全貌

1969年、世界を揺るがした「中ソ国境紛争」。

その最中に発行された中国切手「団結し国境を守る」は、中国「文革切手」の中でも、極めて歴史的価値の高いシリーズとして知られています。

勇ましい軍民の姿と祖国防衛への固い決意が刻まれた当切手。当時の緊迫した社会情勢を今に伝えるのみならず、希少性やデザイン性の高さから、今なお世界中のコレクターを魅了してやみません。

当記事では、この稀少な切手セットが発行された当時の歴史的背景、各図案に込められたメッセージ。そして、現代における収集価値について、深く掘り下げていきます。

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「団結し国境を守る切手」とは?

中ソ国境紛争が生んだ「文革切手」|『団結し国境を守る』5種セットの全貌

団結し国境を守る切手」は、1969年に中国郵電部が発行した記念切手です。

全5種からなるこのシリーズは、毛沢東時代における文化大革命期の「文革切手」の1つであり、編号「文18」が付されています。

中ソ国境紛争の勃発  ~「珍宝島事件」が引き金に~

1969年3月2日、ソ連軍は、中ソ国境を流れる黒竜江省ウスリー川の中州「珍宝島(ダマンスキー島)」に、突如として大規模な軍事侵攻を開始しました。

装甲車を含む多数の軍用車両を展開したソ連軍部隊は、国境警備にあたっていた中国軍を急襲。

多数の死傷者を出す、痛ましい事態となりました(珍宝島事件)。

相次ぐ軍事衝突と深まる緊張

その後もソ連軍による軍事行動は収束せず、同年6月10日には新疆ウイグル自治区のバルルク山、7月8日には黒竜江省の八岔島地区へ侵入。

7月13日には、再び新疆ウイグル自治区で新たな流血事件を引き起こしました。

中ソ国境各地で、中国の領土・領海・領空への侵犯が繰り返され、両国関係は極度の緊張状態に陥ったのです。

切手発行の意義 ~危機を乗り越え、軍民の団結を世界に示す~

度重なるソ連軍の侵攻、そして深まる一方の国境の緊張。

まさに危機的状況の中、中国の国境警備隊と地域住民は、祖国を守るため固く団結し、勇猛果敢に立ち上がりました。 中でも、珍宝島における自衛反撃戦では、まさに軍民一体となり、圧倒的な軍事力を持つソ連軍の侵攻を見事に撃退することに成功したのです。

この歴史的な勝利を記念し、危機を乗り越えた軍民の揺るぎない団結を国内外に示すため、中華人民共和国郵電部は、1969年10月1日の国慶節(建国記念日)に記念切手を発行しました。

その切手こそが、「団結し国境を守る」です。

切手には、「毛沢東思想で武装した中国人民は不敗である」という、当時のスローガンが力強く刻まれました。

当時の中国において、切手は国民にメッセージを伝える極めて重要な媒体だったのです。

団結し国境を守る切手」は、まさに国威発揚の象徴といえるでしょう。

祖国防衛の固い決意と軍民一体となった国民の団結力を、切手を通じて世界に力強く発信したのです。

「団結し国境を守る切手」の図案に込められたメッセージ

この切手セットは、各図案が異なるテーマを持ちながら、全体を通して「国境防衛」と「軍民一体の団結」を力強く訴えかけています。

それぞれの切手が持つメッセージを、図案ごとに詳しく見ていきましょう。

✔ 毛沢東思想の労農兵(額面8分/発行枚数5,000万枚)
✔ 解放軍兵士と民兵(額面8分/発行枚数5,000万枚|額面35分/発行枚数300万枚)
✔ 解放軍の兵士たち(額面8分/発行枚数5,000万枚|額面43分/発行枚数700万枚)

図案1:「毛沢東思想の労農兵」

中ソ国境紛争が生んだ「文革切手」|『団結し国境を守る』5種セットの全貌

陸・海・空軍の兵士と、男女の民兵が共に肩を並べ、団結する姿が描かれています。

全員が赤い「毛主席語録」を掲げ、肩には銃剣を装着した銃を携行。

その表情には、いかなる敵にも屈しない強い決意が表れています。

切手下部には、「毛沢東思想で武装した中国人民は不敗である」という力強いスローガンが刻まれ、軍民一体となった団結力を世界に示しています。

発行枚数は5,000万枚と、他の8分切手と同数です。

図案2:「解放軍兵士と民兵」(8分切手と35分切手)

中ソ国境紛争が生んだ「文革切手」|『団結し国境を守る』5種セットの全貌

岩場の海岸線を背景に、海防警備にあたる解放軍兵士と民兵の姿が描かれています。

岩礁に身を潜め、銃を構えながら、海の彼方を警戒する兵士たち。張り詰めた緊張感がひしひしと伝わってくる構図です。

8分切手は5,000万枚発行されたのに対し、35分切手はわずか300万枚。

発行枚数に大きな開きがある点が、この図案の特徴です。

図案3:「解放軍の兵士たち」(8分切手と43分切手)

中ソ国境紛争が生んだ「文革切手」|『団結し国境を守る』5種セットの全貌

雪が降り積もる、厳寒の国境地帯。

前線で指揮を執る兵士が、右手に銃を握りしめ、部下たちに指示を出す、緊迫した一場面が描かれています。

極限状態でも揺るがない、兵士たちの強い意志が感じられる図案です。

この8分切手は、他の8分切手と同じく5,000万枚発行されました。

しかし、43分切手は700万枚と、35分切手に次ぐ少なさとなっています。

▼中国切手「団結し国境を守る」の詳細
・発行日:1969年10月1日
・額面:8分、35分、43分
・切手デザイン:全5種類
・発行枚数:300万枚~5,000万枚
・編号:文18

「団結し国境を守る切手」の価値とエラー切手の存在

中ソ国境紛争が生んだ「文革切手」|『団結し国境を守る』5種セットの全貌

「団結し国境を守る切手」は、中ソ対立という歴史的背景と、当時の中国の国防意識を色濃く反映した文化的意義から、切手市場において高い価値を誇るコレクターズアイテムです。

とくに、シリーズの中でも「毛沢東思想の労農兵」の人気は頭1つ抜けています。

さらに、この「毛沢東思想の労農兵切手」の図案には、銃剣部分が印刷されていない、いわゆる「銃剣なし」のエラー切手が存在するのです。

このエラー切手は、当時の劣悪な印刷技術によるエラーと推測され、通常切手よりも希少価値が高く、高値で取引されています。

切手買取に強みを持つ「福ちゃん」では、このような歴史的価値の高い文革切手、中国切手を積極的に買取させていただきます。

団結し国境を守る切手」は、保存状態が良好であれば、高価買取も期待できる逸品です。

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まとめ

団結し国境を守る切手」は、1969年の中ソ国境紛争という歴史の荒波の中で生まれました。

当時の中国社会における国防意識と、軍民一体の団結精神を、各図案を通して現代に伝えています。

この切手セットは、文革期の切手収集、あるいは歴史的資料としての価値を求める方々にとって、非常に魅力的なコレクションアイテムといえるでしょう。

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