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  • 2025.01.21

医療改革の先駆者たちを描く「はだしの医者切手」の歴史と価値

郵便切手と医療。

一見、無関係に思える両者ですが、1974年に中国で発行された「はだしの医者切手」は、この2つの世界を見事に融合させました。時代の変革期における人々の努力と希望を今に伝える、貴重なコレクターズアイテムといえるでしょう。

この切手セットは、医療をテーマとしながらも、単なる医療従事者の姿を描くにとどまらないのです。都市と農村間の医療格差解消を目指した国家の強い意志、近代化と伝統医療の調和、そして何よりも、人々の健康を守ろうとする崇高な使命感が込められています。

まさに、当時の中国社会が抱えていた課題と、その課題に立ち向かう人々の姿を凝縮した、小さな芸術作品ともいえる切手なのです。 当記事では、「はだしの医者切手」の発行背景、各図案に込められた意味、そしてコレクターが注目する市場価値について深掘りしていきます。

 

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「はだしの医者切手」とは?

医療改革の先駆者たちを描く「はだしの医者切手」の歴史と価値

「はだしの医者切手」は、1974年に中華人民共和国が発行した記念切手シリーズです。

この切手は、中国共産党の指導者であった「毛沢東」が1965年6月26日に発した「医療衛生事業の重点を農村に移せ」(通称「6.26指示」)という指示から9周年を記念して発行されました。

この指示は、当時の中国における農村医療の改革を推し進める上で、極めて重要な転換点となりました。

「はだしの医者」の制度

はだしの医者」制度は、1960年代の中国が直面していた深刻な農村医療問題への対策として生まれました。

当時、医師や医療設備は都市部に集中し、広大な農村部では医療サービスが著しく不足していました。この状況を打開するため、1965年6月26日、毛沢東は農村における医療の充実を求める重要な指示を出します。

この制度が初めて実践されたのは、1968年の上海市川沙県でした。

「はだしの医者」とは、短期間の医療訓練を受けた農村出身の人々のことを指します。

彼らの最大の特徴は、専任の医療従事者ではない点です。普段は農作業に従事しながら、必要に応じて地域の医療ニーズに応えるという、半農半医のスタイルで活動した点です。

彼らは基本的な医療知識と技術を習得し、予防接種から簡単な治療に加え、伝統的な中国医学に基づく医療まで、幅広いサービスを提供しました。

はだしの医者切手」の発行は、中国が推し進めていた農村医療体制の改革と、医療の地域格差解消への強い決意を国内外に示すものでした。

はだしの医者たちの献身的な活動は、中国の農村医療の発展に大きく寄与したのです。

その功績は、この切手シリーズを通じて、後世に伝えられることとなったのです。

「はだしの医者切手」の発行枚数とデザイン

はだしの医者切手」は、全4種類のデザインで構成されるセットで発売されました。

切手の額面はすべて8分で統一されており、発行枚数も各1,000万枚と共通しています。

各図案のテーマは以下のとおりです。

当時の農村医療の現場を、生き生きと描写しています。

✔ 予防注射(額面8分、発行枚数1,000万枚)
✔ 深夜の往診(額面8分、発行枚数1,000万枚)
✔ 薬草の採取(額面8分、発行枚数1,000万枚)
✔ ハリ治療(額面8分、発行枚数1,000万枚)

図案「予防注射」

医療改革の先駆者たちを描く「はだしの医者切手」の歴史と価値

ひまわりが咲き誇る農家の庭先で、白衣を着た女性の「はだしの医者」が、農村の子どもたちに予防接種を行っている様子が描かれています。

背景には伝統的な農家の家屋が描かれ、のどかな農村の風景が広がっています。

医療従事者の穏やかな表情と、子どもたちの健康を守るという使命感が印象的なデザインです。

図案「深夜の往診」

医療改革の先駆者たちを描く「はだしの医者切手」の歴史と価値

嵐の夜、「はだしの医者」が懐中電灯を手に、急患のもとへ駆けつける姿が描かれています。

肩には薬箱をかけ、雨風に立ち向かい、水たまりを渡っていく様子は、献身的な医療活動を力強く象徴しているのです。

農村医療に従事する者の使命感と、強い決意が伝わってくる図案です。

図案「薬草の採取」

医療改革の先駆者たちを描く「はだしの医者切手」の歴史と価値

険しい山々を背景に、「はだしの医者」である2人の女性が、薬草採取に励む姿が描かれています。

背中には薬草を入れる籠を背負い、手には鍬を持って、伝統的な漢方薬の原料となる薬草を探し集めています。

自然と向き合いながら、伝統医療を支える重要な活動の一面を描いた図案です。

図案「ハリ治療」

医療改革の先駆者たちを描く「はだしの医者切手」の歴史と価値

広々とした田畑を背景に、「はだしの医者」が農作業中に体調を崩した農民に、その場でハリ治療を施している場面が描かれています。

伝統的な中国医学の手法を用いて、農民の健康を守る姿が印象的です。

労働現場での迅速な医療対応という、「はだしの医者」ならではの機動力を表現した図案といえるでしょう。

▼中国切手「はだしの医者」の詳細
・発行日:1974年6月26日
・額面:8分
・切手デザイン:全4種類
・発行枚数:各1,000万枚
・編号:革18(新18)

「はだしの医者切手」の市場価値

医療改革の先駆者たちを描く「はだしの医者切手」の歴史と価値

はだしの医者切手」シリーズは、1974年の発行当時、額面8分で販売されました。

発行枚数が比較的多いことから、極端なプレミア価格が付くことは稀であるものの、中国の重要な医療政策を記念した歴史的意義のある切手として、コレクターの間で根強い人気を誇っています。

とくに、保存状態の良いものは「額面以上の価値(価格)」で取引されることも珍しくありません。

また、4種類すべてが揃った未使用の完全シートは、希少性が高く、高値で取引される傾向です。

各図案間での価値の差は、ほとんど見られません。しかし市場では、「深夜の往診」が他の図案と比較して、若干人気が高い傾向が見受けられます。

コレクターの間では、この切手シリーズの歴史的・文化的価値が重視されているのです。

以下の3点が、主な評価ポイントとなっています。

☑ 中国の農村医療政策を象徴する記念碑的切手である点
☑ 芸術性の高いデザインが評価されている点
☑ 文化大革命期の社会情勢を反映した貴重な歴史資料である点

発行から50年近くが経過し、保存状態の良い切手は年々減少傾向にあります。

そのため、完全な未使用品は入手が困難になりつつあり、今後ますますその価値が高まっていくことが予想されるのです。

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まとめ

はだしの医者切手」の発行は、農村医療従事者の献身的な活動を称えるとともに、農村における医療環境の改善に対する国家の強い関心を反映したものでした。

この切手は、当時の中国における農村医療体制の変革と、その試みを象徴する貴重な「コレクションアイテム」といえるでしょう。

単なる郵便切手としての枠を超え、時代の変革期における人々の努力と希望を今に伝える、「小さな芸術作品」なのです。

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