中国切手「アメリカ黒人の闘争支持」に隠された文革の真実とは?
小さな切手に、時代を揺るがす大きなメッセージが込められることがあります。
1960年代後半、世界はベトナム戦争と「公民権運動」の激動の渦中にありました。
そのような中、中国で発行された1枚の切手。深紅の背景に金色の文字が刻まれたその切手は、「アメリカ黒人の闘争支持」を表明し、国際社会に衝撃を与えました。
「アメリカ黒人の闘争支持切手」は、単なる切手ではありません。
冷戦、文化大革命、そして世界的な人種差別撤廃運動という、複雑に絡み合った歴史の潮流を映し出す鏡なのです。
今回は、この時代に翻弄された中国切手「アメリカ黒人の闘争支持」の知られざる物語に迫ります。
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目次
「アメリカ黒人の闘争支持切手」とは?
1968年、文化大革命の真っ只中にあった中国で、異色の切手が発行されました。
「アメリカ黒人の闘争支持切手」と呼ばれるこの切手は、中国が国際的な連帯を示す象徴として発行された、いわゆる「文革切手」の1つです。
なぜ中国は黒人解放運動を支持? 切手の発行背景に迫る!
「アメリカ黒人の闘争支持切手」の発行背景には、1950年代から60年代にかけてアメリカで激化した公民権運動があります。
1955年のモントゴメリー「バス・ボイコット運動」を皮切りに、黒人たちは人種差別撤廃を求めて立ち上がりました。1963年には25万人規模の「ワシントン大行進」が行われ、運動は全米に拡大。とくに1960年代後半には、ニューヨーク・ハーレム地区での暴動をきっかけに、抗議行動はさらに激化し、全米160以上の都市に飛び火しました。
この状況を深刻に受け止めた毛沢東主席は、1968年4月16日に「アメリカ黒人抵抗運動支持声明」を発表。世界に向けて、アメリカ黒人の闘争を支持するよう呼びかけました。
「アメリカ黒人の闘争支持切手」は、この声明を記念して発行されたのです。
これまでの文革切手とは異なり、中国の国際問題への姿勢を明確に示した点が大きな特徴です。
単なる記念切手としてだけでなく、中国が人権問題に積極的に関わっていたことを示す歴史的資料としても、その価値は高いといえるでしょう。
毛沢東が黒人解放運動を支持!?「アメリカ黒人の闘争支持切手」のデザインを解説
「アメリカ黒人の闘争支持切手」は、1968年に1,500万枚発行されました。
8分の額面で、当時の中国の重要な政治的メッセージを込めた切手として知られています。
図案は「毛主席と声明文」の1種類のみ。
深紅を基調とした「縦54mm×横40mm」の大判サイズで、毛沢東の力強い存在感が際立つデザインです。
天安門に立つ毛沢東!「毛主席と声明文」のデザインに隠された意味とは?
切手の右側に描かれているのは、天安門で群衆に手を振る「毛沢東」の姿です。毛沢東は「中山服(ちゅうざんふく)」を身につけ、堂々とした立ち姿と自信に満ちた表情が印象的。
切手の左側には、毛沢東がアメリカ黒人の闘争を支持する声明の一部が、金色の文字で記されています。深紅と金色のコントラストが、毛沢東のリーダーシップと力強いメッセージを強調しているのです。
中国の国際的な立場を表現した、歴史的にも貴重な切手といえるでしょう。
▼中国切手「アメリカ黒人の闘争支持」の詳細
・発行日:1968年5月31日
・額面:8分
・切手デザイン:1種類
・発行枚数:1,500万枚
・編号:文9
「アメリカ黒人の闘争支持切手」の価値はプレミア級!?
「アメリカ黒人の闘争支持切手」は、コレクターにとってたまらない逸品です。
数ある中国切手の中でも、トップクラスの価値を誇るプレミアム切手といえるでしょう。
1967年から1970年にかけて発行された「文革切手」は、購入制限があったため希少価値が高く、高値で取引されるものが多いのが特徴です。
この切手も例外ではありません。
とくに、35枚で構成されるフルシートは、状態が良いものほど希少価値が高まります。もしお手元に良品のフルシートをお持ちなら、大切に保管されることをオススメします。
しかし、切手の保管は意外と難しいもの。
高温多湿や直射日光を避けるなど、適切な環境で保管しなければ、劣化してしまう可能性があります。
もし保管に不安がある場合は、切手買取を検討してみてはいかがでしょうか?
中国切手は保存状態によって価値が大きく変わるため、早めに専門業者に査定を依頼するのが賢明です。
買取福ちゃんでは、「アメリカ黒人の闘争支持切手」をはじめ、さまざまな中国切手の買取を行っています。
シートはもちろん、バラ切手でも1枚から丁寧に査定いたしますので、お気軽にご相談ください。
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まとめ
文化大革命期の中国は、社会主義の正当性をアピールしながら、アメリカなどの西側諸国に対抗する姿勢を強めていました。
実は、毛沢東がアメリカ黒人の闘争を支持したのは、1968年が2回目。最初の支持表明は1963年8月に行われており、この切手は中国の一貫した姿勢を表明するものだったのです。
これまでの文革切手は、国内向けの政治的メッセージが中心でした。
しかし、この切手は国際的な連帯を訴える、新たな政治的表現となりました。
中国は、アメリカ黒人の闘争支持を国内プロパガンダにも利用し、人民の国際的な連帯意識を高めようとしました。さらに、国際社会に向けては、抑圧された人々の味方であるというイメージを強調。
中国の政治的立場を世界に示し、国内外の支持を集める狙いがあったと考えられます。
このように、「アメリカ黒人の闘争支持切手」は、中国の国内外の政治戦略を反映した、歴史的にも重要な切手といえるでしょう。