「桂林山水切手」に買取価値はある？中国の絶景8選を収めた名作について解説
1980年に発行された「桂林山水切手」は、悠久の歴史と自然が織りなす絶景を8枚の切手に凝縮した、まさに中国美術の粋を集めたシリーズです。
「桂林山水甲天下（桂林の山水は天下一）」と称えられる、広西チワン族自治区桂林の「神秘的な山々」と「漓江の風景」を、伝統的な中国画の技法で鮮やかに描き出しています。
発行から40年以上経った今でも、その芸術性の高さから、多くのコレクターを魅了し続けている中国切手です。
この記事では、全8種の切手の図案に秘められた、物語や背景。そして、コレクターズアイテムとしての買取価値について詳しく解説していきます。
「桂林山水切手」を通して、中国が誇る山水画の世界に触れてみませんか？
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目次
「桂林山水切手」とは？
「桂林山水切手」は、1980年に中国が世界に向けて発行した、壮大な自然景観を描いた特殊切手シリーズです。
改革開放政策が進み、中国が自国の文化や自然の美しさを国内外に発信する機運が高まる中、この切手は誕生しました。
テーマとなったのは、「桂林山水甲天下（桂林の山水は天下一）」と謳われる、広西チワン族自治区桂林市周辺の山水風景。中国を代表する観光地として名高い桂林の、独特な景観を8枚の切手に凝縮しています。
それぞれの切手には、桂林の代表的な絶景が描かれているだけでなく、その地に根付く文化や人々の暮らしも感じられる、まさに桂林の魅力を余すところなく表現したシリーズとなっています。
「桂林山水切手」のデザインと特徴
「桂林山水切手」は、横長4種・縦長4種の計8枚からなる、中国「桂林」の息を呑むような風景を収めた切手セットです。
切手には、「珠洞剣石」「三山遠眺」「九馬画山」など、桂林を代表する名勝が描かれています。中国画の大写意技法を用い、墨の濃淡や彩りで雲や霧の中に浮かぶ桂林山水の姿を、見事に表現しているのが特徴です。
まるで、1枚の絵画を見ているような美しさがあります。
【桂林山水切手】デザインテーマ一覧
✔ 珠洞剣石（額面8分、発行枚数1,500万枚）
✔ 三山遠眺（額面8分、発行枚数1,500万枚）
✔ 九馬画山（額面8分、発行枚数1,500万枚）
✔ 古榕白鷺（額面8分、発行枚数1,500万枚）
✔ 西山夕照（額面8分、発行枚数1,500万枚）
✔ 灘江月夜（額面8分、発行枚数1,500万枚）
✔ 瀑水古浪（額面60分、発行枚数150万枚）
✔ 陽朔景道（額面70分、発行枚数150万枚）
ここからは、各図案の詳細について解説します。
図案：珠洞剣石
「珠洞剣石」の図案として描かれているのは、伏波山の麓に佇む神秘の洞窟「還珠洞」です。
洞窟内部から外を眺める視点で描かれた図案は、まるで自分が洞窟探検をしているかのよう。
洞内には、地面すれすれに浮かぶ「試剣石」に加え、剣で切り取られたような隙間が描かれ、伝説の物語へと想像をかきたてます。
壁一面に刻まれた古代石刻や仏像は、千年の歴史を静かに物語ります。洞窟を抜けると、漓江の穏やかな水面に山々が映り、小舟がゆったりと進む、絵画のような風景が広がるのです。
図案：三山遠眺
「三山遠眺」の図案として描かれているのは、桂林を代表する3つの山々を一望できる絶景のパノラマです。
右手に目を向けると、象が鼻を伸ばして水を飲む姿にそっくりな「象鼻山」が見えます。山頂には、明代に建てられた歴史ある「普賢塔」が佇みます。
象の鼻と脚の間に見えるのは「水月洞」です。満月が水面に浮かぶ、幻想的な光景が広がります。
左側に見えるのは、南北に貫かれた大きな洞窟を持つ「穿山月岩」です。山頂には、名前の由来となった月のような大きな穴が開いています。中央にそびえる「宝塔山」の頂上には、美しい宝塔が輝きます。
これら3つの山々の間を、漓江がゆったりと流れ、舟が行き交う様子が描かれた、まさに桂林の美を凝縮した1枚です。
図案：九馬画山
広西チワン族自治区の陽朔県に位置する、漓江沿いの絶景「九馬画山」の雄大な姿を捉えた図案です。
切手には、巨大な断崖絶壁が描かれ、その表面にはさまざまな色の石紋が織りなす、自然のアートが広がります。まるで、9頭の馬が疾走する姿に見えることから「九馬画山」と名付けられた、神秘的な景観です。
崖下の漓江には小舟が浮かび、雄大な自然の中で人々の営みが静かに息づいています。自然と人間が調和する、美しい情景を堪能できる1枚です。
図案：古榕白鷺
「古榕白鷺」の図案には、桂林山水の象徴ともいえる、数百年の時を生き抜いた巨大な榕（ガジュマル）の木を中心に描かれています。
隋代に植えられたとされるこの榕の木は、幾重にも重なる幹と空を覆うように広がる枝が特徴です。まるで緑の傘のように、田園風景に溶け込んでいます。
その周囲を優雅に舞う白鷺たちは、古榕の木で羽を休め、のどかな田園風景に生命の息吹を吹き込んでいます。背景に描かれているのは、映画「劉三姐」の舞台としても知られる、古い渡し場です。
この切手の図案は、桂林の豊かな歴史と文化を感じさせてくれます。
図案：西山夕照
「西山夕照」の図案に描かれているのは、「桂林八景」の1つとしても知られる、夕日に照らされた西山（屏風山）の美しい景色です。
夕日が西山の峰々を赤く染め上げ、山の色が濃い墨色に変わるこの時間帯、山々はまるで燃えるような朱色に輝きます。
山腰には「六角亭」や「臥雲亭」が建っており、これらの建物も夕日に照らされ、鮮やかな色合いを見せます。
川の上にはゆったりとした舟影が浮かび、山と人々が一体となって夕焼けに包まれる光景は、まさに絶景と呼べるでしょう。
図案：灘江月夜
「灘江月夜」の図案に描かれているのは、息を呑むほど美しい漓江の夜景です。
夜空に浮かぶ満月が、穏やかな水面に反射し、川全体を幻想的な光で包み込みます。まるで薄いベールをまとったかのような、神秘的な情景が広がるのが印象的です。
月明かりの下、水面には周囲の山々の影が静かに揺らめき、両岸の村々からは温かな灯りが漏れ出ています。また、川面には静かに浮かぶ舟の影も。静寂な夜の中にも、人々の生活の息遣いが感じられる、心に残る風景です。
図案：瀑水古浪
「瀑水古浪」の図案に描かれているのは、古き良き時代の渡し場の風景です。
切手の中央には、長い年月を経た巨大な榕樹が堂々とそびえ立ち、その根元から石畳の小道が渡し場へと続いています。水際に描かれているのは、天然の岩が突き出し、渡し舟がゆっくりと近づいてくる様子です。
背景には切り立った岩壁と、勢いよく流れ落ちる滝が描かれ、雄大な自然と人々の暮らしが織りなす美しい調和を感じさせます。
図案：陽朔景道
「陽朔景道」に描かれているのは、漓江観光の締めくくりにふさわしい、絶景ポイントです。
碧蓮山の山腹に沿って造られたこの道は、赤と緑の斑岩で舗装され、山と川の間を優雅に蛇行しています。山麓には、「鑑山楼」と「迎江閣」という2つの楼閣が建ち、これらの建物からは漓江の絶景を一望できます。
山々の緑、道の赤と緑。そして、川の青が織りなす色彩のハーモニーは、まさに桂林の自然美の集大成といえるでしょう。
▼中国切手「桂林山水」の詳細
・発行日：1980年8月30日
・額面：8分、60分、70分
・切手デザイン：全8種類
・発行枚数：150万枚～1,500万枚
・編号：T53
希少性と保存状態が価値を左右する「桂林山水切手」
「桂林山水切手」は、比較的発行枚数が多いシリーズのため、入手しやすい切手として知られています。
しかし、発行から40年以上が経過した現在、未使用かつ状態の良い切手は数が少なくなっています。とくに、全種セットや切手ブロックは希少価値が高まり、コレクターの間で高値で取引されるケースも珍しくありません。
とくに注目すべきは、「瀑水古浪」と「陽朔景道」の2種類です。
これらの発行枚数はわずか150万枚と、他の6種類に比べて圧倒的に少なく、未使用の状態であれば額面以上の買取価格を期待できます。
また、切手の状態も査定額に大きく影響しますので、保管には注意が必要です。
未使用であっても、汚れやシミ、折れ目があると価値は下がってしまいます。そのため、「桂林山水切手」を少しでも高く売るためには、適切な保管方法で良好な状態を保つことが重要です。
直射日光や湿気を避け、丁寧に保管することで、切手の価値を維持しましょう。
もしご自宅に「桂林山水切手」があり、その価値をお知りになりたい方、または売却をご検討されている方は、ぜひ「買取福ちゃん」にご相談ください。
中国切手に精通した専門の査定士が、切手の状態や希少性などを総合的に評価し、適正な価格で買取させていただきます。
査定は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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まとめ
中国切手「桂林山水」シリーズは、桂林の息を呑むような自然の景観と歴史に彩られた名所を称え、その魅力を中国全土、そして世界へと発信する役割を担ってきました。
桂林は、中唐以降、その美しい風景で人々を魅了し、多くの文化財や古跡が現在まで大切に保存されています。とくに、2,000点以上もの石刻が各所に点在していることは、桂林が古くから文化・芸術の中心地として栄えてきたことを物語っています。
このような背景から、「桂林山水切手」は、単なるコレクターズアイテムとしての価値を超え、中国の豊かな自然美と悠久の歴史を後世に伝える役割も持ち合わせているのです。
「桂林山水切手」は、中国への深い愛情と尊敬の念を抱く人々にとって、かけがえのない宝物となるでしょう。
