中国切手「武術」(1975年発行)の価値と魅力を徹底解説!希少なテート・ベッシュ印刷とは?
その精神と技を伝える貴重な資料として、1975年に発行されたのが中国切手「武術」シリーズです。 当記事では、各切手に描かれた武術の技とその背景、そしてコレクター垂涎の的である「テート・ベッシュ印刷」について解説します。
中国武術の奥深さに触れながら、切手収集の楽しみや価値を見出す旅へご案内します。
お手持ちの切手の売却を検討されている方も、ぜひご一読ください。
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目次
中国の伝統と精神を伝える「武術切手」(1975年発行)
1975年に発行された中国切手「武術」シリーズは、中国の伝統文化とスポーツの発展を体現する特別な切手コレクションです。
中国武術は、古代哲学や医学、美学などの影響を受けながら、長い歴史の中で進化を遂げてきました。生存のための闘争や自衛手段として生まれた武術は、時代と共に健康増進や精神修養、娯楽としての側面を強め、中国独自のスポーツ・思想・文化を融合した運動形式として確立したのです。
1970年代、中国政府は武術の普及に注力し、国民の健康増進と文化遺産の継承を目指しました。
「武術切手」の発行は、武術が中国の貴重な文化遺産であることを国民に再認識させ、その魅力を広く伝える役割を果たしました。
「武術切手」のデザインとバリエーション
中国切手「武術」の概要を以下に記載します。
▼中国切手「武術」の詳細
・発行日:1975年6月10日
・額面:8分、43分(※100分=1元)
・切手デザイン:全6種類
・発行枚数:200万枚~600万枚
・編号:T7
全6種類のデザインは、それぞれ異なる武術の技をモチーフとしています。
横長の切手デザインで、43分切手のみ、ほかの切手よりも横幅が長く、大きめのサイズです。
各デザインのテーマと発行枚数は、以下のとおりです。
✔ 刀術(額面8分、発行枚数600万枚)
✔ 剣術(額面8分、発行枚数600万枚)
✔ 拳術(額面8分、発行枚数600万枚)
✔ 槍術(額面8分、発行枚数600万枚)
✔ 棒術(額面8分、発行枚数600万枚)
✔ 三節棍対双槍(額面43分、発行枚数200万枚)
それぞれのデザインは、武術の力強さ、繊細さ、そして美しさを余すところなく表現しています。
各詳細について、一緒に見ていきましょう。
刀術
「刀術」の切手は、中国武術の中でも、とくに力強さとスピードが求められる刀術の醍醐味を余すところなく表現しています。
中央に描かれた男性武術家は、「仆歩(ぼくほ)」と呼ばれる低い姿勢で、左足を前に、右足を後ろに引いています。この姿勢は、力強さと柔軟性を兼ね備えた刀術の基本スタンスです。
武術家の手には、見る者を圧倒する大きな刀が握られています。
その姿は、まるで猛虎が獲物に襲いかかる瞬間を切り取ったかのような迫力と躍動感にあふれています。刀術ならではの力強さとスピード感が、切手全体から伝わってくるようです。
剣術
「剣術」の切手には、女性武術家が剣を操り、優雅かつ力強く舞う姿が描かれています。
剣術ならではの軽快さ、俊敏さ、そして美しさが、この1枚に凝縮されているのです。
女性武術家は、「燕式平衡」と呼ばれる高度な技を披露しています。片足で立ち、もう一方の足を高く上げるこの姿勢は、バランス感覚と柔軟性を極限まで高めなければ成し得ません。
彼女の手には、銀色に輝く剣が握られ、水平に構えられています。剣に結ばれた赤い房飾りが風にたなびく様子は、動的な印象を与え、剣術のスピード感と華麗さを際立たせています。
拳術
「拳術」の切手は、女性武術家が徒手による拳術の技を繰り出す瞬間を捉えています。拳術の基本である徒手技法に焦点を当てたデザインです。
彼女の足元を見ると、後ろ足は地面をしっかりと踏みしめ、つま先を外側に向けて膝を深く曲げています。この安定した後ろ足に体重の大部分を乗せることで、力強い姿勢を保っているのです。
一方、前足は軽く曲げられ、つま先だけが地面に触れています。この「虚歩」と呼ばれる足の位置は、次の動きへの準備を表しており、拳術の素早さを表現しています。
両腕の動きも印象的です。
左手は前方に伸ばされ、掌を開いています。これは「亮掌」と呼ばれる手の形で、相手を押し返す、あるいは気を放出するような力強さを感じさせます。指先は力強く伸び、手のひら全体からエネルギーがあふれ出ているようです。
この切手は、攻撃と防御、そして柔軟な体の動きが一体となった拳術の基本的な動きを、美しい流れとして表現しています。
槍術
「槍術」の切手は、中国武術の中でも、とくにダイナミックで迫力あるシーンを捉えています。
目を奪われるのは、空中に舞う男性武術家の躍動感あふれる姿です。彼は槍を構え、飛翔する瞬間を切り取られており、その姿は見る者を圧倒します。
武術家の手には、銀色に輝く長槍が握られています。槍は体と平行に構えられ、その先端は切手の右端まで伸びるほどの長さです。
この切手は、槍術の基本である「突き」と、力強い「跳躍」が一体となった瞬間を捉え、槍術の迫力と美しさを余すところなく伝えています。
棒術
「棒術」の切手は、女性武術家が棒を操り、力強く演武する姿を捉えています。棒術の力強さと技術の巧みさを表現したデザインです。
中国では一般的に「棍術」と呼ばれるこの武術は、文字通り棒を用いた技が特徴です。切手の中の女性武術家は、力強さと素早い反応を象徴する基本姿勢を披露しており、棒術の精髄を体現しています。
背景には、薄く木々や花が描かれ、自然と調和しながら行われる棒術の精神が表現されています。
三節棍対双槍
「三節棍対双槍」の切手は、3人の武術家による迫力ある演武シーンを捉えています。
切手の右側には、「三節棍」を操る武術家が描かれています。
三節棍は3つの短い棒が鎖で繋がった武器で、複雑な動きが特徴です。3つの節が自在に入れ替わり、攻守一体、遠近自在の強力な武器として知られています。
左側に描かれているのは、双槍(2本の槍)を操る2人の武術家です。彼らは空中に跳躍し、両手に持った槍を前方に突き出しています。この跳躍しながら槍を水平に突き出す技は、槍術の中でも高度な技術を要するのです。
対峙する武術家たちの動きは、まるで舞踊のように調和しています。三節棍の曲線的な動きと、双槍の直線的な動きが織りなすコントラストは、中国武術の多様性と奥深さを象徴しています。
武術切手の「テート・ベッシュ」とは?
武術切手は、新中国では初となる「テート・ベッシュ」印刷が採用された点でも注目に値します。
「テート・ベッシュ(tete-beche)」とは、フランス語で「頭と尻尾」を意味し、切手収集の世界では、切手が上下逆さまに印刷された状態を指す専門用語です。
同じデザインの切手が上下逆さまに配置され、対になっている状態を指します。
武術切手のシートでは、このテート・ベッシュ技法が用いられており、全体デザインに独特の視覚効果をもたらしています。上下逆さまに配置された切手同士が鏡像のように対称性を生み出し、デザインに動きと変化を与えているのです。
とくに、武術切手のような躍動感あふれるデザインでは、テート・ベッシュによってそのダイナミックな印象がさらに強調されます。
テート・ベッシュは珍しい印刷技法であるため、コレクターにとっては非常に魅力的な要素です。たとえば、日本国内では1972年発行の「札幌オリンピック冬季大会記念切手」にこの技法が採用されています。
武術切手もまた、テート・ベッシュという希少性によって、その収集価値を高めています。
「武術切手」の価値を高める秘訣と高価買取のコツ
美しいデザインと文化的な価値を持つ「武術切手」は、コレクターの間で根強い人気を誇ります。
発行から長い年月が経ち、未使用かつ美品の状態の切手は希少価値が高く、市場では高値で取引されることも珍しくありません。とくに、前述した「テート・ベッシュ」印刷の切手は、その希少性からコレクター垂涎の的となっています。
市場に出回る数が限られているため、6種完品で美品の状態であれば、高額買取が期待できます。
「武術切手」を高く売るためには、保存状態も重要です。
切手は湿気や紫外線に弱いため、保管方法によって価値が大きく左右されます。直射日光や湿気を避けて保管された切手は、色あせやシミなどがなく、高値での買取が期待できます。一方、日焼け・折れ・汚れ・破れなどがある切手は、価値が下がってしまうため注意が必要です。
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まとめ:激動の時代を映す「武術切手」
1975年、文化大革命終盤の中国は、社会全体が大きな変革期にありました。
長らく軽視されてきた伝統文化の価値が見直され始め、武術もその1つでした。
武術は、中国の文化的アイデンティティを語る上で欠かせないものでしたが、文化大革命期にはその価値が見過ごされていました。しかし、1970年代半ば頃からは、健康増進や精神修養、文化遺産としての側面が再評価され始めます。1975年に国家体育委員会が「武術運動の発掘と整理の作業を適切に行う」という方針を打ち出したことは、この変化を象徴する出来事でした。
このような時代背景の中で発行された「武術切手」は、中国政府がスポーツと体育の発展を重視し、武術を近代的なスポーツとして位置づけようとする意図を反映しています。
「武術切手」は、単なる切手コレクションの枠を超え、激動の時代における文化復興の象徴として、今もなお多くのコレクターを魅了し続けています。