文化大革命後の中国伝統芸能を描いた逸品！1983年の中国切手「京劇の女役」とは？
文化大革命後の中国で、伝統文化復興の象徴として発行された「京劇の女役」切手。その1枚1枚には、200年以上の歴史を誇る京劇の華やかな世界が鮮やかに描かれているのが特徴です。
当記事では、この希少な切手セットの魅力を余すところなくご紹介します。切手の発行背景や各切手のデザインに込められた意味を紐解きながら、京劇の世界へと誘います。 さらに、切手コレクター必見の情報も満載！発行枚数や買取価値など、切手買取を検討されている方にも役立つ情報を詳しく解説します。
京劇の奥深さと中国切手の魅力を再発見するのに役立つ情報を、余すことなくお届けします。
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目次
中国伝統芸能の粋を集めた「京劇の女役」切手
1983年に中国郵電部が発行した「京劇の女役」切手。
200年以上の歴史を誇る中国の国劇、京劇の魅力を余すところなく伝える特殊切手です。
京劇は、その華麗な舞台演出と独特の演技様式で「国劇」と称され、中国国内のみならず世界中で愛されています。
この切手セットは、京劇の中でもとくに人気のある「旦（女性役）」に焦点を当て、その多様な魅力を表現しているのです。旦役はさらに、「正旦（青衣）」「花旦」「貼旦」「武旦」「閨門旦」「老旦」「彩旦」の7種類に分類され、それぞれが個性的な魅力を放ちます。
1枚1枚の切手には、これらの旦役を演じる名優たちの姿が生き生きと描かれ、京劇の奥深さを感じられます。
「京劇の女役」切手は単なる切手という枠を超え、京劇の文化的な価値を高め、その保存と継承に貢献することを目的として発行された、貴重な芸術作品といえるでしょう。
8人の女形が織りなす華麗なる舞台！「京劇の女役」切手のデザインと魅力
▼中国切手「京劇の女役」の詳細
・発行日：1983年7月20日
・額面：4分～80分（※100分＝1元）
・切手デザイン：全8種類
・発行枚数：251.16万枚～944.86万枚
・編号：T87
8枚組で構成される「京劇の女役」切手は、1枚1枚が京劇の名場面を切り取った図案が特徴的です。
豪華絢爛な衣装をまとい、表情豊かに演じる女形たちの姿は、見る者を京劇の世界へと誘います。それぞれの切手には、異なる京劇の演目から選ばれた魅力的な女性キャラクターが描かれているのがポイントです。
以下に、各切手のデザインテーマと発行枚数をご紹介します。
✔ 孫玉姣（額面4分、発行枚数591.71万枚）
✔ 陳妙常（額面8分、発行枚数944.86万枚）
✔ 白素貞（額面8分、発行枚数870.52万枚）
✔ 十三妹（額面8分、発行枚数925.61万枚）
✔ 秦香蓮（額面10分、発行枚数643.51万枚）
✔ 楊貴妃（額面20分、発行枚数591.43万枚）
✔ 崔鶯鶯（額面50分、発行枚数251.16万枚）
✔ 穆桂英（額面80分、発行枚数251.16万枚）
各切手のデザイン詳細については、下記より解説します。
孫玉姣
1枚の絵画のような「孫玉姣」切手は、京劇「玉鐲を拾う（拾玉鐲）」のロマンティックなワンシーンを捉えています。
物語は、陝西の指揮官「傅朋」が、美しい娘「孫玉姣」に一目惚れするところから始まります。
傅朋は孫玉姣への愛を込めて玉の腕輪を贈ろうとしますが、彼女は恥ずかしさのあまり、それを受け取れません。そこで、傅朋は一計を案じ、腕輪を地面に落とし、孫玉姣が拾うように仕向けます。
この様子を見ていた劉婆は、2人の仲を取り持つことを約束するのです。
切手には、玉の腕輪を手にした孫玉姣が、恥じらいながらも嬉しそうな表情で腕輪を見つめる姿が描かれています。繊細な筆致で描かれた彼女の着物や髪飾り、そして柔らかな色彩は、京劇の優雅さと孫玉姣の可憐さを際立たせているのです。
この切手は、2人の恋の始まりを予感させる、ロマンティックな雰囲気に満ちています。
陳妙常
「陳妙常」切手は、京劇「秋江」のヒロイン、陳妙常の切ない恋物語を情感豊かに表現しています。
若い尼僧である陳妙常は、書生の潘必正と恋に落ちますが、2人の仲は老尼僧に見破られ、潘必正は寺を追われてしまいます。愛する人を失いたくない陳妙常は、舟を出し潘必正を追いかけることを決意するのです。
切手には、舟に乗った陳妙常が手に払子を持ち、水袖を収め、潘必正の姿を探しながら前を見つめる姿が描かれています。彼女の表情には、愛する人への強い想いと再会への焦りが入り混じり、見る者の心を打ちます。
果たして2人は再会できるのか？
切ない恋物語の結末を想像しながら、陳妙常の切実な想いに寄り添ってみましょう。
白素貞
「白素貞」切手は、中国四大民間説話の1つであり、日本でもアニメ映画で有名な「白蛇伝」のヒロイン、白素貞のドラマティックな場面を捉えています。
千年の修行を経て人間へと姿を変えた白蛇の精・白素貞は、西湖で出会った青年・許仙と恋に落ちます。しかし、2人の幸せは長くは続きません。高僧・法海によって正体を暴かれた白素貞は、愛する許仙を失ってしまうのです。
切手には、夫を救うため、命がけで仙草を求めて疾走する白素貞の姿が描かれています。美しい衣装を翻しながらも、その表情には悲しみと決意が入り混じり、見る者の心を揺さぶります。
白蛇伝は、日本初の長編カラーアニメーション映画の題材にもなり、スタジオジブリ作品で知られる「宮崎駿監督」の人生に影響を与えたことでも有名な民話です。
切手を通して、愛と悲劇に彩られた白素貞の物語に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
十三妹
「十三妹」切手は、京劇「十三妹」の主人公「何玉鳳」が、父の無念を晴らすため、武芸を極め悪に立ち向かう勇ましい姿を力強く表現しています。
何玉鳳は、父が冤罪によって命を落としたことをきっかけに、正義のために戦うことを決意。「十三妹」と名乗り、剣と弓を手に、悪党たちを成敗していきます。
切手に描かれているのは、凛々しい表情で武器を構え、今まさに戦いに挑まんとする十三妹の姿です。その姿からは、内に秘めた熱い情熱と、正義を貫く強い意志が感じられます。
困難に立ち向かい、弱きを助け、悪を討つ。勇敢な女傑・十三妹の生き様を、この1枚の切手から感じ取ってみてください。
秦香蓮
「秦香蓮」切手は、京劇「秦香蓮」の悲劇のヒロイン、秦香蓮の苦悩と力強さを鮮やかに描き出しています。
物語は、宋代の書生・陳世美が科挙試験に合格し、富と地位を得るために故郷の妻・秦香蓮と子どもたちを捨てるところから始まります。数年後、秦香蓮は子どもたちを連れて陳世美を探し出し再会を果たしますが、彼は冷酷にも彼女を拒絶し、命まで狙うように……。
切手には、粗末な布衣を身にまとった秦香蓮が、悲しみと怒りを湛えた表情で毅然と立つ姿が描かれています。その瞳には、愛する夫への失望と、子どもたちを守るための強い意志が宿っているのです。
この1枚の切手は、裏切られた愛の悲しみと母としての強さ、そして正義を貫く決意を、京劇の情感豊かな表現を通して伝えています。
楊貴妃
「楊貴妃」切手は、京劇「貴妃酔酒（別名：百花亭）」のヒロイン、楊貴妃が味わう孤独と悲しみを、華やかな舞台の裏側に垣間見せる1枚です。
唐の「唐明皇（玄宗皇帝）」から寵愛を受けた楊貴妃ですが、切手には、皇帝との約束を破られ、1人寂しく酒に酔いしれる姿が描かれています。豪華絢爛な衣装を身にまとい、扇を手に舞う楊貴妃。しかし、その表情は、虚しさと悲しみを湛え、見る者の心を打ちます。
皇帝の愛を失った孤独と絶望が、彼女の美しい姿をいっそう際立たせているようです。
切手は、楊貴妃の豪華な衣装や髪飾りなど、細部まで丁寧に描写されており、唐代の宮廷文化の美しさを伝えています。
同時に、権力と愛の狭間で翻弄された楊貴妃の悲劇を、静かに語りかけているようにも感じられます。
崔鶯鶯
「崔鶯鶯」切手は、京劇「西廂記」のヒロイン、崔鶯鶯の繊細な心情と美しさを情感豊かに表現しています。
唐代の貴族の娘である崔鶯鶯は、書生の「張珙（張君瑞）」と恋に落ちますが、2人の身分の違いから、その愛は困難を極めるのです。切手には、華やかな衣装を身にまとった崔鶯鶯が、物憂げな表情で佇む姿が描かれています。
その表情からは、愛する人への切ない想いや、将来への不安が読み取れます。
しかし、彼女の瞳には、愛を貫く強い意志も感じられるのです。細やかな刺繍や装飾が施された豪華な衣装は、崔鶯鶯の美しさと気品を際立たせ、見る者を魅了します。
切手を通して、困難な恋に立ち向かう崔鶯鶯の心情に寄り添い、物語の行方を想像してみてはいかがでしょうか。
穆桂英
「穆桂英」切手は、京劇「穆桂英挂帥」に登場する伝説的女将軍、「楊宗保」の勇ましい姿を力強く表現した1枚です。
夫である楊宗保とともに戦場で活躍した穆桂英は、国難に際し、再び戦場に立つことを決意します。切手には、甲冑を身にまとい、兜をかぶり、背中に長い羽根飾りをなびかせた穆桂英が凛とした表情で立つ姿が描かれています。
精巧に描かれた甲冑や装飾品は、彼女の身分の高さと、歴戦の勇士としての風格を際立たせているのです。とくに、甲冑に施された魚鱗模様の刺繍は、細部まで丁寧に表現され、見る者を圧倒します。
この1枚の切手は、戦乱の世を生き抜いた女傑、穆桂英の強さと美しさを、鮮やかに伝えています。
「京劇の女役」切手の価値と高価買取の秘訣
発行から40年以上経った今もなお、中国切手の中でも高い人気を誇る「京劇の女役」切手。
中国国内外で京劇への関心が高まっていることや、1980年代という激動の時代を反映したデザインが、コレクターたちの心を掴んで離しません。
比較的発行枚数が多いシリーズではありますが、保存状態が良いものや希少性の高いものは、額面以上の高値で取引されることも珍しくはない中国切手です。
とくに、8種類すべてが揃った未使用のフルセットは、額面以上の買取価格に期待できます。
もしお手元に「京劇の女役」切手をお持ちでしたら、以下のポイントを参考に、その価値を最大限に引き出しましょう。
☑ 保管方法：専用アルバムやシートに保管し、直射日光や湿気を避けて、傷や汚れを防ぐ
☑ 専門業者に査定を依頼：中国切手の価値を正確に見極められる専門業者に査定を依頼する
福ちゃんの切手買取では、中国切手をはじめ、さまざまな切手の買取を専門に行っています。
経験豊富な査定士が、お客様の大切な切手を1枚1枚丁寧に査定し、適正な価格で買取させていただきます。
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まとめ
1983年、「鄧小平」が主導する改革開放政策の下、中国は経済だけでなく、文化面でも大きな変革期を迎えていました。
文化大革命で弾圧された伝統文化が息を吹き返し、京劇も再び脚光を浴びるように。テレビやラジオで京劇が放送され、人々の関心は高まる一方でした。
そのような中、発行された「京劇の女役」切手は、単なる切手ではありません。それは、伝統文化復興の象徴であり、中国が国際社会に復帰し、自国の文化を世界に発信する意欲を示すものでした。
切手に描かれた8人の女性たちは、それぞれ異なる物語の主人公であり、当時の中国社会が抱える女性の地位や社会正義といった問題を反映しています。
彼女たちの姿は、人々の心に深く響き、共感を呼び起こしました。
「京劇の女役」切手は、1980年代という激動の時代を背景に、伝統文化の復興と国際社会へのアピールという2つの大きな役割を担った、まさに時代を映す鏡のような存在といえるでしょう。
