観賞魚からアートへ!1960年の中国切手「金魚シリーズ」全デザイン紹介と高価買取事例
そのような金魚を題材にした中国切手、「金魚シリーズ」は、鮮やな色彩と豊富な種類でコレクターからも人気を集めています。切手市場で高価買取事例のある貴重な切手です。
当記事では、「金魚シリーズ」切手の特徴、発行枚数、そして高価買取が期待できるデザインについて、詳しく解説します。
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目次
「金魚シリーズ」切手とは
金魚シリーズ切手は、1960年に中国で発行された特殊切手です。
金魚は、中国原産の観賞魚です。野生のフナから突然変異したものが始まり、長い歴史の中で人の手によって、さまざまな品種が誕生しました。美しい姿や優雅な泳ぎで世界中の人々を魅了し、家庭で親しまれる存在となっています。
1960年に中国で発行された「金魚シリーズ」切手は、そのような愛らしい金魚を題材にした作品です。古くから続く金魚文化を世界に紹介するとともに、6月1日の「児童節(子どもの日)」を祝う目的で発行されました。
切手のデザインには、リュウキン・ランチュウ・オランダシシガシラなど、金魚の人気品種が色鮮やかに描かれています。金魚が水中を優雅に泳ぐ姿は、見る人の心を和ませ、子どもの好奇心を刺激してくれることでしょう。
「金魚シリーズ」切手のデザインテーマと発行枚数について
中国切手「金魚シリーズ」は、12種類のデザインで構成された切手セットです。リュウキン・ランチュウ・オランダシシガシラなど、定番の金魚から珍しい品種まで、さまざまな金魚が美しく描かれています。
中国と日本で、金魚の呼び名が異なる品種があります。当記事では、切手のデザインテーマ名に沿って解説いたしますので、予めご了承いただけますと幸いです(中国産と日本産の違いによる、品種の個体差もあります)。
切手のデザインテーマと発行数は以下のとおりです。
✔ シロハナフサ(額面4分、発行枚数400万枚)
✔ 黒赤デメキン(額面4分、発行枚数400万枚)
✔ 水泡金(額面4分、発行枚数400万枚)
✔ ランチュウ(額面4分、発行枚数400万枚)
✔ リュウキン(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ クロデメキン(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ 頂天眼(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ オランダシシガシラ(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ 紫オランダ(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ ベニガシラ(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ 三色デメキン(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ 紅白デメキン(額面8分、発行枚数800万枚)
シロハナフサ切手
シロハナフサは、日本でも人気の高い品種です。白く透き通った体色に、鮮やかな紅色の模様が花房のように咲き誇る姿は、まさに優美そのもの。
シロハナフサという名前の由来は、その美しい模様から着想を得たものです。まるで白い花房を揺らしているかのような姿から、名付けられました。
シロハナフサの特徴は、鼻部に突起があることです。この突起はポンポン状になっており、泳ぐときに花を揺らしているような動きを生み出すのです。
黒赤デメキン切手
黒赤デメキンは、デメキン(出目金)の中でもとくに人気の高い品種です。真っ黒な体色と鮮やかな赤色の頭部とのコントラストが美しく、見る人を魅了します。
デメキンは、中国原産の金魚です。目が大きく突出した愛らしい顔立ちが特徴で、江戸時代から日本で親しまれてきたと伝えられています。
黒赤デメキンは、その名の通り、黒と赤の色彩が特徴です。黒色は厳粛さや重厚さを象徴し、中国では「黒牡丹」や「渾江龍」とも呼ばれています。
良質な黒赤デメキンは、体色が漆黒で光沢があり、まるで黒い織物のような美しさです。腹部まで真っ黒なもの が最高級とされ、腹部に赤や黄色がある場合は価値が下がるとされています。
水泡金切手
水泡金は、その名の通り、眼球の周りに半透明の水泡を持つ金魚です。まるで水風船をぶら下げたようなユニークな姿は、他の金魚とは一線を画し、見る人の心を惹きつけて離しません。
水泡は非常に薄く、泳ぐたびに揺らめきます。その愛らしい姿は、まるで水中を優雅に舞う妖精のようです。
水泡金は、体が短く太い卵形で、背びれがなく、一対の尾びれと腹びれがあります。孵化直後は目が正常で横を向いていますが、成長とともに水泡が大きくなり、目が圧迫されてやや上を向くようになるのです。
大きな水泡と短い体のため、体の重心が前に移動し、停止すると頭が下がった姿勢になります。この愛嬌のある姿も、水泡金の魅力の1つです。
ランチュウ切手
ランチュウは、頭部に発達した薄いコブが頬まで広がる金魚です。その威風堂々とした姿は、「金魚の王様」と称されるのに相応しいといえるでしょう。
中国では、ランチュウのことを「赤虎頭」と呼び、その力強さを表現しています。また、長老のようなゆったりとした泳ぎから「寿星頭」と呼ばれることもあるのが特徴です。
日本では、金魚の王様として親しまれ、世界中の人々からも愛されています。どっしりとした体格と優雅な泳ぎは、ランチュウ最大の魅力です。
リュウキン切手
リュウキンは、中国原産の金魚です。頭部は尖り、腹部は膨らみ、短い丸い体形をしています。
主な色は朱赤と橙赤の2種類で、鮮やかな色彩が特徴です。長い尾びれを優雅に揺らしながら泳ぐ姿は、見る人を魅了します。
中国では「珍珠魚」、または「珍珠鱗」と呼ばれ、珍珠(真珠)のように美しい鱗を持つ金魚として、人々に愛されていますね。
クロデメキン切手
クロデメキンは、デメキンの一種で、大きな眼球が特徴的な金魚です。全身は深みのある藍色や黒色で、まるで深海の宝石のような美しさです。
中国では「青龍眼」と呼ばれ、その神秘的な魅力に多くの人が惹かれています。
クロデメキンは、観賞魚として非常に人気が高く、貫禄や重厚感のある姿は見る者を魅了してやみません。水槽の中で悠々と泳ぐクロデメキンは、まさに深海の王者のような存在感を放っています。
頂天眼切手
頂天眼(チョウテンガン)は、頭部に眼が突出し、上を向いているのが特徴的な金魚です。
背びれを持たない変異種で、その神秘的な姿は見る者を魅了します。
「天を仰ぐ目」と呼ばれることもある頂天眼は、中国では繁栄の未来を見ているとされ、清朝の宮廷でも好まれていたようです。
オランダシシガシラ切手
オランダシシガシラ(オランダ獅子頭)は、頭部に大きなコブを持つ金魚です。愛らしい顔立ちと鮮やかな色彩は、見る人の心を惹きつけて離しません。
中国では、赤色が縁起の良い色とされるため、オランダシシガシラはとくに人気があります。
飼育が比較的容易なのも魅力で、節句などの際には、吉祥を願って赤いオランダシシガシラを飼うことも多いようです。
紫オランダ切手
紫オランダは、金魚の中でも珍しい紫色の体色を持つ品種です。
日本では「瑪瑙オランダ」とも呼ばれ、その神秘的な色彩は見る人を魅了します。
紫色の体色は、全体的に均一なことが多いですが、赤やオレンジ、黒などが混じる場合もありますね。頭部にはランチュウのようなコブがあり、愛らしい顔立ちをしています。
ランチュウと同じように、頭部にこぶのある見た目をしているのも特徴の1つです。
ベニガシラ切手
ベニガシラは、頭部が平らで狭く、背びれがなく、長い尾びれを持つ金魚です。
真っ白な全身に、頭部の上半分が鮮やかな赤色で彩られた姿は、愛らしく珍しい品種として人気を集めています。
紅白のコントラストは非常に鮮やかで目を引き、水槽の中で優雅に泳ぐベニガシラは、見る者を魅了してやみません。
三色デメキン切手
三色デメキンは、黒赤デメキンの体表に、赤と白の斑点が不規則に分布する美しい金魚です。
中国では「花龍眼」と呼ばれ、その華やかな姿は見る者を魅了します。
長く均等な尾びれは、泳ぐとまるで彩色の絹が舞うように美しく、優雅な雰囲気を漂わせていますね。
紅白デメキン切手
紅白デメキンは、金魚の中でも最も代表的な品種です。
短くて幅広い体、四つ葉の尾びれ、そして龍の目のような眼球が特徴です。中国では「龍眼金魚」と呼ばれ、その縁起の良い名前から多くの人に親しまれています。
紅白の鮮やかな色彩は、金魚の象徴ともいえる美しさです。水槽の中で悠々と泳ぐ紅白デメキンは、見る者に安らぎを与えてくれます。
▼中国切手「金魚シリーズ」の詳細
・発行日:1960年6月1日
・額面:4分、8分(※100分=1元)
・切手デザイン:全12種類
・発行枚数:400万枚~800万枚
「金魚シリーズ」切手の市場価値や高く売るコツ
切手には、普通切手・記念切手・特殊切手など、さまざまな種類があり、とくに古い発行年の切手は希少性が高く価値が上がります。
中国切手も、例外ではありません。
金魚シリーズ切手をはじめ、高い価値や人気を誇る切手が、多数存在するのです。
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金魚シリーズ切手は、美しいデザイン・低い額面・少ない発行数から、切手コレクターに人気の高いセットです。とくに状態の良いフルセットは希少価値が高く、高価買取が期待できるといえますね。
発行から年数が経過しているため、「切手が古びたり変色していないか、色褪せがなく鮮やかに発色しているか」などのポイントが、買取価格にも大きく影響します。
過去の買取価格や切手市場を見ると、良好な状態の金魚シリーズ切手は、額面以上のプレミア価格で取引される機会が多いことから、高価買取に期待できるのです。
また、12種類の切手の中でも、人気の偏りが多少見られます。
▼ 金魚シリーズ切手の中でも、とくに人気が高い種類
☑ リュウキン
☑ 頂天眼
☑ 三色デメキン
12種類の中では、上記の3種が人気です。
4分切手の中では、「水泡金」も人気があります。
高価買取のコツとしては、切手単体(バラ)ではなく、フルセットで査定に出すことです。セットの品の方が、高価買取を期待できます。
中国切手は種類が豊富で、希少価値の高いものも少なくありません。しかし、その価値を正しく評価するには専門知識が必要です。
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まとめ
中国の一部地域では、新年になると家に金魚を2匹買って供えるという風習があります。これは「金運満々、年々余裕がある」という願いを込めたものです。
1960年、金魚シリーズ切手が発売された当時、中国は「大躍進政策」の失敗による苦難の時代を迎えていました。そのような厳しい状況の中で発行された金魚シリーズ切手は、国民にとって明るいニュースとなりました。
金魚は中国文化において繁栄や幸福の象徴であり、金魚シリーズ切手は動植物系の中国切手の中でも、高価値の部類に入る貴重な切手です。
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