色無地の買取について
■そもそも色無地とは、どんな着物?
黒、白以外の色で染められた着物を「色無地」と呼びます。赤一色、青一色など単色染めが基本で模様はなく、シンプルな仕上がりになっているのが特徴です。生地を織る段階で、織り目で模様(地紋)を描く場合もあります。地紋には、川の流れを表現した「流水紋」や、松竹梅、鶴亀などおめでたい模様を描いた「吉祥文様」などがあります。
家紋を入れない色無地は、身軽な普段着や外出着として使用するのが一般的。品格のある帯、小物を選ぶことで、お茶会や句会、観劇などのあらたまった場にも着ていくことができます。
また、家紋を入れれば冠婚葬祭で礼服として使用することもできます。両袖、背中に紋を入れる「三つ紋」以上の色無地なら、紋なしの訪問着よりも格上の留袖に並ぶレベルの礼服となります。
ただし、礼服として使用する場合には「TPOに合わせて色を選ぶ」ということが大切です。結婚式には草色、黄、赤系の明るく華やかな色を。一方、帯さえ黒を選んで着用すれば、藍色、紫色など暗めの色合いのものは葬儀、法事などで使用できます。また、地紋の入った色無地を使用する場合はこちらもTPOに合わせる必要があります。結婚式、入学式、卒業式のような慶事にはおめでたい「吉祥文様」の入った色無地、葬式などでは「流水紋」などを選ぶようにするといいでしょう。
■色無地の歴史
一色で染めた反物を裁断して縫い合わせ、着物に仕上げる色無地。シンプルで汎用性が高いことから、古くからさまざまな場面で使用されてきました。特に、決して華美でなく高価ではないものの礼服として使えることから、身分制度があり、貧富の差が激しかった江戸時代には、あらたまった場で庶民が着る服として機能してきました。たとえば、商家で丁稚奉公をする少年たちや農村を取りまとめる庄屋の使用人たちが、お祝い事の日などに身につけていたようです。
また、質素であることを第一条件とする「わびさび」をスローガンに掲げた茶道が成立して以降は、色無地の着物こそが最も茶室にふさわしいとされるようになりました。華美な模様が全身を彩っているようなタイプの着物の場合、素朴な色合いの茶道具と衝突してしまい、場を乱してしまう可能性があります。一方、色無地なら茶道具のさりげない芸術性を邪魔することなく、むしろその場をより品格のあるものにすることができます。現在でも、茶道や生け花のお稽古、お茶会などでは色無地の着物が最もふさわしいとされています。
■色無地の価値とは?
家紋が入っていない場合、格式としては留袖、訪問着、付け下げ、小紋に次ぐとされる色無地。買取価格も、それらの着物と比べるとあまり高くはないというのが正直なところです。また、家紋が入っていれば礼服の格は一気に上がって留袖や訪問着に次ぐものとなりますが、逆に家紋は着る人を選ぶので買取の価値はさらに下がってしまう可能性があります。ただし、状態の良いものは高価買取のチャンスを得られる場合もあります。
昔と違って普段使いをすることがない着物はタンスや専用のケースにしまっていることが多いかと思いますが、保管の際にはカビが生えたり虫に食われたりするのを防ぐための対策をとる必要があります。最も効果が高いのは、カビや虫を引き寄せる湿気を防ぐための虫干し。1年に2回くらいの間隔で行うのがベストです。色褪せが起きないように直射日光は避け、裏返しにして室内干しをします。
また、このときついでに着物を包む和紙「たとう紙」を取り換えるのもおすすめです。たとう紙は換えずに使い続けていると黄ばみ、やがてその黄ばみが着物にも移ってしまうことが考えられます。
「ゆくゆくはうちにある色無地の着物を売ろうと考えている」という方は、ぜひ参考にしてみてください。