- 着物
- 2024.12.03
唐織とは｜帯の特徴や格は？刺しゅうとの違いは？
唐織は、花嫁の婚礼衣装にも用いられる豪華な織り表現のひとつ。
さまざまな織りの中でも、唐織は最高級といえるでしょう。
とくに唐織の帯は、フォーマルなシーンで頼りになる存在です。
この記事では、唐織について詳しくお話しするとともに、唐織の帯持つ特徴や格などにも触れていきます。
刺しゅうとの違いもわかりやすく解説していますので、気軽にお読みくださると幸いです。
目次
唐織について
唐織は、浮織りの技法で柄を表現した織物です。
唐（中国の王朝）から伝わった絹織物を由来とし、優れた織物を唐織と呼ぶようになりました。主に金糸や銀糸などを用いて草花や吉祥文様を織り出し、レリーフや刺しゅうのように立体感があります。
一般的に、袋帯や花嫁衣裳の打掛などに使われており、豪華絢爛な装いで人々を魅了してやみません。
唐織と能
唐織は、室町時代から伝わる能楽の舞台衣装に用いられています。
とくに女性の役柄を演じる能装束には、古くからきらびやかな唐織が使われてきました。これは、能を擁護していた時の権力者たちから受け継いだのが始まりといわれています。
江戸時代に入ってからは、大名たちが能役者を自らの藩に抱え、鑑賞や外交に用いていました。大名自らが演じることもあり、豪華な能装束も引き継がれていったのです。
唐織の特徴
ここまでのお話しから、唐織の特徴を以下にまとめてみました。
● 織物の表面に金糸や銀糸などを浮かせて柄を織る
● 柄が立体的でレリーフのように浮き出ている
● 色どりが鮮やかで重厚感がある
唐織は金糸や銀糸を使用しているため、カジュアルなアイテムではありません。
着物の場合ですと、花嫁衣裳や能装束などの豪華な装いに唐織が用いられ、最高級の華やかさを表現してくれます。
唐織は、日常においては帯で親しまれており、1本あると便利だと支持されているのが袋帯です。
唐織｜帯の格
ここからは、唐織の帯における格を検証していきましょう。
唐織の袋帯ならば、格が 高いのが一般的です。
金糸や銀糸をふんだんに使用した唐織は、それだけでも格の高いアイテム。さらに、古典柄や有職文様が帯全体に表現されている場合、格はより高くなります。
唐織の帯における格を確認するには、以下のような点に注目すると理解しやすいでしょう。
● 帯の種類
● 帯の格を判断する基準点
● 帯の柄付け
一つひとつ、解説していきます。
帯の種類
まず、帯の種類による格の順を見てみましょう。
● 丸帯
● 袋帯
● 洒落袋
● 九寸名古屋帯
● 八寸名古屋帯
● 半幅帯
帯で最も格が高いのは、丸帯です。
丸帯は、花嫁衣裳や舞妓の衣装に使われ、日常的に丸帯を使用する機会はほとんどありません。
よって、格の高い帯は袋帯と覚えておくとよいでしょう。
帯の格を判断する基準点
次に、それぞれの帯の格を判断する基準点を挙げておきます。
● 染めよりも織りの方が格が高い
● 金糸・銀糸の装飾が多い方が格が高い
● 古典柄は格が高い
以上の点を踏まえると、「金糸や銀糸がより多い古典柄」を満たした唐織の袋帯は、より格が高いといえます。
帯の柄付け
帯の柄付けも、格の高い・低いを決めるポイントです。
● 全通柄
● 六通柄
● お太鼓柄
袋帯は、全通柄と六通柄が多くを占めています。
唐織の袋帯が全通柄の場合、より格が高いといえるでしょう。
このように、唐織の帯について格を考えるときは、いくつかの観点から見ていくのがオススメです。
唐織の帯に合わせる着物も、両者のバランスに配慮して選びましょう。
※袋帯の柄や種類について詳しく知りたい場合は、以下の記事もオススメです。
『袋帯の柄にはどのような種類があるの？帯も季節を気にするべき？』
唐織と刺しゅうの違い
唐織の柄は、一見すると刺しゅうによく似ています。
唐織と刺しゅうには、2つの大きな違いがありますので、ぜひチェックしてみてください。
● 糸の向きが違う
● 作り方が違う
さっそく、見ていきましょう。
糸の向きが違う
唐織と刺しゅうの違いは、糸の向きを見ればわかります。
刺しゅうは、模様の表現に応じて360度さまざまな角度から糸を渡しているのが特徴です。
一方、唐織の柄は、すべて横向きに糸が渡っています。
これは、唐織の織り方によるものです。
唐織は、緯糸二越の間に絵緯糸（えぬきいと）を挟み、織物の表面に柄を浮かせて織り込んでいます。そのため、柄はすべてが同じ横向きに織り出されているのです。
作り方が違う
唐織と刺しゅうは、作り方も違います。
刺しゅうは、手作業やミシンを使って作られるのが一般的です。織物である唐織は、機で織られています。
唐織まとめ
唐織について、特徴や歴史的背景など、さまざまな角度からお話しをしてきました。
漠然と唐織を認識していた方も、唐織の魅力に気付かされたことでしょう。この記事をきっかけに唐織を取り入れて、ワンランク上の和装を楽しんでみてください。
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