金継ぎとは?種類ごとの違いや作業手順を解説

大切に使ってきた食器が、割れたり欠けたりしてしまったことはありませんか?

愛着を持っていた食器が使えなくなると、悲しいですよね。
この記事では、割れたり欠けたりした食器を使い続ける方法の1つ「金継ぎ」についてご紹介します。

記事を読むことで、金継ぎの種類や、金継ぎの作業手順を把握できますので、ぜひご覧ください。

金継ぎとは?修復できない食器はある?

金継ぎとは?修復できない食器はある?

金継ぎとは、割れたり欠けたりした器を、漆を使って修復する技法です。

床に落としてばっくり割れてしまった器」と「口周りが欠けてしまった器」のどちらも修復することが可能です。

金継ぎ」という名前から、修復の際には“金”を多く使用するイメージを持たれるかもしれませんね。

しかし、実際に使うのはほとんど漆で、金は最後の仕上げのときにしか使いません。

しかも、金箔ではなく“金粉”を使うので、コストもそれほどかからないのです。

漆は空気中の水分と反応して硬化する性質を持ち、天然の接着剤ともいえます。天然素材である漆は、食器にも安心して使用できます。

また、金継ぎではさまざまな器を直せますが、どのような器でも直せるわけではありません。たとえば、陶器は修復しやすい一方、ガラスや木器は修復が難しいとされています。

金継ぎの種類

金継ぎの種類

金継ぎは、大きく次の2種類に分類されます。

・伝統金継ぎ
・簡易金継ぎ

以下では、それぞれの違いを見ていきましょう。

伝統金継ぎ

「伝統金継ぎ」は漆を使用した伝統的な金継ぎで、「本漆金継ぎ」とも呼ばれます。

漆は天然素材であるため、食器に使用してもまったく問題がありません。また、工芸品のような美しい仕上がりを実現できるのも魅力です。

一方で、漆が皮膚につくとかぶれる恐れがあります。

さらに、漆の硬化にかかる時間は温度や湿度に影響され、完成まで数か月かかってしまうことも珍しくありません。

簡易金継ぎ

簡易金継ぎ」は、漆の代わりに合成樹脂や接着剤を使って修理する技法です。

完成までの時間が早く、1〜2日で完成することもあります。

伝統金継ぎと比べると費用を抑えられるのも魅力です。一方で、合成樹脂や接着剤を食器に使うことは、安全性に懸念があります。

また、伝統金継ぎと比べると、仕上がりの美しさに欠けることがあります。

金継ぎの流れ

金継ぎの流れ

ここでは、割れた器を「伝統金継ぎ」で修復する手順を見ていきましょう。

大まかな手順は、以下のとおりです。

1.割れを接着
2.硬化
3.漆を塗り重ね
4.金粉でコーティング
5.磨き上げ

割れを接着

漆、小麦粉、水を練り合わせた「麦漆(むぎうるし)」を使い、割れを接着します。

麦漆は非常に強力で、1度接着すると簡単には剥がせません。

硬化

接着したら、1週間〜1か月ほど寝かせて硬化させます。

この工程はその後の強度に影響を与えるため、しっかりと寝かせることが大切です。

接着した箇所にくぼみが見つかった場合、「錆漆(さびうるし)」をパテとして使用して穴埋めしていきます。錆漆とは、漆、砥之粉(とのこ:石を細かい粉末状にしたもの)、水を練り合わせてできた天然素材のパテです。

漆で塗り重ね

完全に硬化したら、接着した箇所に漆を塗り重ねて2〜3日乾燥。

その後、塗り重ねた部分を研ぎます。

この工程を3回ほど行うことで、綺麗な仕上がりになります。

金粉でコーティング

接着した箇所に絵漆(えうるし)を塗り込んだら、その上から金粉でコーティングしましょう。

絵漆とは、金粉をしっかりと付着させるための弁柄色(べんがらいろ:赤みを帯びた茶色)の漆のことです。

この工程では、金粉を多めに蒔くのがポイント。金粉がうまく乗らないところは、絵漆を再度塗ってから金粉を蒔きます。

磨き上げ

最後に石粉を指につけ、金継ぎした部分を磨きます。

金が綺麗に光ってきたら完成です。

金継ぎキットやワークショップを利用すればハードルが下がる

金継ぎキットやワークショップを利用すればハードルが下がる

金継ぎを自分で行おうとすると、ハードルが高いと感じるかもしれません。

実際に自宅で金継ぎをする場合、多くの道具や材料をそろえる必要があり、自分で用意するのはなかなか大変です。

しかし最近では、金継ぎを自宅で気軽に始められる「金継ぎキット」も販売されています。

金継ぎキットを利用すれば、道具や材料を1つずつそろえる必要はありません。

金継ぎに挑戦したい方向けの「ワークショップ」が開催されていることもあります。金継ぎにご興味のある方は、こうしたキットやイベントを利用するのもよいでしょう。

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