金を売ったら課税される?金買取サービスにまつわる税金の基礎知識
日本では、物を買えば消費税を、どこかに住めば市民税を……などなど、何かにつけてさまざまな名称の税金を支払わなければなりません。
そのほか、仕事をして収入を得た場合には所得税を支払わなければならず、遺産を相続した場合には相続税を支払わなければなりませんが、金買取のサービスを利用してお金が手に入ったときにはどうでしょうか。
「この場合も税金が発生するの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、「金買取サービスにまつわる税金の基礎知識」として、簡単にまとめてみたいと思います。
これから金製品の売却をお考えの際は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
金買取で利益が出たら税金が発生します!
「金買取のサービスを利用してお金が入ったら、税金を支払わなければいけない?」という方に、まずは結論から申し上げましょう。
金を売却して利益を得た場合には、税金が発生します。
税務署にしかるべき金額のお金を納める必要があるわけです。
とはいえ、1円でも値が付いたら何が何でも税金が発生するというわけではありません。
たとえば、金を売却した際に発生する税金に関しては、「売却額がいくらだったか」ではなく「売却益がいくらだったか」ということが重要になります。
「売却益」というのは、「金の売却で得たお金の額(売却額)」から「金の購入金額」や「売却の際にかかった諸費用」を差し引いた額のことです。
さらに、一般的に金買取サービスを利用する場合に得る所得は「譲渡所得(資産を譲渡・売却することで得る所得)」にあたりますが、譲渡所得には年間50万円までの特別控除があります。
というわけで、売却益が50万円以下であった場合、税金は発生しないということになります。
課税対象の区分について
金買取サービスを利用して所得を得た場合、一般的には「譲渡所得」に該当しますが、場合によっては「雑所得」「事業所得」といった区分に該当するケースがあります。
ここでは、それぞれどのようなものなのか、簡単に説明してみたいと思います。
【譲渡所得】個人で金製品を売却した場合
個人の持ち物である金製品を、「不要だから」「売ってお金に換えたいから」などさまざまな理由で売却した場合、そこで得た所得は一般的に譲渡所得ということになります。
【雑所得】継続的に金を売っている場合
個人が、最初から利益を得る目的で継続的に金の売却を行っている場合、それによって得た所得は「雑所得」という区分になります。
“継続的に”というのがポイントで、たとえば実家の物置で発見した金の彫刻を金買取業者に売却したという場合、これは継続的な売却ではないので雑所得には当たらず、譲渡所得ということになります。
一方、金投資などを行い、定期的に金を売却して所得がある場合には、譲渡所得ではなく雑所得という区分になります。
【事業所得】事業として金を売っている場合
個人で利益を得る目的ではなく、事業者として金を売った場合、得た所得は「事業所得」という区分になります。金を売却するのが仕事であるという場合には事業所得になるわけです。
金を所有していた期間で税金が変わる?
金買取サービスを利用して譲渡所得を得た場合、税金が発生するわけですが、その金額は金を所有していた期間によって異なる場合があります。
基準は、5年間です。
金を所有している期間が5年以内だった場合と、5年を超える場合では課税の対象になる所得の算出方法が異なります。
所有していた期間が5年以内
金を所有していた期間が5年以内の場合、そこで得た譲渡所得は「短期譲渡所得」と呼ばれます。
そして、短期譲渡所得にかかる税金は、すでに解説したように「売却益を算出する」「50万円の特別控除を考慮に入れる」ということで計算することができます。
具体的には、
「金の売却額」-(「金の取得価格」+「売却にかかる諸費用」)=「売却益」
という計算式で売却益を出したうえで、特別控除の50万円を差し引いた金額が課税対象となります。
所有していた期間が5年を超える
金を所有していた期間が5年を超える場合、そこで得た譲渡所得は「長期譲渡所得」と呼ばれます。
長期譲渡所得にかかる税金は、短期譲渡所得のときと同じように「売却益」を算出し、「特別控除50万円」を差し引くことで算出できますが、さらに長期譲渡所得ならではの特徴として、短期譲渡所得の課税対象の半分に対して課税されるということが挙げられます。
つまり、
(「金の売却益」-「特別控除50万円」)÷2=「課税対象の金額」
ということで算出されます。
確定申告は必要?
すでに紹介したように、金の売却に関しては、譲渡所得の場合、年間50万円までは控除の対象になります。その範囲内であれば税金は発生しないので、確定申告は不要となります。
また、ほかにも「確定申告が不要」とされているケースがあります。
・年間の給与額が2000万円以下
・売却によって得た利益が20万円以下
以上の条件を備えている場合、確定申告は不要ということになります。
つまり、一般のサラリーマンの方が金製品を売却し、売却益として10万円を得た場合は、上記の条件に合致しているので確定申告は不要ということになります。
金のジュエリーにも税金が発生する?
ネックレスやリング、ブレスレットなど金を使ったジュエリーを売却する場合は、どうでしょうか。
ジュエリーの場合はやや事情が異なり、そもそも税金が発生する可能性はそれほど高くありません。
というのも、ジュエリーの場合は売却益(売却額から購入金額や手数料などを引いた金額)が30万円を超える場合に税金が発生するという決まりになっていますが、ジュエリーを金買取の業者に見てもらったとき、購入金額よりも高くなることはあまりないからです。
ジュエリーの査定に際しては、使用されている金の価値だけでなく、デザイン性の高さや状態の良しあしが見られることになります。
流行に合わないデザインのジュエリーや、購入から年月が経って外観が多少劣化しているジュエリーは、どうしても購入金額よりも安くなってしまいがちなのです。
というわけで、売却益が30万円を超えるという課税の条件に合致することはあまりなく、税金が発生する可能性はそれほど高くないといえるわけです。
不明点がある場合は税理士さんや税務署に相談しよう!
今回は、金買取のサービスを利用してお手もとの金を売った場合、発生する税金についてまとめてみましたが、いかがでしょうか。
金の売却に関しては、個人で金製品を売った場合、金投資の一環で継続的に金を売っている場合、事業として金の売却を行っている場合というふうに、それぞれの場合に応じて課税対象の区分が異なります。
また、所有している金を売る場合、所有期間の長さによって税金の計算方法が異なる点も注意したいところです。
こうしてざっと見てみたとき、「なんか面倒くさそう」と思われる方も多いかと思います。
しかし税金が発生する場合、手続きをしないまま放置しておくとのちのち大変なことになってしまうので、しっかり手続きを行うことをおすすめします。
税金について不明点がある場合は、税理士さんや税務署に相談してみましょう。