フルートの持ち方は「三点支持」が大切!持つときの姿勢やコツも解説
フルートは、顎(唇)・左手・右手で支える「三点支持」の持ち方が基本です。フルート本体を握るだけでなく、三点で押しあうように支えます。
力の入れ方にコツがあり、持つときの姿勢も重要です。
当記事では、三点支持について詳しく解説したうえで、フルートの正しい持ち方や演奏する際のコツを紹介いたします。
これからフルートを始める方や、フルートの上達に苦戦している方もぜひ参考にしてください。
目次
フルートの持ち方は「三点支持」を意識する
フルートは、「三点支持」と呼ばれる持ち方で演奏します。
ここでいう「三点」は、以下の3つです。
・顎(唇)
・左手の人差し指の付け根
・右手の親指
「てこの原理」を利用し、身体にフルートを固定させるように顎(唇)をあてて支えます。フルートを握るのではなく、左手と右手を前後に押しあうように持つことがポイントです。
この持ち方は、キーを押さえる指で楽器を持たずにすむため、指の移動がスムーズに行えます。
アップテンポの曲も演奏しやすくなるため、フルート初心者だけでなく、上達に悩むフルート経験者も意識すべき持ち方です。
ここでは、三点支持のやり方について解説いたします。
顎(唇)
三点支持は、左手でフルートを手前に引き寄せ、右手で前に押し出します。この状態であれば自然と口元にリッププレートが押し付けられるため、優しく支えるイメージで顎(唇)にあてましょう。
リッププレートを押し付ける場所は唇の厚さによって変わりますが、下顎もしくは唇が基本です。
さまざまな場所を試してみて、口の形などをコントロールしやすく、音がきれいに鳴る場所にあててください。
左手
左手は、人差し指の付け根でフルートを支えます。左手親指が反らないように気を付け、指先がキーの中心それぞれに来るよう軽く指を曲げましょう。
左手首がまっすぐな状態では、左手小指をキーの中心に置くことが困難です。手首を曲げてフルート全体を優しく持つことがポイントです。
左手人差し指はフルートの重みを支えます。フルートを下から支えるイメージで角度に気を付け、人差し指の付け根がフルートの真下に来れば安定した持ち方ができます。
また、手のひらを足部管に向けることで、フルートと左手の密着度が高まり安定しやすくなるでしょう。
腕と身体はおよそ拳1個分ほどの距離を保つようにし、息が吸いやすい姿勢を見つけてください。
フルートの重みが偏って負担にならないよう、人差し指の付け根で支えることを意識し、手首や腕、肩も使って重みを分散させながら支えましょう。
右手
右手は、親指を少し手前(自分側)に置き、前へ押すイメージでフルートを支えます。このとき、親指の指先が前に飛び出さないように注意してください。
右手の位置を人差し指と親指で挟む形にすると、指が動かしにくくなります。フルートを前へ押し出すイメージを忘れないようにしましょう。
力加減がイメージしにくい場合は、親指をサポートするグッズの活用もオススメです。
フルートを持つときの姿勢
フルートは、吹奏楽やオーケストラで演奏するときに座って吹くことが多い楽器です。
しかし、独奏や練習の際は立って演奏することもあります。きれいなフルートの音色を出すためには、どのような演奏時でも正しい姿勢を身に付けることが大切です。
ここでは、フルートを演奏するときの正しい姿勢について解説いたします。
立って演奏するときの姿勢
立って演奏するときは、以下の点に気を付けましょう。
✔︎ 足は肩幅ぐらいに開き、つま先を少し広げる
✔︎ 右足を少し後ろ、正面に対して少しだけ斜めに
✔︎ 重心は真ん中で保つ
右足を下げ、斜めにすることでフルートと顔が正面を向きやすくなります。右足と左足のつま先は、それぞれ別の方向を向くようにしましょう。
足を別の方向にすることで、重心が安定してきます。楽譜を見ながら演奏すると、どうしても前のめりになり姿勢が崩れます。
慣れないうちは鏡でフルートの構え方をチェックし、姿勢が崩れていないか定期的に確認しましょう。
座って演奏するときの姿勢
座って演奏するときは、以下の点に気を付けてください。
✔︎ 身体を少し右に向け、顔とフルートが正面へ向くように座る
✔︎ 骨盤の真ん中に重心を置く
✔︎ 背もたれを使わず、背すじを伸ばす
フルートを構えると、楽器が体に平行ではなく45度ほど前へ押し出す姿勢になるため、座る向きは工夫が必要です。
スペースがあれば椅子を少し斜めにして、顔とフルートが正面を向くようにするとよいでしょう。
もし、コツがつかめない場合は、立った状態でフルートを構えてから座ってください。重心が真ん中の状態で浅く腰掛けることにより、正しい姿勢で座れます。
何度も練習して、常に正しい姿勢になるよう意識しましょう。
フルートを持つときのコツ
フルートをうまく演奏するためには、フルートの持ち方に注意が必要です。レッスンでフルートの構え方を指導してもらうことや、1人で練習するときも鏡を使って自分の構え方を確認してみましょう。
フルートを吹いているときは指の確認がしにくく、気付かない間に不自然な持ち方をしている可能性があります。
初心者はもちろん、フルート経験者も不自然な持ち方が癖付いていることがあり、鏡で確認すると一目瞭然です。
ここでは、フルートを持つときのコツを3つお伝えします。
【コツ1】指の力を抜く
キーを押す指は力を抜き、リラックスしましょう。
そして、軽く指を曲げ、それぞれのキーに担当の指が付いていることを確認します。担当の場所を離れても、ほかの指がサポートに入れる状態がベストです。
左手の人差し指の付け根にフルートが安定して乗ることで、うまく力を抜けます。指の力が抜けると指だけでなく手首も程よく脱力でき、余計な力が入りません。
持ち方を意識しつつ、全体的に力が入ることのないよう心がけましょう。
【コツ2】リラックスして構える
姿勢や構え方を意識すると思わず身体に力を入れてしまいますが、リラックスして構えることがコツです。
とくに、背すじを伸ばそうと意識すると、無意識で肩に力を入れてしまうことがあります。肩に力が入ると、肩だけでなく首も疲れる原因に。
フルートはあまり高い位置で構えないようにし、力を抜いて持ちましょう。
うまく力を抜けない場合は、「上半身リラックス法」をオススメします。上半身リラックス法は、楽器演奏や演劇などで行われている方法です。
手順は以下のとおりです。
《手順1》
足を肩幅に開き、だらんとする形で上半身を前に倒す
《手順2》
腰とへその下あたりに力を入れて、ゆっくりと身体を起こす
リラックス法を行うことで上半身の力が抜け、自然な姿勢を保てます。緊張して力が抜けない場面などで試してみてください。
【コツ3】唇は軽く「ウ」の形にする
息を吹き込む唇は、軽く「ウ」の形にしましょう。
一文字の口にしたところから、ほんの少しだけ唇を動かして「ウ」の形を作ってください。維持したまま、ろうそくの火を消すようなイメージでフ―フーと息を吹き込みます。
唇で歌口をふさぐのではなく、リッププレートに沿うようあてて息を吹き込みましょう。
なお、「ウ」の形を作っても、長時間の演奏などにより唇が疲れると余計な隙間ができてしまうことも。
隙間から息がもれ、きれいな音色を鳴らせない原因につながるため、歌口と唇の隙間は同じ形になるよう意識しましょう。
また、下記では「フルートの吹き方」について、息の吐き方や練習方法を詳しく解説しております。ご興味にあわせてご覧ください。
▶︎ 「初心者向け」フルートの吹き方!うまく吹くコツと基本の練習方法も
まとめ
フルートを演奏するときは、顎(唇)・左手・右手で支える「三点支持」が基本です。
三点支持で正しく持つ際は、ポジショニングや力加減が重要です。また、正しい持ち方を維持するために、姿勢にも気を付けましょう。
立って演奏する場合・座って演奏する場合など、シチュエーションにあわせた姿勢を心がけることが必要です。
さらに、フルートを持つ際は、「指の力を抜く」「リラックスして構える」「唇の形に注意する」などがコツです。唇の形は、唇を結んでから少しだけ開き「ウ」の形にするとよいでしょう。