アコースティックギターのチューニング方法とチューナーの種類を解説
最近アコースティックギターを購入し、「見本どおりに練習しているのに音程が合っていない気がする」と、お困りの方はいらっしゃいませんか。
アコースティックギターを弾く前には、まず正しい音程に合わせるために、チューニングを行う必要があります。チューニングをせずに演奏すると、音程が合わないため弾けている実感が得られない場合も。
当記事では、アコースティックギターのチューニング方法を解説するとともに、チューナーの種類やチューニング時のポイントなどについてご紹介します。
目次
アコースティックギターのチューニングに必要なチューナーの種類
チューニングとは、楽器の音程を調節する作業です。
チューニングを行う際は、チューナーという専用機器を使用すると、初心者でも簡単に音程を調整できます。
チューナーにはさまざまなタイプがあり、中でもアコースティックギターのヘッドにはさんで使うクリップ式は、手に取りやすい価格であり、初心者でも簡単に扱えるのでオススメです。
また、チューナーの種類によって音の表示方法に違いがあります。まずは、チューナーの1種である、「オートチューナー」と「クロマチックチューナー」について確認しましょう。
オートチューナー
オートチューナーとは、ギター・ベース用のチューナーです。
弦を鳴らすと、チューナーがどの弦の音かを判別し、自動的にチューニングをしてくれます。オートチューナーを使用すると、手動でチューニングを行う必要がないため便利です。
そして、オートチューナーはギターに搭載されているモデルと、クリップなどで後からギターに取りつけて使用するものに分かれています。
いずれのオートチューナーも、電池もしくはバッテリー式のため、電池や充電切れに注意しましょう。
オートチューナーは弦そのものの音ではなく、どの弦が鳴っているかを表示するのが一般的です。この表示方法は、記号や番号ではなく、図などで弦を示すため、直感的に理解しやすくなっています。
クロマチックチューナー
クロマチックチューナーとは、ギター以外にも使用される一般的なチューナーです。
ギターやベースのチューニングに特化したオートチューナーに対し、クロマチックチューナーは、シャープやフラットといった半音階のチューニングにも対応しています。
また、クロマチックチューナーはほかの楽器のチューニングにも使用されるため、どの弦が鳴っているかではなく、鳴っている音階を表示します。
弦楽器用に特化したモードを使用した場合でも、表示は音階のみであり、音楽初心者やギター初心者は慣れるまでに時間が必要です。
クロマチックチューナーの見方として、針が目盛りの中心に来ると音が合っており、左右に振れていると音程がズレていることになります。
アコースティックギターのチューニング方法
ギターは音程がズレやすく、正しい音程で演奏するためにはチューニングが必要です。また、耳が正しい音程に慣れると音感も鍛えられ、ギターの上達にも役立ちます。
ここでは、アコースティックギターのチューニング方法を、具体的に解説いたします。
【STEP1】チューナーを準備する
チューナーの準備として、まずはチューナー自体の周波数を正しく設定しましょう。
周波数は、音を合わせる際の基準となります。とくに、チューナーの基準となる周波数そのものがズレていると、ほかの楽器と演奏する際に音程が合わなくなることも。
チューニングの周波数は、一般的に440Hz(ヘルツ)です。これは、「音が1秒間に440回振動する」ことを意味します。
また、440Hzは、国際会議で決定された標準的なチューニングの周波数です。そのため、多くの楽器や音楽において、440Hzでチューニングが行われています。
ただし、管楽器やピアノの生演奏などでは、442Hzでチューニングされることもあります。なぜなら、管楽器やピアノの音は、440Hzよりも少し高い音域で演奏されることが多く、442Hzでチューニングしたほうが華やかに聴こえるからです。
しかし、特定のシーン以外では、基本の440Hzに合わせておくとよいでしょう。
また、周波数を設定する方法はチューナーによって異なります。しかし、ボタンを押すだけの簡単操作で設定できるケースがほとんどですので、初心者でも安心です。
設定が完了したら、クリップ式のチューナーであればギターのヘッドにセットしましょう。
【STEP2】ギターの音を鳴らす
チューナーの準備ができたら、ギターを鳴らしてチューニングを始めましょう。
チューニングの際は、ギターの弦は指で押さえずに1本ずつ鳴らします。
弦を鳴らす方法に決まりはないことから、「ピック弾き」「指弾き」のいずれか、好きな方法で弾くとよいでしょう。
弦を鳴らす順番にも決まりはないものの、もっとも細い1弦、もしくはもっとも太い6弦からスタートし、順番に合わせていく方法が一般的です。
このように順番にチューニングしていくことで、チューニングの誤りを防げます。
もちろん、ほかの順番でチューニングするのも方法の1つです。ご自身の好みや習慣に合わせて、ぜひ最適な順番を見つけてください。
【STEP3】チューナーを確認し音を合わせる
チューニングの際には、音を鳴らしながらチューナーを確認し、音程がズレている場合は弦を調節します。
ギターの音程は、ヘッド部分のつまみ(ペグ)で調整しましょう。
上半分の6~4弦の音程が低い場合は、ペグを反時計回りに回して音を高くします。反対に音程が高い場合は、時計回りに回して音を低くします。
下半分の3~1弦は、6~4弦と反対側に回すと、正しい調整が可能です。
なお、クロマチックチューナーでチューニングする場合、音は弦ではなく音階で表示されます。
下記は、ギター各弦の音階です。
ギターの弦 | 合わせる音 | 音階 |
---|---|---|
6弦 | E | ミ |
5弦 | A | ラ |
4弦 | D | レ |
3弦 | G | ソ |
2弦 | B | シ |
1弦 | E | ミ |
オートチューナーを使用している場合、弦を鳴らすだけで音程が自動的に調整されます。そのため、手動での音合わせは不要です。
【STEP4】くり返し音を合わせる
最初の弦のチューニングが終わったら、残りの弦も順番に合わせていきましょう。
ただし、弦を調節している間に、先にチューニングしたはずの弦の音程がズレている場合がほとんどです。
そのため、再度すべての弦を順番にチューニングし、音程確認や微調整する必要があります。最低でも2〜3度ほど丁寧にチューニングをくり返すと、上手に音を合わせられるでしょう。
また、アコースティックギターは、チューニングを含め日頃からメンテナンスを行う必要があります。
下記では、「ギターのメンテナンス」について記述しておりますので、併せてご覧ください。
アコースティックギターのチューニングをする際のポイント
ギターのチューニングは、練習や演奏に取りかかる前に毎回行う必要があります。そして、練習や演奏に集中するためには、効率よくチューニングすることも大切です。
アコースティックギターを上手にチューニングするには、以下のポイントを押さえておきましょう。
弦は締める方向で行う
弦は緩めるより締める方向で調整すると、正確に音を合わせやすくなります。
弦を締めると音程が高くなり、緩めると低くなります。音程が低い場合は、そのまま素直に締めながら調節しましょう。
音程が高すぎる場合も緩めながらチューニングするのではなく、一度弦を緩めて音を低くしてから、再度弦を締めて音程を上げるほうがスムーズに音を合わせられます。
開放弦を何度も鳴らすのは避ける
ギターの弦は弾いた直後、音がわずかに高くなります。
そのため、開放弦(弦を指で押さえていない状態や、弦を押さえずに音を出すこと)を何度も鳴らすと、少し高くなった音にチューナーが反応して、正しいチューニングができません。
スムーズにチューニングを進めるためには、弦をしつこく鳴らさず1度鳴らした音でチューニングしましょう。
音が高くなるのは一時的な現象です。少し時間が経つと元の音に戻るので、もう一度弦を鳴らしたい場合は、チューナーの反応がなくなってから鳴らすと正しいチューニングができます。
オクターヴのズレに気をつける
オクターヴとは、「ドから次の高さのド」のように高さが異なる同名の音を指す言葉です。
そのため、オクターヴのズレとは、ある音を1オクターヴズレて認識している状態と考えてください。
音程が高すぎると、チューナーには実際より1音上の音が表示されることも。
たとえば、6弦のチューニング時にEと表示されるはずが、音程が高すぎてチューナー上にはFと表示されたとします。
本来、1音上の音がチューナーに表示されていれば弦を緩めて音程を下げます。しかし、チューナーに表示された音を1オクターヴ下のFと誤認して弦を締めると、最悪の場合は弦が切れかねません。
いくらペグを締めてもなかなか音が合わないときは、オクターヴのズレが起きている可能性があります。
そのため、チューナーの表示が開放弦の音と異なる場合は、合わせたい音の高さとチューナーの表示をよく確認し、正しい方向にペグを回すことが重要です。
また、誤って弦が切れてしまった場合は、下記の「アコースティックギターの弦の張り替え方」を参考に弦を張り替えてみましょう。
▶︎ アコースティックギターの弦の種類や選び方・張り替え方を解説!
まとめ
アコースティックギターの音程を調整する際は、オートチューナーやクロマチックチューナーを使用してチューニングを行います。
音程が合わないまま練習した場合、コードを押さえても綺麗な和音が響きません。
初心者のうちはチューナーを使って音程を合わせるとよいですが、慣れてきたら自分の耳を信じてチューニングしてみることも、ギターの醍醐味といえるでしょう。
まずは、一般的なチューニング方法やチューニング時のポイントを理解して、アコースティックギターを正しい音程で演奏しましょう。
下記では、「エレキギターのチューニング方法」についても解説しておりますので、併せてご覧ください。