トロンボーンの魅力は音域にあり!特徴や歴史も併せて解説
クラシックやジャズ、ポップスなど幅広い音楽ジャンルで演奏されるトロンボーン。
トロンボーンは一体どのような魅力・特徴を持つ楽器なのでしょうか。
今回は、トロンボーンの歴史的背景を解説しながら、楽器としての魅力に迫ります。
過去から現在に至るまで、トロンボーンがどのようなシーンで演奏されてきたのかを知れば、より愛着を感じられるでしょう。
自身に合ったトロンボーンの選び方や値段相場についても解説いたしますので、これからトロンボーンを始めようと考えている方も、ぜひご覧ください。
目次
トロンボーンの魅力とは?特徴も解説
トロンボーンは、金管楽器の一種です。外管と中管の2重構造になっており、スライドを動かして長さを変えることで音程を変化させます。
まずは、さまざまな音楽シーンで活躍するトロンボーンの魅力について解説いたします。
スライドで音程を変えるのが楽しい
トロンボーンは、スライドで音程を変える唯一の金管楽器です。
フルートのような音階の切れ目がないため、微妙な音程調整ができる点がトロンボーンならではのメリットになります。
スライドを使用する仕組みのため、音階を区切らず滑らかに音を調節する「グリッサンド奏法」ができることも、トロンボーンの大きな魅力です。
音程を正確に取ることが難しい楽器ですが、その難しさもトロンボーン演奏者にとっては醍醐味といえるでしょう。
また、スライドを使うトロンボーンは、ステージで目を惹きやすい存在でもあります。マーチングではスライドが当たらないように先頭に並ぶ場面が多く、目立つポジションになれることも魅力です。
人間の声に近い音域で表現できる
トロンボーンの温かく柔らかい音色は人間の声に近いといわれており、音を自分の声のように操って個性を表現できます。
人の声と類似性が高いため、15世紀頃には神聖な楽器として扱われており、教会でも宗教楽器の一種として使用されていました。
トロンボーンは微妙な音程の調整ができ、綺麗なハーモニーを奏でられます。
さらに、吹いたときの音量はオーケストラ楽器の中でも最大級で、金管楽器らしいパワフルなサウンドも大きな魅力です。
さまざまなジャンルで活躍する楽器
トロンボーンは「ハーモニー楽器」と呼ばれることもあり、オーケストラや吹奏楽には欠かせない存在です。
大編成のオーケストラや吹奏楽では、複数人のトロンボーン奏者が1音ずつ担当し、ハーモニーを奏でることも。
さらに、トロンボーンはジャズ、ポップス、クラシック、ラテンなど幅広いジャンルで活躍する金管楽器です。
中低音域を担うトロンボーンは、一見目立たないように思えますが、音楽全体のバランスやバンドのレベルを決定づける重要な役割を担っています。
存在感がある中低音域のサウンド
トロンボーンの魅力は、どっしりとした中低音域のサウンドにあります。
サウンドの特徴として、「柔らかい・優しい・厚みがある・温かみがある・伸びる音色」などが挙げられ、さまざまなジャンルの音楽で演奏全体を支える重要な楽器です。
トロンボーンはいくつか種類があり、現代でよく使われるテナーバストロンボーンは、主に持ち味である中低音を担当します。
そして、種類によってはバス、テナーバス、テナー、アルト、ソプラノとさまざまな音域に合わせた種類があります。
メロディを奏でるだけでなく、ハーモニーを担当したりリズムを刻んだりすることもあり、活躍の場が広い点も魅力の1つです。
トロンボーンの歴史
トロンボーンの歴史的背景を知れば、楽器に対してより愛着や魅力が感じられるでしょう。
トロンボーンの歴史は、14世紀末~15世紀頃に始まったといわれています。
起源として有力なのは、ナチュラルトランペット(直線トランペット)がS字型トランペットへ変遷した14世紀末頃です。
15世紀に入ると、スライドトランペットから派生して、トロンボーンの原型となる「サックバット」が登場しました。
サックバットはスライドを動かして音程を変える、現在のトランペットと共通した特徴を持ちます。
17世紀に入ると、現在のトロンボーンの形状に似た「トロンボーネ」がイタリアで活躍するように。
しかし、当時のトロンボーネは「神の楽器」として扱われており、教会音楽以外では使用する機会がほとんどなかったという歴史があります。
トロンボーンの選び方
トロンボーンは製品ごとに特徴が異なり、選ぶことが難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
以下では、トロンボーンの選び方を下記の5つのポイントに分けてご紹介いたします。
① ボア(管の太さ)
② 材質
③ 表面仕上げ
④ ベルの種類
⑤ F管の巻き方
① ボア(菅の太さ)から選ぶ
ボアとは、管の円周部分(=管の太さ)のことです。また、トロンボーンのボアサイズは以下の4種類があります。
細管 | 明るく高音を出しやすいサイズです。 |
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中細管 | 細管と太管の中間サイズであり、比較的新しいタイプのボアとなっています。太めの音が特徴です。 |
太管 | 豊かで太い音を出せるサイズであり、ハーモニーを作ることに適しています。 |
デュアル | スライド管の太さが上下管で異なるタイプです。 |
ボアサイズによって息を吹き込む量や抵抗感が異なり、音色にも違いが現れます。
トロンボーンを、どのような場面・音楽で使用するかによって選ぶとよいでしょう。
② 材質から選ぶ
トロンボーンの音色は、形状や管の長さだけではなく材質によっても異なります。
基本的にブラス(真鍮 / しんちゅう)で作られており、ブラスは大きく分けてイエローブラスとゴールドブラスの2種類があります。
イエローブラス | 銅70%・亜鉛30%の材質で、張りがある明るい音色が特徴的です。 |
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ゴールドブラス | 銅85%・亜鉛15%の材質で、幅のある豊かな音色が特徴的です。 |
音色の好みは人それぞれのため、自身に合った材質のトロンボーンを選びましょう。
③ 表面仕上げから選ぶ
トロンボーンは、制作過程の仕上げとして表面に塗装が施されます。
塗装にはクリアラッカー、もしくはゴールドラッカーを用いることが一般的です。それぞれの表面仕上げによる違いは、以下のとおりになります。
クリアラッカー | シャープでパワフルな明るい音色が特徴的です。 クリアラッカーは透明な塗装のため、トロンボーンの見た目は真鍮の色のままになります。 |
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ゴールドラッカー | ソリッドで暗めの音が特徴的です。 クリアラッカーにゴールドを混ぜた塗装であり、トロンボーンの見た目は金色になります。 |
④ ベルの種類から選ぶ
ベルとは別名で朝顔とも呼ばれており、ベルのように先端がひらけた部位を指します。
ベルの加工方法には、大きく分けて「1枚取り」と「2枚取り」の2種類があります。それぞれの特徴や違いは、以下の通りです。
1枚取り | 1枚の大きなイチョウ型の金属板を、叩いてベルの形にする伝統的な加工方法です。 金属を叩いて成型することによって粘りや硬さが生まれ、音色はしっかりした響きになります。 |
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2枚取り | 2枚の金属板を機械で溶接する加工方法です。 製品ごとのばらつきが少なく、コストパフォーマンスのよさが魅力で、軽い吹き心地と明るい音色が特徴になります。 |
⑤ F管の巻き方から選ぶ
「F管」とは、トロンボーンの中心で渦を巻いている管のことです。
トロンボーンの低音域を広げる役割の管であり、ファの音を表すFにちなんで「F管」と呼ばれています。
そして、テナーバストロンボーンに関しては、F管の巻き方によって音色や吹奏感に違いがあります。
F管の巻き方は、大きく分けて「トラディショナルラップ」と「オープンラップ」の2種類です。
それぞれの特徴や違いは以下のとおりになります。
トラディショナルラップ | F管が本体からはみ出さない、コンパクトかつ伝統的なレイアウトが特徴です。 管が長く重いという特徴もあり、重厚感のある音色を奏でられます。 |
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オープンラップ | F管が本体からはみ出しているタイプです。 曲がっている場所を極力減らした巻き方のため、抵抗感が少なく、吹き心地に開放感があります。 |
トロンボーンの値段相場はどのぐらい?
トロンボーンの値段は、安いもので10万円前後、高いもので100万円以上と千差万別です。
そのため、事前に予算を決めておき、購入できる範囲の製品から選ぶことをオススメします。
トロンボーンに初めて触れる方に関しては、10万円以下の製品でも問題ございません。
安いものを選ぶことに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、トロンボーンは安くてもしっかりとした作りのものが多い傾向です。
そのため、最初は練習用と割り切って、慣れてきたら価格帯がプロ向けのトロンボーンに目を向けるとよいでしょう。
少しでも作りがよいものを安く手に入れたい場合は、中古トロンボーンの購入を検討することも手段の1つです。
中古楽器店やネットオークションなどを利用し、高品質で手に取りやすい価格帯のものを探してみてください。
また、下記では「トロンボーンの選び方や主要メーカー」について記述しておりますので、ぜひご参考にしてください。
まとめ
トロンボーンは、唯一スライドを使って音程を変える金管楽器です。
音の取り方が難しい楽器ではありますが、その難しさも含めて魅力の1つと考えられています。
トロンボーン特有の音色は、人間の声に近いといわれており、15世紀頃から神聖な楽器として扱われてきました。
かつては、宗教楽器として活躍していたトロンボーン。現代ではクラシックやジャズをはじめ、ポップスやラテンなど幅広い音楽ジャンルに取り入れられています。
そして、トロンボーンはさまざまな種類があります。
値段の幅が大きいため、購入を検討する際は予算を決めて価格帯を絞れば、自身に合ったトロンボーンを見つけやすくなるでしょう。
また、「購入したトロンボーンが自身に合わなかった」「慣れてきたからトロンボーンを買い替えたい」など、ご不要になったトロンボーンはご売却を検討されてはいかがでしょうか。
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