クラリネットのメンテナンス方法をシーンに合わせて紹介!
木製楽器であるクラリネットは温度や湿度の影響を受けやすいため、定期的なメンテナンスが必要な楽器と言えます。長く愛用するためには、メンテナンス方法と必要な準備物を知っておくことが大切です。
当記事では、クラリネットの演奏前後に行うメンテナンス方法を説明します。メンテナンスの最適な頻度や金額の目安、定期的に手入れする上でチェックすべき内容も解説するため、クラリネットのメンテナンス方法を知りたいという人は必見です。
目次
クラリネットのメンテナンスに必要な準備物
大切なクラリネットを長く使うためには、日々のメンテナンスが重要です。木製楽器であるクラリネットは温度や湿度の影響を受けやすいため、演奏前後に正しくメンテナンスをしないと故障につながることもあります。
基本的なメンテナンスに必要なアイテム
クリーニングスワブ |
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クロス |
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クリーニングペーパー |
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グリス |
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まずは、クラリネットのメンテナンスに必要な物を準備しましょう。演奏前後に行う基本的なメンテナンスでは、上記の物を使用します。
特別なメンテナンスに必要な準備物
マルチクリーナー |
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キイオイル |
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トーンホールクリーナー |
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バズシルバークリーナー |
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モイスレガード |
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Cガード |
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基本的なメンテナンスに加えて、時間がある時は上記のような特別な用品を使って手入れをしてあげると、クラリネットの状態がさらに良くなるのでおすすめです。
クラリネットの演奏前メンテナンス方法
演奏後のメンテナンスが必須とはいえ、繊細な楽器であるクラリネットは実際に演奏する前にもお手入れが必要です。組み立て時のメンテナンスによって音の出方や吹きやすさが変わることもあります。より良い演奏をするために、習慣的に演奏前のメンテナンスを行うようにしましょう。
クラリネットの演奏前のメンテナンス方法は、主に以下の2つです。
ジョイント部分に巻いてあるコルクには、すべりを良くするためにコルクグリスを塗りましょう。グリスが乾いて油分がなくなると、すべりが悪くなってクラリネットの組み立てや解体時に破損する原因になります。
ベタベタに塗る必要はありませんが、指で馴染ませるように塗りこんで、はみでた部分はティッシュで拭き取るようにしましょう。
上管と下管からそれぞれ伸びる連絡キイの位置がずれていると吹きにくいため、縦にきれいに並んでいるかチェックしましょう。他のキイも実際に押して動きを確認することで、故障に気付けます。
クラリネットの演奏後のメンテナンス方法
クラリネットの材料である木は、湿度や温度が高くなると膨張する特徴があります。しかし、クラリネットは温かい息を吹き込んで演奏するため、どうしても管内は高温多湿になりやすい状態です。そのまま放置すると管体が膨張してひび割れや故障につながるので、管内の水分を取り除くなどの演奏後のメンテナンスは重要です。
クラリネットを良い状態で少しでも長く使うことができるよう、演奏後の正しいメンテナンス方法を紹介します。
マウスピースを洗う
演奏後にマウスピースを取り外したら、ジョイントコルク側からマウスピース用のスワブをゆっくり通して内部の水分を拭き取りましょう。表面の汚れが目立つ場合は、クロスなどで拭き取ります。
リードの部分も同じように外してスワブやティッシュで水分を拭き取り、乾燥させてからケースにしまいましょう。
管体にスワブを通す
スワブを広げて伸ばしてから、すべての管体に通して内部の水分を完全に拭き取ります。管の上部に突起があるので、スワブは上から下へ引き抜くとスムーズです。
スワブの大きさとクラリネットの大きさが合っていないと、管内部で引っかかったり、水分が取り切れなかったりして故障の原因になるため、必ず管体に合ったサイズのスワブを使用しましょう。
ジョイント部分は水分がたまりやすいので、ガーゼなどで取り除き、塗ってあるグリスも拭き取ります。この時、スワブを使ってしまうとグリスが付着して吸水性が損なわれる可能性があるため、必ずガーゼなど他の用品を使いましょう。
管内の水分は10~15分おきに取り除く方法が最適です。マウスピースだけ外して一気に管内を拭き取ることもできるので、演奏中であっても忘れずに行いましょう。
クリーニングペーパーでタンポの水分を拭き取る
タンポとトーンホールの間にクリーニングペーパーを挟み、溜まっている水分を拭き取ります。数回キイを押したり、クリーニングペーパーの位置を変えたりしながら完全に水分がなくなるまで行うことが大切です。
キイが閉じた状態でクリーニングペーパーを引き抜くとタンポが痛んで故障の原因になります。必ずキイが閉じていないことを確認してからクリーニングペーパーを引き抜くようにしましょう。
キイにキイオイルを足す
演奏後に毎回行う必要はありませんが、キイを動かした時に金属同士がぶつかるノイズが聞こえる場合は、オイルが不足している可能性があります。ノイズが出るキイの端にあるポストとキイの隙間にキイオイルを差しましょう。
オイルの量はほんの1滴でかまいません。足しすぎないように注意して、オイルを差した後は馴染ませるようにキイを数回押します。表面に残ったオイルは汚れや不具合の原因になるため、ティッシュなどで丁寧に拭き取ることがポイントです。
クラリネットは定期的なメンテナンスが大切
- ✔︎ 音は出るが吹きにくさを感じる
- ✔︎ 音がうまく切り替わらない
- ✔︎ キイを押すと金属音がする
人が健康な状態を保つために健康診断を受けるのと同じように、クラリネットも良い状態を維持するためには定期的なメンテナンスが必要です。演奏前後に手入れをしていたとしても、クラリネットは主に木材から作られているため、時間がたてばどうしてもズレや変化が生じてきます。
上記のような状態が当てはまる時は、管楽器リペアを行う技術者がいる専門の店舗や工房でクラリネットをメンテナンスしてもらいましょう。
プロの目で定期的にメンテナンスしてもらうことで、演奏しやすくなるだけでなく、大きな故障を未然に防ぐことができます。一方で、年に何回もメンテナンスに出すとなれば、手間や金銭的な負担がかかるというのも事実です。
定期的にメンテナンスを受けたほうが、1回修理に出すよりコストを抑えられる場合もあります。メンテナンスの頻度やチェックしてもらう項目を参考にして、必要な調整を受けるようにしましょう。
定期的なメンテナンスの頻度と金額の目安
クラリネットのメンテナンスの頻度は3~4か月に1回がおすすめです。湿度や温度が変化する季節ごとに不具合を調整してもらうことで、良い状態を維持することができます。
メンテナンスの推奨頻度はクラリネットの使用状況や演奏者の立場によっても変わります。たとえば、部活動で毎日演奏するけれど金銭的な負担が気になる学生であれば、半年に1回のペースでもかまいません。
持ってはいるけれど、ほとんど演奏する機会がない人の場合であれば、1年に1回のメンテナンスでも問題ないでしょう。
1回のメンテナンスにかかる料金は、お店やクラリネットの状態によって幅があるものの4,000~5,000円が一般的です。修理が必要な部品やパーツがある場合は追加料金が発生します。
調整をせずに悪い状態の部分が増えるとさらに費用がかかるため、定期的なメンテナンスをおすすめします。
定期的なメンテナンスでチェックする内容
お店で行う定期的なメンテナンスでは、主に以下のポイントをチェックします。
- ✔︎ タンポの変形をチェックして、トーンホールとの隙間をなくす作業
- ✔︎ パッドが破れや変色がみられるタンポの交換なども行う
- ✔︎ キイの動きをチェックして、問題があれば調整する作業
- ✔︎ コルクやフェルトの変形、オイル切れなどをチェックして部分調整する作業
他にも、全体のバランス調整に合わせて管内の掃除はもちろんのこと、ネジやキイパイプといった普段はできない部分のクリーニングをしてくれるお店もあります。
また、お店で行う定期的なメンテナンスに加えて、以下のような自分でもできるメンテナンス方法もおすすめです。
- ✔︎ キイのネジが緩んでいないかチェックする
- ✔︎ ノイズが出ているキイにオイルを差す
- ✔︎ 専用のトーンホールクリーナーで汚れやホコリをとる
まとめ
クラリネットは温度や湿度の影響を受けやすい繊細な楽器であり、長く使うためには演奏前後に正しくメンテナンスを行うことが大切です。演奏前はコルクにコルクグリスを塗り、キイの位置を確認します。演奏後はマウスピースを洗い管体にスワブを通し、クリーニングペーパーでタンポの水分を拭き取るといった作業を行いましょう。
使用しているクラリネットに「音は出るが吹きにくさを感じる」「キイを押すと金属音がする」などの状態が当てはまる場合は、専門の店舗や工房でメンテナンスをしてもらうのが安心です。定期的にお店で行うメンテナンスのほか、キイの点検やトーンホールの掃除といった自分でできるメンテナンス方法もあります。