ヴュータンの歴史とは?現在の価値は?
ヴュータンとは、とある1本のヴァイオリンのことを指します。そのヴァイオリンが生み出されたのは18世紀の半ばのことで、製作したのはストラディヴァリと並ぶ知名度と完成度で知られたパルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリという弦楽器製作者でした。
ここでは、そんなヴュータンの成り立ちや現在における価値についてまとめています。
ヴュータンの歴史
のちにヴュータンと呼ばれることになったヴァイオリンが製作されたのは、1741年のことでした。
製作を担当したのは、優れたヴァイオリンを生み出していたイタリアのグァルネリ一族の中でも、特に天才的な腕前を持っていたといわれるパルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリでした。
グァルネリ家は、パルトロメオの祖父アンドレーアの時代からヴァイオリン製作を行っており、アンドレーアは3人の息子とともに優れた弦楽器の数々を生み出し、やがてアンドレーアの三男であるジュゼッペ・ジョヴァンニ・バッティスタ・グァルネリの息子パルトロメオも、父や祖父と同じ弦楽器製作者の道を歩みます。
パルトロメオの製作にかける情熱はすさまじく、とある事情で投獄されたときにも、獄中でヴァイオリン製作を行っていたという伝説があります。
そんなパルトロメオの作品は、イエス・キリストを表すロゴマークを貼っていたことから「イエスのグァルネリ」を意味する「グァルネリ・デル・ジェス」と呼ばれ、高く評価されることになります。
ヴュータンも、そんなグァルネリ・デル・ジェスの1本です。
のちに著名なヴァイオリン奏者たちの手に次々とわたって美しい音楽を奏でましたが、中でも「アンリ・ヴュータン」という演奏家が演奏したことで有名になり、その名が通称として用いられるようになりました。
ヴュータンの価値
美しい音色を奏でるヴュータンは、製作者であるパルトロメオが存命の頃から有名なヴァイオリンでしたが、現在もなお有名な楽器として知られています。
その理由は、2012年にオークションで高額がついたからです。
日本円にして約13億円あるいは16億円ともいわれる高値がつき、話題を呼びました。
実際に売りに出されたヴァイオリンの中では最高額とも言われています。
まとめ
ヴュータンは、ヴァイオリン製作で有名なグァルネリ一族の一人であるパルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリによって生み出されたヴァイオリンの名器です。
18世紀半ばに作られたヴュータンは、ヴァイオリン製作においては天才的な才能を持っていたパルトロメオの最後の作品とも言われています。
ヴュータンは優秀なヴァイオリン奏者の手から手へと渡り、19世紀にはフランスで活躍したヴァイオリニスト「アンリ・ヴュータン」が演奏したことで「ヴュータン」という名がつけられました。
ヴュータンは現在も高い価値を持っており、オークションで日本円にして約13〜16億円で落札されています。これは、売買されたヴァイオリンでは史上最高額と言われています。