グァルネリ・デル・ジェスの歴史とは?現在の価値は?
グァルネリ・デル・ジェスは、「イエス(キリスト)のグァルネリ」という意味を持つ言葉で、18世紀に活躍したヴァイオリン製作者パルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリが手がけたヴァイオリンを指します。
パルトロメオは自らの作品に貼るラベルにイエス・キリストを意味するHISという文字とキリスト教の十字架を組み合わせたロゴマークを入れたため、そのように呼ばれることになりました。
もともとパルトロメオを含むグァルネリ家は、パルトロメオまで3代にわたる楽器職人の一族でしたが、中でも特にパルトロメオが手がけたグァルネリ・デル・ジェスが高い価値を持ちます。
グァルネリ・デル・ジェスの歴史
グァルネリ・デル・ジェスを手がけたパルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリは1695年生まれ。祖父のアンドレーアはオールドヴァイオリンの祖といわれる製作者ニコロ・アマティの弟子であり、息子たちにその技術を伝えました。そしてアンドレーアの三男であるジュゼッペ・ジョヴァンニ・バッティスタ・グァルネリは、さらにその息子であるパルトロメオに技術を継承します。
祖父アンドレーアやその3人の息子、そしてパルトロメオを含む孫たちを合わせたグァルネリ家は、上質なヴァイオリンを製作することで有名でしたが、中でもパルトロメオが手がけたグァルネリ・デル・ジェスは現在に至るまで高い人気を誇っています。
ちなみに、パルトロメオは1744年に若くしてその生涯を閉じることになりましたが、晩年に近づくにつれて製作するヴァイオリンにますます磨きがかかっていったと伝えられています。
グァルネリ・デル・ジェスの価値
グァルネリ・デル・ジェスは、ヴァイオリンの世界ではストラディヴァリウスに匹敵する価値を持つとされています。
高い価値を持つ理由として挙げられるのは、希少性の高さです。現存するグァルネリ・デル・ジェスの数は少なく、特に作者パルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリが最も乗りに乗っていたといわれる晩年の作品は少ないので、場合によってはストラディヴァリウスよりも高額になることもあります。
近年では、2021年に日本円で約13億円とも16億円ともいわれる高値がついた作品があります。1741年に製作され、多くの著名な演奏家が弾いてきたといわれる「ヴュータン」と名づけられた作品です。
まとめ
グァルネリ・デル・ジェスは、18世紀にヴァイオリン製作ファミリーとして一世を風靡したグァルネリ一族の一人、パルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリが手がけたヴァイオリンです。
パルトロメオは歳を重ねるにつれ、ヴァイオリン製作技術に磨きがかかったと言われています。
グァルネリ・デル・ジェスはストラディヴァリウスと同等の価値を持つと言われており、晩年の作品はストラディヴァリウスを凌駕する価格で取引されることもあります。