バイオリンの弦の張り方を徹底解説!交換タイミングはいつ?
バイオリンの弦は、切れたとき以外にも劣化を防ぐため定期的に張替える必要があります。交換にはタイミングがあり、弦の状態や演奏の頻度などによって異なります。また、弦の張り方には正しい手順があるため事前に確認しておきましょう。
当記事では、バイオリンの弦の張り方・交換方法と、張替えのタイミングについて解説します。また、張替え用のバイオリン弦を購入するときのポイントも紹介するので、バイオリンの弦の正しい張り方を知りたい人はぜひご一読ください。
目次
バイオリンの弦の張り方・交換方法
- STEP1.交換用の弦や備品を準備する
- STEP2.古い弦を取り外す
- STEP3.弦の先端をペグの穴に差し込む
- STEP4.弦を巻き上げる
- STEP5.ボールがはまっているかを確認する
- STEP6.チューニングをする
バイオリンの弦は4本あり、楽器を正面から見て左からG線、D線、A線、E線の順番で並んでいます。弦の順番を間違えて覚えると正しく交換できないため、まずは弦の順番を覚えることが重要です。
ここでは、バイオリンの弦の張り方・交換方法の手順について解説します。
【STEP1】交換用の弦や備品を準備する
- ✔︎交換用の弦
- ✔︎楽器を拭く布
- ✔︎弦楽器用のポリッシュオイル
- ✔︎ペグコンポジション
- ✔︎鉛筆
まずは、弦交換のために上記の道具を揃えます。
ペグコンポジションとは、ペグの滑りが悪くて回らないときや、反対に滑ってしっかり止まらないときにペグに塗るためのものです。ペグコンポジションと鉛筆は、可能であれば用意します。
【STEP2】古い弦を取り外す
次に、古い弦を取り外します。
弦を交換する際は、外側の弦から交換するのが一般的です。ペグを手前に回し、弦が緩んできたらペグの穴・テールピースの穴から弦を引き抜きます。弦を取り出す際は、弦がバイオリン本体に当たって傷つかないよう注意が必要です。
弦を外した後は、ペグにペグコンポジションを塗布します。このとき、駒や上駒の弦が通る溝を鉛筆でなぞると滑りが良くなり弦が傷みにくくなります。
すべての弦を一度に外すと魂柱が倒れるため、弦を交換する際は1本ずつ交換するのがポイントです。
外した古い弦がまだ使える状態であればストックしておきましょう。ストックしておけば、突然弦が切れてしまった際の予備弦として使えます。
【STEP3】弦の先端をペグの穴に差し込む
新しい弦を用意します。
まず、テールピース側に新しい弦をセットし、弦の丸い金具をテールピースの穴に引っ掛けます。弦の巻き糸が大きくて溝に入らない場合は、ペンチを使って整えましょう。
次に、テールピースとは反対側の弦の先端をペグの穴に差し込み、弦の先端を穴から5mm程度出します。
【STEP4】弦を巻き上げる
糸巻きに弦を差し込んだら、ペグを奥に回し弦を1周させて巻きつけます。そして、飛び出した弦の手前で弦が巻き付くように調節し、ペグを回して1周させて奥と手前の両側で飛び出した弦を挟み込みます。
飛び出した弦を挟んだら、弦が重ならないようペグを回して巻きましょう。弦が重なると弦が擦れて切れる可能性があります。
1本巻けたら、残りの3本も同様に巻きつけていきましょう。A線とE線は右側、D線とG線は左側と巻きつける側が決まっています。弦を巻き付ける側を間違うと、巻きが緩む原因になったり他の弦に影響したりするので注意しましょう。ペグを巻くときは弦にテンションを加えながら内側から外側に巻いていくと、たるまずに巻きつけることができます。
【STEP5】ボールがはまっているかを確認する
ある程度巻きが安定したら、テールピースのボールエンドが外れていないか確認します。巻いている途中にボールエンドが外れることがあるので、糸受けの溝や駒の溝などの他の部分もしっかりと弦がはまっているか確認しましょう。
弦を巻きつける際は、すべての弦を巻いた後に駒を立てられる程度にテンションの余裕を残しておくのがポイントです。
【STEP6】チューニングをする
弦が巻けたら、最後にチューニングを行います。チューニング用の道具としてチューナーを用意し、422Hzに設定します。チューナーの画面の針が丁度真ん中になるようにチューニングすることがポイントです。
チューニングするとき、音階はE線を「ミ」、A線を「ラ」、D線を「レ」、G線を「ソ」
になるように、ペグを回して調整します。また、チューニングする際は駒の位置がずれたり倒れたりすることがあるので、常に駒を確認しながら少しずつチューニングしましょう。
バイオリン弦の張替えタイミングはいつ頃?
バイオリン弦の張替えタイミングは、毎日何時間バイオリンを演奏するのかによって変わります。趣味でバイオリンを弾いている人の場合は、数か月から半年に1度で弦を張替えるのが理想的です。
楽器の弦は弾かずに張ってあるだけの状態でも、錆びたり劣化したりします。頻繁にバイオリンを弾かない人でも、1年に1度は弦を交換しましょう。
また、以前と比べてあきらかに音の響きが悪くなったとき、弦の色が変わったときも、張替えのタイミングです。
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バイオリン弦が劣化する・切れる主な原因
バイオリンの弦が劣化したり切れたりする主な原因は、ペグの回し方にあります。勢いよくペグを回したり、ペグが硬いにもかかわらずに力ずくで回したりすると、弦に負荷がかかって劣化する恐れがあります。
特に夏場・冬場は、湿度の変化で弦が緩んだりペグが硬くなりやすかったりするので、ペグ調整をするときは丁寧にゆっくり回すことを心がけましょう。弦が緩みやすい場合は、保湿することで改善できます。
また、弦は汚れたままにしておくと劣化がはやまり、楽器本体にも悪い影響を与える可能性があります。バイオリンを使用した後は、クロスで弦や指版の汚れを取り除きましょう。
3. 張替え用のバイオリン弦を購入する際のポイント
- ✔︎弦の種類をチェックする
- ✔︎E線の種類をチェックする
バイオリンの弦を購入する際は、以下の2つのポイントを重視しましょう。
弦の種類をチェックする
バイオリンの弦は、主に「スチール弦」「ガット弦」「ナイロン弦」の3種類があります。
スチール弦は耐久性に優れており、切れにくくチューニングも安定しやすいのが特徴で、バイオリン初心者の練習におすすめです。音色が硬いので、柔らかい音色を出したい場合には向きません。
ガット弦は柔らかく優しい音色が出せるのが特徴で、バイオリン本来の音を引き出してくれる弦です。耐久性が弱く扱いにくいため、中級者〜上級者向けの弦と言えます。
ナイロン弦はスチール弦とガット弦の間をとったような弦で、扱いやすく音色がよいのが特徴です。現在主流になっている弦で、種類も豊富です。
E線の種類をチェックする
ビオラやチェロなどのバイオリン以外の弦楽器の弦は、ほとんどがポールエンドです。E線は、弦の種類をボールエンドとループエンドの2種類から選べます。
ボールエンドとループエンドの違いは、弦の先端部分の構造にあります。
ボールエンドは、張力をボール部分で受け止めて分散させることで弦が切れにくく、ループエンドと比べて重いのが特徴です。ループエンドはボールエンドと比べて軽く、切れやすいのが特徴です。
バイオリンのアジャスターのタイプによってどちらが適しているかは異なるため、弦を購入する際はよく確認しましょう。
まとめ
バイオリンの弦の張り方には手順があります。バイオリンの弦を交換する際、まずは必要な道具を用意し、道具を用いながら正しい順番で弦を替えましょう。
バイオリン弦の張替えタイミングは演奏の頻度によって異なり、数か月から半年に1度で弦を張替えるのが理想です。頻繁にバイオリンを弾かない場合は、1年に1度交換するとよいでしょう。
張替え用のバイオリン弦を購入する際は、弦の種類やE線の種類をチェックします。弦の種類によって音はもちろん扱いやすさも変わるので、事前に確認したうえで適切な弦を選びましょう。