和楽器の種類|弦楽器・打楽器・管楽器別に9種類を紹介!
和楽器の種類は、弦楽器で言えば「箏」「琴」「琵琶」「三味線」「胡弓(こきゅう)」などが挙げられます。また、打楽器であれば「太鼓」「鼓」「拍子木」「かね・すず」、管楽器は「笛」「尺八」「笙」「篳篥(ひちりき)」「法螺貝」など、和楽器にはたくさんの種類があります。
当記事ではそんな和楽器の種類について、代表的なものを9つ紹介・解説しますので、和楽器を始めたい方・和楽器に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
目次
和楽器とは?
和楽器とは、古来から伝わる日本の楽器で、日本文化を象徴するものの一つでもあります。ゆったりと雅な音を奏でる和楽器による演奏は、昔から聴く人の胸を打ってきました。お正月の商店街やテレビから聞こえてくる伝統的な和楽器の音に、ほっと心を和ませる方も多いでしょう。
和楽器と一口に言ってもさまざまあり、その種類は50以上あるとされていますが、大きく以下の3つに分けることができます。
・弦楽器
・打楽器
・管楽器
和楽器の歴史は縄文時代まで遡ることができ、和太鼓がその始まりと言われています。奈良時代に中国(唐)から雅楽が伝わったことをきっかけにして、日本の和楽器がさらに発展しました。
【和楽器】弦楽器の種類
弦楽器は、胴体に弦を張って使用する楽器です。弦をバチや指で弾いたり、弓で擦ったりして音を奏でるのが特徴です。
箏
箏は、180cmの桐の木に13本の弦を張ったものが一般的です。涼やかな美しい音色が特徴で、箏爪を付けた右手の親指・人差し指・中指の爪で弦を弾いて演奏します。
奈良時代に唐から伝来した当初は雅楽の演奏用とされていましたが、平安時代になると貴族達の間で楽しまれるようになりました。
簡単に綺麗な音が出るので、初心者向けの楽器と言えます。現在は古典の枠を越え、ポップスやジャズなどさまざまなジャンルの音楽で用いられています。
琵琶
琵琶は読んで字のごとく、果物のびわの形に似た円形線の楽器です。4本の弦を大きなバチで掻き鳴らすと、奥行きのある和音が生まれます。
琵琶は、奈良時代の直前に唐から伝わりました。雅楽に彩りを添える伴奏楽器として親しまれる一方で、琵琶の演奏に乗せて物語を語る「語り物音楽」が出現します。やがて盲目の僧侶が経文や語り物の音楽を演奏する際に用いるようになり、宗教音楽としての特色が強くなりました。
中でも、鎌倉時代に生まれた「平家物語」の演奏に使用する琵琶は、「平家琵琶」という名で区別されています。
三味線
三味線は、正方形に近い木製の胴に皮を張り、3本の弦を施した楽器です。三角形のバチの角で弦を弾いて、鋭く繊細な音色を奏でます。
皮の素材には猫皮・犬皮を使用しますが、動物愛護の観点から近年では合成皮を使ったものも見られるようになりました。
三味線は、室町時代に中国から伝わった「三絃」がベースとなっています。その後、沖縄(琉球)で「三線(さんしん)」に姿を変え、50年ほどかけて日本風に改良が重ねられ、現在の三味線へと変化しました。
三味線の種類は、棹の太さで以下のように大別され、ジャンルによって使い分けます。
・細棹→長唄などに使用
・中棹→地唄などに使用
・太棹→浪曲などに使用
中でも力強い演奏が持ち味の「津軽三味線」は、特に人気のある種類です。
【和楽器】打楽器の種類
打楽器とは、皮を張った面や金属製の皿にバチを打ち付けて音を発生させる和楽器です。打楽器の歴史は非常に古く、紀元前500年頃に始まったとされています。当初は、音を鳴らして相手に知らせを伝える目的で用いられていました。
和太鼓
和太鼓は、円筒形の木に鋲(びょう)と呼ばれる釘で牛の皮を張り付けた楽器です。2本のバチで交互に皮面を打ち、リズムを刻みます。響きが良いため、音の余韻が長く楽しめるのが特徴です。
元々は雅楽の演奏に使用されていましたが、能楽でも用いられるようになり、祭りや神事の際にも登場するようになりました。
和太鼓の種類としては、中央が膨らんだ「宮太鼓」が最もポピュラーです。他にも、阿波踊りなどに使用される「平太鼓」、長唄の伴奏やお囃子用に使用される「締太鼓」、東北地方の祭りでよく見られる「桶胴太鼓」などがあります。
大鼓・小鼓
大鼓(おおつづみ)・小鼓(こつづみ)は、胴の中央がくびれた形状をしています。バチを使用する和太鼓と異なり、手で皮面を打って演奏します。大鼓と小鼓をセットで使用するのが一般的です。
大鼓は、左膝に乗せ、右腕を振りかぶって皮面を叩きます。『カン』という甲高い音が特徴で、「指革」と呼ばれる和紙製の爪を右手の親指と中指にはめて演奏します。なお、乾いた音を発生させるために、大鼓の皮はしっかりと乾燥しています。
小鼓は、『ポン』という丸みのある音を出す楽器です。左手で持ち、右肩に乗せて演奏します。また大鼓と対照的な点として、小鼓は皮をあえて湿らせており、それにより響きの良い音が生み出されます。
鉦鼓
鉦鼓(しょうこ)は、和楽器としては珍しい金属楽器です。丸い木枠の中に青銅製の皿が3本の紐で吊り下げられており、その皿の凹んだ部分を、水牛などを使用した2本のバチで叩きます。上部には炎を模した飾りが施され、華やかな見た目の和楽器です。
楽太鼓や羯鼓(かっこ)と合わせて「三鼓(さんこ)」とも呼ばれ、一緒に使用されるシーンが多いです。鉦鼓は、『キン』『キキン』という高く短い音を出し、楽太鼓の音の少し後にバチを打つのが通例です。
また、鉦鼓の種類は、主に以下の3つに分けられます。
・大太鼓(おおしょうこ)→舞楽の伴奏などに使用
・釣鉦鼓(つりしょうこ)→管弦との合奏などに使用
・荷鉦鼓(にないしょうこ)→歩きながら演奏する路楽などに使用
【和楽器】管楽器の種類
管楽器は、口から息を送って音を奏でる楽器です。簧(した)と呼ばれるリードを取り付け振動させる笙(しょう)・篳篥(ひちりき)や、吹き口に息を送り込んで音を奏でる尺八・篠笛・竜笛など、種類はさまざまです。
笙
笙(しょう)は、17本のさまざまな長さの竹筒を束ねて作られます。両サイドに一番長い竹を配置し、真ん中に向かって窪むように組み合わせた形は、まるで鳳凰のようです。
飛鳥時代に古代中国から伝わったとされており、東大寺正倉院に当時のものが収められています。
17本の竹のうちの15本に簧を取り付けることで、幾重にも感じられる厚みのある音を生み出します。息を吹いても吸っても音が出るので、途切れることなく演奏を続けられるのが特徴です。
篳篥
篳篥(ひちりき)は、竹でできた長さ約18.5cmの小ぶりな縦笛です。音程を安定させるのが難しく、和楽器の中でも高度な演奏技術が必要だとされています。
見た目の小ささに反して音量が大きく、広がりのある音のため、雅楽では主旋律を担う重要な役割を果たす楽器です。湿った簧に空気を吹き込んで音を奏でるので、演奏前に簧を日本茶で湿らせておく習慣があります。
繊細な息遣いや唇の動かし方で音程を変化させることができるため、非常になめらかな音を出すことが可能です。習得するのは一筋縄ではいかないかもしれませんが、奥が深くやりがいのある楽器とも言えます。
尺八
尺八は、一尺八寸(約54cm)の竹製の管楽器で、その名前は楽器の全長に由来します。指穴は表に4つ・裏に1つと非常にシンプルな構造ですが、伸びやかな広い音域を奏でられる魅力的な楽器です。
平安時代は、主に宮中音楽の伴奏用として使用されていました。やがて普化宗(ふけしゅう)の修行僧である虚無僧が、経文を唱える代わりに尺八を演奏するようになり、次第に宗教色の強い楽器となっていきます。
明治時代に普化宗が禁止されると、一般人の間でも演奏されるようになりました。今ではピアノやバイオリンと合奏する人の姿も見られ、その演奏ジャンルは多岐にわたります。
まとめ
和楽器にはたくさんの種類があり、雅楽・歌舞伎・文楽・三曲などの演奏形態によって、使用される楽器が異なります。また近年では、洋楽器と一緒に使用されるシーンも多く、和楽器の人気は世界でも高まっています。
今回ご紹介できなかった和楽器も多数あるので、ご興味のある方は、独立行政法人日本芸術文化振興会が運営する「文化デジタルライブラリー/楽器図鑑」も併せてチェックしてみるとよいでしょう。
この記事を参考にいただき、ぜひご自身が興味を持った和楽器を始めてみてはいかがでしょうか。