オーボエの種類|選び方・フランス式・ドイツ式の違いは?

オーボエはフランス語で「高い音の鳴る木」を意味する木管楽器です。オーケストラではソロパートが多く、甘い音色でホール全体を包み込みます。また、オーボエはわずか4mmの管に息を吹き込んで演奏する、難易度の高い楽器です。練習が必要になるため、上手に演奏できるまで忍耐力が必要になります。

当記事では、オーボエの種類と選び方について解説します。オーボエは構造や製造地、メーカーによって特徴が異なるので、自分に合ったオーボエを購入したい方や、これからオーボエを始めたいとお考えの方は、ぜひご覧ください。

オーボエとは?

オーボエとは?

オーボエとは、リードと呼ばれる2枚の小さな板を振動させて音を出す木管楽器で美しく哀愁漂う音色が特徴です。はっきりと輪郭の際立った音を出すため、オーケストラでもソロパートを任されることが多く、演奏の主役になる楽器です。

オーボエの歴史は古く、古代エジプトの壁画にはオーボエと似たような楽器が描かれています。13世紀頃に作られた「ショーン」という楽器がオーボエの原型になったと言われています。改良が重ねられた結果、17世紀に入ってから「オーボエ」と呼ばれるようになりました。

黒い管体に銀色のキーが付いた形は、クラリネットに似ています。クラリネットはマウスピースに1枚のリードをつけて音を出すのに対し、オーボエはリードを2枚重ねて音を出すダブルリード楽器です。また、オーボエのベルの形はクラリネットほど広がっていません。

オーボエは、息を吹き込む穴が狭く、少しずつしか息を入れられません。余った息を吐き切ってから新たな息を吸い込むため、ブレスに時間がかかります。木管楽器の中でも演奏が難しいと言われる、挑戦しがいのある楽器です。

オーボエの種類

オーボエの種類

オーボエには大きさや音域によっていくつか種類があり、演奏される曲に合わせて使い分けられています。

ここでは、オーボエの種類を5つ紹介します。

オーボエ

一般的によく知られているオーボエで、C(ド)の音を中心とした音域を持っています。

吹奏楽やオーケストラにおいて、登場頻度が高いオーボエです。

オーボエ・ダモーレ

一般的なオーボエよりも管体が長く、少し大きいのが特徴です。

音域はオーボエとイングリッシュホルンの中間ほどで、A(ラ)の音を中心に展開します。

ベルと呼ばれる息の出口部分は卵形で、甘く柔らかい音を奏でます。ラヴェル作曲の「ボレロ」でよく使用されています。

イングリッシュホルン

オーボエ・ダモーレより大きく、F(ファ)の音を中心とした低い音域を担当します。

ホルンという名前がついていますが、金管楽器のホルンとは関係がなく、オーボエの仲間です。

バス・オーボエ

一般的なオーボエに比べて2倍ほどの長さで、オーボエより1オクターブ低い音域を持っています。

一部のオーケストラ曲で使用されていますが、演奏の機会はあまり多くありません。

オーボエ・ミュゼット

オーボエの中でも高い音域を持ち、長さは一般的なオーボエの3分の2程度です。

オーケストラでも使用されることはほとんどなく、珍しい楽器です。

【オーボエ】セミオートマチック・フルオートマチックの違い

【オーボエ】セミオートマチック・フルオートマチックの違い

オーボエは、オクターブキーの操作方法によって「セミオートマチック」「フルオートマチック」に分けられます。

セミオートマチックは、第1オクターブキーと第2オクターブキーにそれぞれレバーがついた構造で、フルオートマチックは1つのオクターブレバーで第1、第2オクターブキーが自動で連動します。

セミオートマチックはフルオートマチックに比べて構造が単純で、パーツが少なく重量や吹奏感も軽いのが特徴です。世界的にもセミオートマチックが主流となっています。

フルオートマチックは、使われているパーツが多く複雑な構造を持つため、セミオートマチックよりもやや重いです。調整やメンテナンスでも繊細さが求められます。

【オーボエ】フランス式・ドイツ式の違い

【オーボエ】フランス式・ドイツ式の違い

オーボエにはフランス式とドイツ式があり、現在の主流はフランス式です。

フランス式は、19世紀に新しく開発され、大きな音と素早い動きにも対応したシステムを持つため、広く普及していきました。パリの音楽院「コンセルヴァトワール・ド・パリ」で採用されたことから「コンセルヴァトワール式」とも呼ばれています。

ドイツ式のオーボエは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとした、ウィーンの奏者のみが使用していることから、「ウィンナーオーボエ」と呼ばれます。やや鼻にかかった、華やかな音色です。

オーボエの主要メーカーとラインナップ

オーボエの主要メーカーとラインナップ

オーボエを製作しているメーカーは世界中に数多くあります。「Loree(ロレー)」は、1881年に創立した最も古くからオーボエ製作を行うメーカーです。他にも、4代にわたって伝統と技術を受け継ぐ「Puchner(ピュヒナー)」や、高品質な造りに定評がある「Rigoutat(リグータ)」などがあります。

ここでは、世界的に有名なオーボエの主要メーカーとラインナップを紹介します。

Marigaux(マリゴ)

Marigaux(マリゴ)は、世界で人気のあるオーボエブランドの1つとして知られる、フランスのメーカーです。

1935年に木管楽器を中心とした楽器製造を開始し、1981年からはオーボエ、クラリネットを専門に扱っています。Marigaux(マリゴ)のオーボエは60か国以上の有名オーケストラ奏者に愛用されていると言われています。重厚感のある音色が、ヨーロッパの伝統的なスタイルを大切にするオーボエ奏者からの人気が高い理由です。

Marigaux(マリゴ)の看板モデルと言えるのが「901」です。華やかで豊かな音色が、世界中のオーボエ奏者から愛されています。「Grand Lemaire (グランルメール)」も、操作性がよく、深みのある落ち着いた音色を奏でられることから幅広い層に人気があります。

YAMAHA (ヤマハ)

YAMAHA (ヤマハ)は、世界的な人気を誇る日本の楽器メーカーです。

YAMAHA(ヤマハ)のオーボエは、職人が全工程を手作業で行っており、すべてのモデルで均一な造りと安定した音の響きを保っています。オーボエは初級モデルから本格モデルまで、奏者のレベルに応じて多くのモデルを取り扱っています。

オーボエ初心者にも扱いやすいモデルとしておすすめなのが、「YOB-431」です。上管の内側を樹脂で保護するなど、割れにくい工夫が施されています。独奏曲はもちろん、アンサンブルやオーケストラなど、幅広い場面で使いやすいモデルです。上位モデルでは、厳選された素材と、精巧に加工された管体内部により多彩な音色を奏でる「YOB-831」も、幅広い層から人気があります。

Buffet Crampon(ビュッフェクランポン)

Buffet Crampon(ビュッフェクランポン)はクラリネットのイメージを持つ方も多いメーカーですが、オーボエも高い評価を得ています。

職人が手作業で製造するオーボエは、劣化しにくい素材選びや、スムーズな指使いをサポートする機能など、演奏しやすい工夫が施されています。

Buffet Crampon(ビュッフェクランポン)の「Prodige(プロディージュ)」は、奏者をサポートする機能が搭載され、初心者でも安心して使用できる定番モデルです。管体内部は樹脂加工が施されており割れにくく、人間工学に基づいた造りはどのような大きさの手にも馴染みます。

まとめ

オーボエとは、リードと呼ばれる小さな板を振動させて演奏する木管楽器です。オーボエの種類には5つあり、大きさや音域が異なるため、演奏する曲に合わせて使い分けられています。

音を鳴らす際に押さえるキーにも種類があり、セミオートマチックはフルオートマチックに比べてパーツが少ないため軽く、吹奏感も軽いのが特徴です。フルオートマチックはパーツが多いので重くメンテナンスが大変なため、セミオートマチックがよく使用されています。

オーボエのメーカーには、Marigaux(マリゴ)やYAMAHA (ヤマハ)、Buffet Crampon(ビュッフェクランポン)をはじめとした、さまざまなメーカーが存在します。楽器店などで試し吹き・吹き比べをしながら、ぜひ自分に合ったメーカを見つけてください。

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