バイオリン(弦楽器)の種類|弦・弓の種類も紹介!
バイオリンは約4世紀半も前に、今とほとんど変わらない形で登場した弦楽器です。オーケストラでは、演奏の中心的な役割を果たします。バイオリンは一つひとつ、職人の手によって微妙に異なる部分があります。そのため、バイオリンを初めて選ぶ際は、予算や練習・演奏場所などを伝えて、専門家の方やお店の方と選ぶのがおすすめです。
当記事では、バイオリンの種類や選び方について解説します。バイオリンの弦や弓の素材にはどのようなものがあるかを記載しているので、バイオリン選びの際にお役立てください。
目次
バイオリンとは?
バイオリンとは、オーケストラの顔とも言われる、優雅で美しいメロディを奏でる弦楽器です。約4世紀半前に誕生した楽器であり、誕生当初より形状は大きく変わりません。
16世紀までは、ダンスや歌の伴奏などに多く使用され、一般民衆に愛される身近な楽器でした。その後、心地よい優美な音色が注目され、クラシックや宮廷のオーケストラにも用いられるようになりました。
バイオリンは、木箱に弦を張った単純な構造で作られています。重さも400〜500gと軽量です。バイオリンの音に心地よさを感じる理由は、人間の声質に近く耳に馴染みやすいためです。弦の振動が伝わりやすく、とても繊細な楽器のため、弾き手のテクニックや演奏力が音色に直接あらわれます。そのため、難易度の高い楽器と言われています。
弦楽器の種類【バイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス】
弦楽器は主に、「バイオリン」「ヴィオラ」「チェロ」「コントラバス」の4種類に分かれ、楽器のサイズが大きくなるほど音域が低くなる点が特徴です。楽器の大きさは、バイオリンが最も小さく、ヴィオラ・チェロ・コントラバスの順に大きくなっています。
以下では、ヴィオラ・チェロ・コントラバスの特徴を解説します。
- ・バイオリンよりも一回り大きく、低音域も弾ける厚みのある弦楽器
- ・オーケストラでは中音域」のハーモニーを担当しており「アルト」とも呼ばれている
- ・バイオリンよりも低音域であり、落ち着いた深みのある音色
- ・手持ちができない大きさのため、楽器を立てて構える
- ・弦が長いため、低音域の規則的な運指での演奏が難しい
- ・響きのある低音で、ハーモニーの土台を支える役割
- ・弦楽器群の中で一番大きい楽器で、最も低音域
- ・多種多様な役割を担うため、複数の形状や大きさが混在する
- ・深くて低い響きのある音が魅力で、音楽全体を支える役割
【バイオリン】弦の種類・選び方
バイオリンの弦の材質は大きく分けて、「スチール弦」「ガット弦」「ナイロン弦」の3つに分かれます。弦の品質や状態が悪いと、演奏したときの音色に大きく影響を受けます。
ここからは、弦の種類ごとの特徴と選び方を解説します。
スチール弦
スチール弦とは、金属でできた弦で、耐久性が高く長持ちする点が特徴です。チューニングがしやすいため、バイオリン初心者向けと言えます。
3種類の弦の中でも価格が安く、丈夫です。音量が十分に得られ、金属製特有の鋭さのある音が特徴です。
ガット弦
ガット弦には、羊の腸が材料に使用されています。バイオリン特有の「しなやかで柔らかい音色」が表現でき、プロのバイオリン演奏も多く使用しています。
ガット弦自体が柔らかい素材のため、音を響かせるには高い技術が必要です。初心者には扱いが難しく、中級者〜上級者に向いています。
ナイロン弦
ナイロン弦は、ナイロンに他の合成繊維を組み合わせて作られています。合成繊維の内容は、製造メーカーごとに異なるため、メーカーの数だけ音色が変化する点が特徴です。
耐久性に優れた扱いやすい弦であり、さまざまな楽器に広く用いられています。チューニングがしやすく、音が響きやすい材質のため、初心者用におすすめです。
【バイオリン】弓の種類・選び方
「弓」はバイオリン演奏に影響する重要な要素の1つです。弓の質によって音色の変化が感じられ、弾きやすさにも大きな影響を与えます。
質のよい弓は本体の重量バランスがよく、持ちやすさを追求した反りが特徴です。力を入れすぎることなく弾けるため、安定した演奏ができます。
ここからは、弓の種類・選び方について解説します。
棹(スティック)の種類(材質)
・フェルナンブコ材
・カーボン材(炭素繊維
フェルナンブコ材は、曲げの強度が高く、硬質でしなやかさがあるのが特徴です。密度が高く、湿気にも強いため、音質が気候に左右されにくいことも挙げられます。
カーボン材を使用した弓は軽くて丈夫であり、管理しやすいといった特徴があります。フェルナンブコ材と比較すると、ややしなやかさに劣ります。変形や割れ、折れなどの問題が起こりにくく扱いやすいため、初心者におすすめです。
弓毛の種類(産地)
弓毛には「馬の尻尾毛」が用いられており、1本あたり150〜200本程度の毛が使用されています。毛質は産地によって下記のような特徴があります。
モンゴル産 |
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イタリア産 |
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カナダ産 |
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シベリア産 |
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バイオリンの主要製造国
バイオリンは、ヨーロッパを中心にさまざまな国で製造される楽器です。各国の技術力によって製造方法や重視するポイントが異なり、製造国によってバイオリンの仕上がりにも大きな違いがあります。
以下では、バイオリンの主要製造国の特徴を解説します。
イタリア
イタリア製のバイオリンは、伝統的な技術のもと製造されています。
職人の手によって作られるため、品質・音色ともに評価が高く「名器」といわれる「ストラディバリウス」「アマティ」などの高級バイオリンを輩出しています。
ドイツ
17世紀初頭に、イタリアからバイオリン製作技術が伝わったと言われています。ドイツには優秀なマイスターが多く存在しており、かつてはオールドバイオリンやモダンバイオリンの約90%をドイツ製が占めるなど、高い技術が評価されていました。
近年では、価格が抑えられた手の届きやすいバイオリンが多く製造されています。
フランス
フランス製のバイオリンは、1800年代に製作された「フレンチオールド」が多く取引されています。フレンチバイオリンの定番ブランドは「オベール・リューテリエ」が代表的です。
4本の弦を固定させ、弦の振動や音を効果的に表板へ伝える重要な部品である「ブリッジ(駒)」専門メーカーとして世界的に有名です。
その他
主要国以外でもバイオリンの製造は行われています。
また、日本が製造するバイオリンは、細部までこだわり抜いた丁寧で精巧な技術により、高い評価を得ています。
まとめ
バイオリンとは、オーケストラの顔とも言われ、約4世紀半前に誕生し、誕生当初から形状が大きく変わらない弦楽器です。
バイオリンの弦にはスチール弦、ガット弦、ナイロン弦の3種類があります。スチール弦が安価で扱いやすいものの、ガット減のほうがバイオリンらしい、しなやかで柔らかい音色が表現できます。
バイオリンはヨーロッパを中心に、世界各地で製造されている楽器です。イタリアは伝統的な技術を持ってバイオリンを製造しており、日本では細部までこだわり抜かれた、丁寧で精巧なバイオリンが製造されています。