サックスの「スワブ詰まり」の対処法とは?
今回のテーマは、サックスにおける「スワブの詰まり」です。サックスをお持ちの方や楽団などで活動されている方は、
「私も詰まらせちゃったことがある」
「楽団のメンバーがスワブを詰まらせちゃって大変そうだった」
といった経験があるかもしれません。実は、サックスにおいて「スワブの詰まり」は“あるある”のひとつ。サックス奏者を悩ませている問題なのです。そこでこの記事では、「サックスでスワブ詰まりが起こった際の対処法」をご紹介します。
そもそも「スワブ」って何?
もともと「スワブ(Swab)」は、「拭き取るための布」を意味する言葉で、私たちが日常的に使用する「綿棒」もスワブと呼ばれることがあります。
サックスの場合には、管の中にたまる水分を拭き取るための布として使われるものを指します。
サックスは、マウスピースに口をつけて息を吹き込みつつ手でキーを操作して音を出す楽器であるわけですが、息を吹き込んでいると管の中には水分がたまります。
呼気に含まれる水分が液化して水になってたまり、楽器自体が全体的に見るとU字になっているため、そのまま放ったらかしにしておくと水分がいつまで経っても排出されず、楽器にダメージを与えてしまいます。
具体的には、ヒビが入って割れてしまったり、カビが生えてしまったりする原因になります。
そのような劣化が早まるのを防ぐために、定期的にスワブを使って水分を取り除く必要があるのです。
サックス用のスワブは、布の両端に紐が付いた構造になっています。
サックス上部のネックを外し、本体とネックに分けて使用します。
まずは、本体の掃除から。
(1)本体のベル側から紐を持った状態で中に入れ、反対側の紐をネックの口から出す
(2)ベル側とネック側から出た紐をそれぞれ持ち、出し入れする要領で管の中を拭く
というのが、基本的な使用方法です。
本体の掃除が終わったら、次はネック部分の掃除を行います。マウスピースを取り外し、ネックにスワブを入れて同じように紐を両側から出し、出し入れしながら拭いていきます。
正しい手順で行えば、詰まりに悩まされることなくサックスの掃除をすることができますが、時と場合によってはスワブが何かの原因で詰まってしまうことがあります。
要するに、管から抜けなくなってしまうという状況です。
では、管からスワブが抜けなくなってしまうのはなぜなのでしょうか?
そして、スワブの詰まりが起こってしまったとき、どのように対処すればいいのでしょうか?
スワブが詰まる原因とは?
スワブがサックスの管の中に詰まる原因は、簡単にいえば「突起に引っかかるから」です。
サックスの管の中は単なる空洞ではなく、いくつかの突起があります。
そこにスワブが引っかかってしまい、いったん管の中にスワブを通したものの、押しても引いても動かない詰まった状態になってしまうことがあるのです。
特に、ネックの部分は管が細いこともあってスワブの詰まりが多いといわれています。
スワブの詰まりが起こらないようにするためには、「スワブをきちんと広げてから使う」というのがコツです。
くしゃくしゃになってシワができた状態になっていたり、ねじれた状態だったりすると、シワやねじれの部分が突起に引っかかりやすくなり、詰まりが起こりやすくなってしまいます。
使用する前にしっかり広げ、シワを伸ばすことを心がけましょう。
スワブが詰まったときの対処法とは?
さて、ここまで見てきたポイントをまとめると、
・スワブはサックス内部の突起に引っかかって詰まることがある
・スワブを使用する前はシワを伸ばした状態にするのがコツ
といった感じになります。
しかし、どんなに気をつけていたとしても、場合によってはスワブの詰まりが起こってしまうことがあります。
その場合にはどのようにして対処すればいいのでしょうか。
簡単にまとめてみたいと思います。
力を入れずにゆっくり引っ張る
スワブが詰まってしまったとき、いちばん駄目なのはパニックになってしまうことです。
確かに、スワブが詰まって抜けなくなってしまったら誰しも焦ってしまうかと思いますが、ここでパニックになって無理やりスワブを引っこ抜こうとするのは逆効果です。
内部の突起が破損したり折れてしまったりすることが考えられますし、特にネック部分の掃除でスワブが詰まってしまった場合、無理やり引き抜こうと力を込めるとネックが曲がってしまうことがあります。
いったん内部が破損したり、ネックが曲がってしまったりすると、大掛かりな修理が必要です。
時間も料金も掛かり、かえって厄介な事態になってしまうので要注意です。
まずは、焦らずにゆっくり引っ張ってみましょう。
ゆっくり行うことで突起の引っかかりが外れて、上手く引き出せる可能性があります。
無理は禁物!修理店に任せるのがおすすめ
多くの場合、スワブが詰まってしまったら「修理店にお任せする」というのがいちばん良いようです。
スワブの詰まりを自力で解決できるパターンはあまり多くなく、むしろ無理して自分で解決しようとしてサックスを壊してしまうリスクが高いとされています。
楽器の修理店に依頼すると、サックスの修理技術を持った楽器リペアマンがサックスにキズをつけることもなく綺麗にスワブを取り出してくれます。
費用としては2,000~3,000円あたりが相場です。
サックスが壊れてしまった場合に比べると安価なので、無理せず依頼するのが良いといえるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。
今回の記事では、サックスにおける「スワブの詰まり」についてまとめてみました。
スワブは、サックスの状態を良好に保つために必要不可欠なアイテム。
サックスを演奏する際に管の中にたまってしまう水分を拭き取り、管の中を清潔に保つために使用される布のことを指します。
楽器の劣化が早まるのを防ぎ、楽器の価値を下げないようにするためにも、しっかり使用しましょう。
そんなスワブは、手順よく使用すれば詰まらせてしまうことはあまりないものの、何かのきっかけで詰まりが起こってしまうこともあります。
特に、サックスを始めたばかりの方は注意する必要があります。
スワブの詰まりが起こった際の対処法としては、
(1)ゆっくりと引き抜いてみる
(2)ちょっと引いてダメだったら諦めて修理店へ
というのが基本です。
無理やり引き抜こうとしてしまうと、中の構造にキズを付けたり、破損したりする原因になるので要注意です。
修理店なら2,000~3,000円程度の料金でスワブをしっかり取り出し、正常な状態にしてくれます。
無理をせず、修理店にお任せするのがおすすめといえるでしょう。
ぜひ参考にしていただければと思います!