サックスのサビの落とし方とは?
「久しぶりに出したらサビが発生していた……」
という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、サックスのサビが発生する原因、自分でできるサビ落としについてお伝えしたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
サックスにサビが発生する原因
サビが発生する原因は大きく分けて2つあります。
1つ目は「経年劣化(経年変化ともいう)」、2つ目は「水分」です。
経年劣化
市販されているサックスのほとんどが真鍮(しんちゅう)製です。真鍮は銅や亜鉛を配合して作られた合金で、「黄銅」という別名を持ちます。
特徴は熱に強く、加工がしやすいこと。
これを活かし、サックスやトランペットなどさまざまな管楽器が作られています。
サビの原因はこの真鍮に含まれている銅です。銅は空気中の水分や微量の硫黄に反応することで「サビ」を発生させます。
つまりサックスなどの楽器は「長期間空気に触れているだけでもサビてしまう」ということなのです。
ここで「ラッカー仕上げのサックスでも?」と疑問をお持ちになった方もいらっしゃることでしょう。
ラッカーとはコーティングの一種で、サックスの耐久性を高めるために塗られています。しかし、効果は永久ではありません。
またお手入れを重ねたり、直射日光に当たったりするうちに薄れていきますし、傷ができたらそこからサビが発生し広がっていきます。つまり、「ラッカー仕上げだからサビない」とは限らないのです。
水分(唾)
演奏の際、サックスの内部に水分(唾)がたまり、しかもそれを放置しておくと高い確率でサビが発生してしまいます。サックスを使用したあとは、しっかりメンテナンスを行って「唾抜き」を行う必要があります。
サビの落とし方
「家庭にあるもので落としたい」という方のために、重曹、お酢を使った方法をご紹介します。
なお、この方法はかえってサックス本体を傷める可能性もあります。
「万が一」のことが起こったら困るという方はリペアセンターに持ち込むか、のちほど紹介する「研磨剤」をご使用ください。
重曹
重曹はシルバー仕上げの楽器などに発生する「黒ずみ」に効果的とされています。
マウスピースのリガチャーやネックなど、小さい部品の黒サビにお悩み方はこの方法を使ってみてください。
【方法】
お湯に黒ずみが発生した部品を入れ、重曹を適量振りかけます。数分経つとサビが浮いてきますので、スワブを使って水分をふき取り、しっかり乾燥させてください。
お酢、クエン酸
「青サビ」と呼ばれるサビに効くのがこの方法です。お酢は砂糖など他の成分が含まれていないものをご使用ください。
【方法】
お酢、もしくはクエン酸を混ぜた水に数分~15分ほど漬け置きにします。なおクエン酸は強い酸を含むため、完全に溶けきる量を入れるようにしてください。
漬け置き後は水ですすぎ、スワブを使ってしっかり水分を除去します。
楽器専用の研磨剤がおすすめ
各メーカーから、研磨剤(YAMAHAの場合「メタルポリッシュ」)が販売されています。重曹やクエン酸を使った方法が不安という方はこういった商品をご購入ください。
【方法】
ポリシングクロスやガーゼに染み込ませ、優しく拭きとります。本体に直接塗布することのないよう注意してください。
サビがつかないようにするための手入れ
サビをつけないようにするためには普段のお手入れが大切です。
下記のお手入れ用品、方法を参考にしてみてください。
必要なもの
・クリーニングスワブ
紐と重りが付いている布です。こちらは必ず用意しておくようにしましょう。
・クリーニングペーパー
「タンポ」の水分を吸着させます。キイのサビを防止するため、必ず揃えておくようにしてください。
・ポリシングクロス
拭き上げ専用のクロスです。他のもので代用できる、という意見もありますが、ものによっては目が粗く傷になる場合があります。楽器専用のクロスを1枚用意しておくとよいでしょう。
手入れの頻度
基本的には、「毎回」です。
サックスはJ字型の菅という性質上水分が溜まりやすくなっています。
演奏が終わった後、また長時間の練習の際には演奏と演奏の合間など、できるだけこまめに「唾抜き」をするようにしましょう。
【方法】
マウスピースとネックを外した状態でクリーニングスワブを通し、本体の「唾抜き」を行います。
スワブは必ずベル(太いほう、と覚えておいてください)から通しましょう。
方向を間違えるとスワブが詰まって抜けなくなることがあります。サックス本体をひっくり返し、紐を引き抜くようにして管内の水分をふき取ります。
この作業を4~5回程度行ってください。
なお、スワブが抜けなくなってしまった場合は無理に引き抜かず、楽器の専門店やリペアセンターに持ち込んでください。
次に「タンポのつば抜き」を行います。
ここで使用するのがクリーニングペーパーです。
キイにクリーニングペーパーを差し込み、軽く押さえます。
このときタンポに必要な油分をふき取らないよう、優しく抑えるように注意してください。
最後は拭き上げです。
専用のポリシングクロスを使い、サビの原因となる汗や皮脂を拭きとります。
人によっては最初に拭き上げを行う方もいらっしゃいますが、つば抜きの作業をしているときにも皮脂が付着しますので、最後もう一度拭き上げを行うとよいでしょう。
予防を兼ねた保管を!
サックスに限ったことではありませんが、楽器はハードケースに入れて保管するようにしましょう。
前述したように、サックスは空気に触れるだけでもサビが発生します。 ハードケースに立てかけたまま、という方はいますぐハードケースにしまうようにしてください。なお、最近持ち運びに便利なソフトケースを使われる方が多いようですが、こちらはあくまでも「持ち運び用」です。
外気や衝撃に耐えられる仕様にはなっていないため、できるだけハードケースに入れるようにしてください。
長期保管の際のポイント
しばらく演奏する機会がないという場合は、楽器が苦手とする「高温多湿、直射日光」は避けて保管するようにしましょう。ベストといわれているのは湿度40~60%、室温15~25℃です。
梅雨の時期などには特に注意するようにしてください。
ちなみに「押し入れで保管している」という話もよく聞きますが、ご家庭によっては押し入れの湿度が高く、1年未満でサビだらけになってしまったという事例もあるため、保管の際には一度湿度と温度の確認をすることをおすすめします。
また、1年以上の長期保管を行う場合にはメンテナンスをしっかり行ったうえ、「楽器専用湿度調整シート」をハードケース内に入れておくようにしましょう。
なお、効果は約1年です。
1年に1度はハードケースから取り出し、サビが発生していないか確認するようにしてください。
まとめ
いかがでしょうか。今回は「サックスのサビ」に焦点を当ててお伝えしました。
しっかりお手入れをすることで、サビは予防できます。
ときには面倒に感じることもあるかもしれませんが、しっかりお手入れをすることが楽器の価値を保つことにもつながります。ぜひ、できることから始めてみましょう。
なお、サックスの売却をお考えの際には福ちゃんにご相談ください。
楽器の買取に精通した査定士が在籍している福ちゃんでは、他店よりも高くお買い取りする自信があります。査定や出張はすべて無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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