フルートのメンテナンス方法について
本コラムでは正しいメンテナンス方法のほか、
「メンテナンスの正しい頻度とは?」
「プロに頼んだほうがいいメンテナンスとは?」
といった点についても解説していきます。ぜひご一読ください。
目次
そもそもメンテナンスしないとどうなる?
このコラムをご覧になっている方の中には、
「本当にメンテナンスって必要なの?」
「メンテナンスしないとどうなるの?」
という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から申し上げると、メンテナンスは必須です。
メンテナンスをしないと、演奏に支障が出るだけでなく、フルート本体に変色、錆びが発生します。こうした変色はプロのクリーニングによって復活することもありますが、元に戻せない場合もあります。
つまり、大切なのは日ごろのお手入れと定期的なメンテナンスです。
これはフルートの寿命や価値を左右することにもつながります。
「たまにしかやっていなかった」という方も、まだ間に合います。今からご紹介するお手入れ・メンテナンスをしっかり行い、フルートの美しさをキープするようにしましょう。
メンテナンスに必要な道具
先に、フルートのメンテナンスに必要な道具についてご説明します。
必須なものとそうではないものについても解説いたしますので、参考にしてみてください。
クリーニングロッド【必須】
フルートにたまった水分を抜くための棒です。こちらは必ず持っておくようにしてください。
ボリシングガーゼ
クリーニングロッドに巻き付けるためのガーゼです。ドラッグストアで売っているガーゼやハンカチタイプのガーゼでも代用は可能ですが、管を傷つけない素材、大きさを選ぶようにしてください。
ポリシングクロス
本体の拭き上げなどに使用します。基本的にフルート専用のクロスであれば問題ありませんが、銀、金の純度が高いフルートの場合、専用のシルバークロスを勧められる場合があります。
なお、使用するクロスによっては研磨剤が含まれているものがあるため注意が必要です。こうしたクロスを使うと細かい傷が生じる場合がありますので、不安な方は楽器店で相談してから購入するようにしましょう。
クリーニングペーパー【必須】
タンポの水抜きに使用します。
これはあぶらとり紙でも代用ができますが、パウダーなどがついているタイプは使用できません。各メーカーから手ごろな価格で発売されてますので、はじめのうちは揃えておくとよいでしょう。
キイオイル
「キイ」をスムーズに動かすための潤滑油です。のちほど説明しますが、このオイルは使用する際の加減が難しく、「初心者は不要」「むやみやたらに使ってはいけない」といわれているほど。
持っていて困ることはありませんが、楽器店、リペアショップに任せるという方は必要ありません。
トーンホールクリーナー
フワフワとした見た目が特徴のトーンホールクリーナー。指でふさぐ「音孔」「指孔」専用のお手入れアイテムです。
こちらも定期的に専門店のメンテナンスを受ける、という方は必要ありません。
またフルートの材質、使い方によっては細かい傷の原因になる場合もありますので、「おすすめしない」「必要ない」という意見もあります。
使用したい、という場合は専門店に頻度や方法を確認してから購入するようにしましょう。
メンテナンスの方法
ここでは、日ごろのお手入れを3つご紹介します。ご自身でできる簡単なメンテナンスですので、演奏後は必ず行うようにしましょう。
菅の水抜き
演奏中、どうしても水分(唾)が菅の中に溜まります。
この水分は放置すると、タンポの膨張やキイ、菅の錆びの原因になりますので、演奏後は必ず管の水を抜くようにしてください。
方法は、簡単です。
フルートは「頭部管」「胴部管」「足部管」の3つで構成されています。胴部管から頭部菅をゆっくり離し、同じように胴部管から足部管を離します。このとき、キイを強く握らないように注意しましょう。
3つのパーツに分解したら、それぞれの菅にガーゼを巻き付けたクリーニングロッドを差し込み、水分を抜きます。以上です。
タンポの水抜き
長時間の演奏をすると、タンポにも水分が溜まります。
この水分も放置は禁物。しかし、拭きすぎもよくないため、加減に気を付けるようにしてください。
こちらも方法は簡単です。
専用のクリーニングペーパーをキイとタンポの間に差し込み、やさしくキイを抑え、ペーパだけを抜きます。
ポイントは優しく、軽く「ペタペタ」させる程度でやめること。
タンポの油分をふき取りすぎることがないよう、キイの押さえすぎに注意してください。
力加減がわからない、という場合は楽器店のスタッフさんや有識者の方に聞いてみましょう。
表面の拭き上げ
フルートの変色の原因ワースト1位は「手の油脂」です。
日ごろから専用のクロスを使って優しく磨くようにしましょう。
ポイントは「表面のみを拭く」ということ。細部はクロスの繊維が引っかかるおそれがあるため、よっぽど汚れが目立つとき以外は必要ありません。
なお、アルコールを使用する方法もあります。こちらも毎回行う必要はありませんので、気になったときにだけ少量をクロスに吹きかけて使うようにしましょう。
ポイントはタンポ!
タンポは乾燥も多湿も厳禁。動物の皮を使用しているという特質上、膨らんだり縮んだりしますが、適度な状態を保っていなければなりません。
場合によっては数万円という費用で交換が必要になることがあるので、日ごろのお手入れはしっかり行うようにしましょう。
メンテナンスの頻度
上記で紹介した3つのお手入れは、基本的にデイリーのお手入れとして演奏後必ず行うようにしてください。
下記は月に1回から数か月に1回程度のメンテナンスとして推奨されています。
- ①キイにオイルをさす
- ②トーンホールの汚れを取る
- ③キイに緩みなどの不調がないかチェックする
ちなみに①は、加減が難しいメンテナンスとなりますので、はじめのうちは楽器専門店もしくは有識者の方に任せるようにしてください。
オイルは適度な量をつけることでキイの摩耗を防ぐことができますが、つけすぎはキイを痛めてしまうことに繋がります。また、新品のうちはまだ不要と判断される場合もあるので、自己判断はしないようにしましょう。
②と③はセルフチェックでも構いませんが、オイル差しを依頼するタイミングで一緒に見てもらうのがおすすめです。とくにキイのゆるみに関しては自己解決ができない部分になりますので、必ず専門店に持ち込むようにしましょう。
メンテナンスで注意するべきポイント
ポイントはたったひとつ。
「自己判断をしない」です。フルートは非常に複雑な構造をしています。
定期的なチェックは無料で行ってくれるという楽器屋さんもありますので、ぜひこうした専門店のチェックを受けるようにしてください。
まとめ
いかがでしょうか。今回はフルートのメンテナンスについてまとめてみました。
フルートは決して安い楽器ではありません。
大事にしたいという気持ちがあるならば、しっかりメンテナンスを行い、楽器としての価値を落とさないようにしましょう。
メンテナンスよりも、
「もう手放したい」
「演奏する場所も時間もない」
という場合は、楽器に精通した査定士が在籍する福ちゃんにご相談ください。
買取にかかる費用・査定は無料ですので、お気軽にご利用いただけます。
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