カメラやレンズに結露ができる要因とデメリット・対策法を解説
カメラを使用していると、誰もが遭遇するトラブルの1つが結露の発生です。
コップや窓ガラスに結露が発生しても、大きな問題になることは少ないでしょう。しかし、カメラやレンズに結露が発生すると、最悪の場合は故障にもつながるため注意が必要です。
当記事では、カメラやレンズに結露ができる要因とデメリット、また結露ができた際の対策法などについて解説いたします。カメラ初心者の方や実際に結露が発生しているという方は、ぜひお役立てください。
目次
カメラやレンズに結露ができる要因
結露とは、空気中の水蒸気(目に見えない水)が、冷たい物体表面で冷却されて水滴になる現象のことです。
急激な温度変化と空気中の湿度が関係しており、温かく湿った空気が冷たいものに触れることで水滴が発生します。
カメラやレンズ以外の日常生活でも、窓ガラスや眼鏡、コップの結露を経験した方も多いでしょう。それらの現象がカメラやレンズにも発生するのです。
カメラは精密機械であり、金属やガラスなど結露が発生しやすい素材が多く使われています。レンズも同様のことがいえます。
これらの素材は結露が発生しやすく、カメラの外部や内部に水が付着してしまうのです。
カメラやレンズに結露ができやすいシーン
寒い屋外などの場所から、暖房の利いた車や室内に移動した際、カメラやレンズに結露が発生しやすくなります。
金属が多く使用されているカメラ本体は、寒い場所での撮影であれば温度が下がります。
カメラの温度が低い状態で暖かい場所に移動すると、急激な温度変化により結露が発生するため、カメラやレンズの移動は慎重に行いましょう。
また、雲海の撮影は、周辺の湿度が高い傾向にあります。湿度が高い状態での撮影は、カメラやレンズに対策を行わなければ簡単に結露が発生します。
星空など長時間におよぶ夜間の撮影も、結露が発生しやすいシチュエーションです。
とくに風のない夜や日中と夜間の気温差が大きい早朝には、結露だけでなく夜露も発生する確率が高まります。
カメラやレンズが結露するデメリット
カメラの外側が少し濡れる程度であれば、水滴をタオルなどで拭き取ることで異常なく使用できます。
ところが、結露はカメラの外側だけでなく、内側にも発生します。内側に結露が発生した場合、カメラやレンズを分解をしなければ拭き取れません。
結露が発生しても、深く考えずに放置をする方もいらっしゃるでしょう。しかし、カメラの内側が濡れると、主に3つのデメリットが生じます。
以下では、カメラやレンズが結露することで生じるデメリットを解説いたします。
デメリット1:カビ発生の原因になる
結露によって、カメラやレンズ内に付着していたホコリが濡れると、カビが発生する原因につながります。
カビが発生すると不衛生なだけでなく、写真や映像が白く曇ることも。そして、カメラの内部は、自分で分解してカビを取り除けません。
カビがひどい場合は、クリーニングに出しても完全には取り除けない場合もあります。
レンズにカビが発生していても撮影自体は可能です。しかし、カビの発生具合によっては撮影した作品に影響がおよびます。
また、下記の記事では「カメラレンズにカビが生えたときの対処方法」について、詳しくご紹介しております。
カメラレンズのメンテナンスについて知りたい方も、ぜひご覧ください。
クリーニングをしてもカビを取り除けなかった場合、レンズの買い替えを検討しましょう。また、レンズを業者に売却することで、得た費用をさらに性能がよいレンズに買い替えることも可能です。
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デメリット2:カメラ内部機器の劣化・腐食につながる
結露による水滴は、レンズだけに発生するものではありません。
カメラ内部には金属部品だけでなく電気回路も多く存在しているため、機器の劣化や腐食、最悪の場合カメラが故障する原因にもなります。
結露による水滴が電気回路に達すると、ショートを起こします。レンズのマウント部に電子接点がある場合、電子回路は結露によってショートするリスクが高まるのです。
デメリット3:きれいな写真が撮れなくなる
長時間屋外で撮影していると、結露が発生しレンズが曇ることがあります。
それに気づかないまま撮影を続けていると、『せっかく撮った写真が曇っていて、思うような作品に仕上がらなかった』というケースも出てくるでしょう。
そのため、夕方から夜、夜から朝など寒暖差が生じるシーンでの撮影は、とくに注意が必要です。
カメラやレンズが結露したときの対処法
結露はカメラにとって天敵です。どんなに気をつけていても、思いがけないタイミングで発生し、大切なカメラを故障させてしまう可能性があります。
カメラやレンズの結露を発見したときは、直ちにカメラの使用を中止しましょう。慌てて撮影を続けると、愛するカメラが二度と使えなくなるかもしれません。
上記「デメリット2:カメラ内部機器の劣化・腐食につながる」でもお伝えしたように、カメラ内部に結露が発生すると、通電によって電気回路のショートを引き起こし、故障の原因につながる恐れがあります。
しかし、結露を速く乾かそうとして、ドライヤーやファンヒーターを使用するのは必ず控えましょう。
急激な温度差によって、水滴をより発生させる可能性があります。それだけでなく、熱によってレンズや本体の変形にもつながります。
結露が発生した際の正しい対処法は、以下のとおりです。
1.カメラの使用を中止する |
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カメラを使用している際に結露の発生に気がついたら、直ちに使用を中止し、電源をOFFにしてください。 |
2.付属部品を取り外す |
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バッテリーやメモリーカード、リモコンなど、カメラに接続されている機器やアクセサリ、コードをすべて取り外します。 |
3.カメラやレンズの温度を調節する |
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カメラを暖かい場所へ移動した際に結露が発生した場合は、できるだけ涼しい場所に移動させましょう。逆に、寒い場所へ移動した際に結露が発生した場合は、暖かい場所にカメラやレンズを移動させましょう。 可能であれば、湿度が低い場所が好ましいですね。湿度が高い場所では、結露が乾きにくく、カメラやレンズに悪影響を及ぼす可能性があります。 |
4.乾燥させる |
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乾燥材を入れた密閉袋やドライボックス、除湿庫などに入れ、1日以上放置しましょう。 内部の結露がしっかり乾いていない状態で電源を入れると、電気回路のショートにつながります。心配でも途中で電源を入れることは避けましょう。 |
カメラの結露を防ぐには、日々のメンテナンスも重要です。
下記の記事では、「カメラのメンテナンス方法」について、さらに詳しく解説しております。メンテナンスに必要な道具についても触れておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
▶︎ フィルムカメラのメンテナンス方法を解説!必要な道具や注意点も
※ご自身で対処されるのがご不安であれば、専門業者にカメラやレンズのメンテナンスを依頼しましょう
カメラやレンズが結露しないための対策法
カメラやレンズを結露させないためには、急激な温度変化を避ける必要があります。
しかし、撮影シーンや環境によっては、結露を防ぐのが難しい場合もあるでしょう。
そこで、大切なカメラを少しでも長く使い続けるために、カメラやレンズの結露を防ぐ対策を解説します。
レンズヒーターを使用する
結露を防ぎたい場合は、レンズヒーターの使用が効果的です。レンズの筒に巻きつけて使用することで、カメラやレンズの急激な温度低下を防ぎます。
モバイルバッテリーを駆使すると長時間の使用も可能です。
お手頃なレンズヒーターであれば、2,000円程度の価格で販売されているため、長時間におよぶ夜間撮影の際は準備することをオススメします。
しかし、出目金レンズの場合は、レンズヒーターを使用していても出っ張ったレンズが結露してしまう恐れがあります。その際は送風機などを駆使し、結露を防ぎましょう。
カメラバック・ビニール袋に入れる
カメラやレンズの機材をバッグなどに入れず、むき出しのまま移動させると、温度変化により結露が発生しやすくなります。
カメラやレンズを保護する際には、カメラバッグやビニール袋、密封できるサイズの袋に入れておきましょう。
袋に入れる際は、できるだけ中の空気を抜き、シリカゲルなどの除湿剤も入れておくと安心です。機材が多い場合は、密閉容器や簡易ドライボックスに入れておきましょう。
もし、密閉できるような袋や容器がない場合は、上着やタオルなどを巻くだけでも結露防止の効果が期待できます。
保管場所に気をつける
寒い場所から屋内などの暖かい場所に移動する場合は、なるべく温度の変化が少ない玄関など、涼しい場所にカメラやレンズを保管しましょう。
直射日光や風が直接当たらない場合を選ぶことも重要です。
寒い場所から暖かい場所へ移動した場合は、カメラやレンズをすぐにバッグやケースから出さないようにしましょう。
理由としては、バッグやケース内には空気の層があるため、急激な温度の変化を防ぐ効果があるからです。
30分ほどそのまま置くことで、温度変化を緩やかにします。
「カメラの保管方法」について、さらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。カメラを保管する際の注意点についても解説しているため、より詳しい内容をご確認いただけます。
まとめ
寒い場所から暖かい場所に移動すると、急激な温度変化から空気中の水分が結露としてモノに付着します。
カメラに結露が発生すると内部でカビが発生したり、機器の劣化や腐食につながったりするため、結露の発生は事前に防ぐようにしましょう。
しかし、万が一カメラに結露が発生した場合はカメラの使用を直ちに中止し、内部の部品が濡れないように乾かしましょう。
温度変化が少ない場所に移動し、乾燥剤を入れた袋などで放置すると対処できます。
大切なカメラを少しでも長く使い続けるためには、正しい保管方法や保管場所を知っておきましょう。