夜の映え写真はどう撮るの?カメラの選び方から設定まで徹底解説
今回は、「夜の映え写真」をテーマにお送りします。当記事はカメラ初心者向けの解説であり、本格的な装備や設定の説明は省略しています。ご留意ください。
SNSに投稿されている夜景の写真や花火の写真、どれも綺麗ですよね。しかし、いざ自分で撮ってみようとするとブレてしまったり、真っ暗になってしまったり、思うような写真が撮影できなかった経験がある方も少なくないでしょう。
では、SNSに投稿されている夜に撮影された写真は、特殊な技術や機材が必要なのでしょうか。気になるカメラの機材や設定方法などについてまとめましたので、ぜひチェックしてみてください。
目次
夜の映え写真撮影でもっとも困難なことは?
夜の撮影でもっとも困難なことは、一体なんでしょうか。
単刀直入に答えをいうと「光を確保すること」です。
カメラの基本的な仕組みを簡単にご説明すると、レンズから入ってきた光をカメラの中にあるフィルムやイメージセンサーに当てることで、像を写し撮ります。
そして、シャッターボタンを押すことでシャッター幕が上下し、入光を調節することにより写真を明るく撮影できるのです。
なぜ夜の写真は目で見えているよりも暗く写るの?
急に暗いところへ入ると、目が慣れるまで見えづらくなりますよね。カメラも同じように日中の設定のままでは、夜は真っ暗に写ります。
そのため、シャッタースピードを下げたり絞りを開放することで、より明るい写真に仕上げられるのです。
なぜ夜の写真はブレるの?
もう1つ暗闇の撮影で失敗に挙げられることは、写真のブレです。
ここで、少し試してもらいたいことがあります。目の前で素早く手を振ってみてください。おそらく残像が見えるでしょう。
また、先ほどシャッターを長めに開けることによって、明るく写せるとご説明をしました。
つまり、シャッターが開いているあいだに、手を振ったときと同じような残像の写り込みがブレの原因なのです。
どうすれば夜にブレない写真が撮れるの?
夜にブレない写真を撮影するためは、次の4つを意識する必要があります。
1. シャッタースピードを上げる
2. 感度を上げる
3. 明るいレンズを使う
4. カメラを固定する
1. シャッタースピードを上げる
シャッタースピードを上げることでブレは防げます。
ただし、シャッタースピードを上げると取り入れられる光が少なくなるため、暗い夜だとなおさら暗くなってしまいます。
このような場合は、ストロボやフラッシュ機能を使用し、明るさを確保してあげましょう。
2. 感度を上げる
感度を上げることで、フラッシュ機能を使用せずとも明るい写真が撮影できます。
カメラの「ISO」というボタンで、設定の変更が可能です。このISOの数値を上げることで感度が上がり、暗い場所でも明るく撮影できるようになります。
ただし、ノイズの発生により画質が悪くなってしまうため、感度の上げ過ぎには注意しましょう。
3. 明るいレンズを使う
虫眼鏡で太陽の光を集めて火をつける実験を、小学生のときに体験した方もいらっしゃるでしょう。
それらと同じように、口径が大きく開放絞り値の小さいレンズを使用すると、効果的な集光ができます。
そして、より低い感度や、より高いシャッタースピードの実現が可能です。
4. カメラを固定する
設定とはまた違い、ブレる原因として多いのが手ブレです。
こちらの問題は、カメラを三脚に固定することによって、カメラ側で発生するブレを防止できます。
とくに、明るいレンズを使用することや、カメラを固定することが夜に映える写真を撮影するために重要です。
夜に映え写真を撮るために必要なものとは?
夜の撮影は、シャッタースピードを遅くすれば解決することがほとんどです。
そのため、最低限でもシャッタースピードが調節できるカメラを用意しましょう。
どのようなカメラが夜の撮影に向いているの?
夜の撮影は、光量不足や手ブレなど、昼間の撮影とは異なる課題があります。
そこで、もしカメラの購入や乗り換えをお考えなら、少し値は張りますが「フルサイズ一眼レフ」または、「フルサイズミラーレス一眼」がオススメです。
フルサイズは、イメージセンサーの大きさのことです。センサーが大きいと画質もよくるため、先ほど「2.感度を上げる」で触れたノイズも減少できます。
また、同じく先ほど「3.明るいレンズを使う」でご説明した、明るいレンズも揃えられるとなおよいでしょう。
明るいレンズの選び方として、レンズの名前にある「F2.8」や「F5.6」など書かれている数字に注目してください。この数字を「絞り値」といいます。
「F〇〇」の数字が小さければ小さいほど、明るいレンズを意味します。
F値の意味に関しては下記で詳しくご紹介でしておりますので、F値について理解を深めたい方は、ぜひご参考にしてください。
▶︎ カメラの絞り値(F値)とは?撮影に役立つ豆知識をご紹介します!
もちろん、高価なカメラやレンズを一度に揃えることは困難です。
もし、感度や絞り値を操作してみて、物足りないなと感じたらカメラのアップグレードを検討してみてもよいでしょう。
カメラ以外に用意するものは?
夜の撮影では、さまざまな便利アイテムがあります。ここからは、よく使用されているアイテム3つをピックアップしてご紹介します。
【1つ目】三脚
三脚は、夜景や夜空など撮影をする際、シャッタースピードを遅くするためには必要不可欠なアイテムです。
三脚にも、プラスチック製から金属製、軽くて丈夫なカーボン製とさまざまであり、こちらも機材と一緒ににアップグレードしていきましょう。
カメラの三脚については、「カメラの三脚を選ぶポイントを7つ解説!主要メーカーの特徴も」を、ぜひご参考にしてください。
【2つ目】レリーズ
レリーズは、カメラ本体に触れることなくシャッターボタンが切れる装置です。
カメラのシャッターボタンを押した際、振動が手ブレにつながることもあります。振動による手ブレを防ぐためにも、遠隔から操作できるレリーズは非常に心強い存在です。
【3つ目】ストロボ
ストロボは、写真撮影の際に強い光を発するための装置です。別名「フラッシュ」ともいいます。
夜間の人物撮影など、被写体のみを明るく撮りたいときに必要です。
一眼レフに内蔵されているフラッシュよりも光量が強く、さまざまな機能を有していることから、夜間撮影には欠かせません。
夜の写真を映えさせる設定をご紹介
映える夜の写真を撮影するためには、撮影環境や被写体に合わせて設定を変更する必要があります。
下記では、初心者でもすぐに真似できるシーン別のカメラ設定や、撮り方のコツをご紹介します。
人物を撮るときは?
人物撮影を行う際はストロボの出番が多く、光を拡散させるカメラ用品「アンブレラ」や「ソフトボックス」などを使用すると、さらに違和感のない仕上がりを追求できます。
しかし、今回の記事は初心者向けのため、カメラに内蔵されているフラッシュを駆使し、最大限までカメラポテンシャルを引き出す設定についてご紹介します。
デジタルカメラは試し撮りした内容をその場ですぐに確認できますので、一発撮りは避けて何回も試し撮りを行いましょう。
【場所】
街灯や街明かりが近くにある場所を選びましょう。街明かりや夜景を背景にすると、印象的で映える写真が撮影できます。
【絞り】
夜に明るく撮りたいので、まず絞りを開放にしておきましょう。
開放にすると著しく画質が落ちる場合、様子を見ながら絞っていきます。
絞りを開放することで、背景をぼかす効果に加えてモデルの方も際立つため、まさに一石二鳥ですね。
【シャッタースピード】
絞りは開放になっているため、シャッタースピードで明るさを調節します。
人物を撮影する際は、完全に動かないというのは難しいため、シャッタースピードを下げ過ぎないように注意しましょう。
【感度】
シャッタースピードを下げてもまだ暗いという場合に、感度を上げていきます。
シャッタースピードを下げるため、カメラは動かないようにしっかり固定しましょう。また、三脚がない場合は平らな机に置いて撮影するなど、工夫が必要です。
可能であれば、モデルさんにもできるだけ動かないようにお願いしてみましょう。
動くものを撮るときは?
たとえば、夜景を眺められるスポットで走る車を印象的に撮りたいとなれば、一体どのような設定にするといよいのでしょうか。
設定以外にも、コツを掴めばすぐに試せるテクニックをご紹介します。
【場所】
動く被写体は、少し離れた位置から撮影しましょう。
少し離れることにどのような意味があるかというと、たとえば時速600km/hで飛ぶ飛行機を地上から見ると、ゆっくり飛んでいるように見えます。
つまり、被写体から離れることによって、相対的な速度が落ち、シャッタースピードを稼げるのです。
また、シャッタースピードを上げるため、街中など明るい場所を選びましょう。
【絞り】
明るく撮るためには絞りを開放にしますが、暗いとオートフォーカスの精度が落ちるため、ある程度絞ってピントが合わせやすいように設定します。
【シャッタースピード】
まずは、1/15秒〜1/60秒の範囲で設定してみましょう。
何度か試し撮りを行い、被写体の速さに合った最適なシャッタースピードを決めることが重要です。
【感度】
シャッタースピードを上げるため、感度は少し高く設定します。
カメラの性能によっても違いがあるので、ノイズが目立ち始める感度を撮影に行く前に確認しておきましょう。
動く被写体は、三脚にカメラを固定しなくても撮影が可能です。
少しテクニックが必要なため、被写体の中心をファインダーで追いかけながらカメラを動かします。いわゆる「流し撮り」という方法で、慣れると非常に迫力のある写真を撮影できます。
星空を撮るときは?
夜に郊外へ出かけると星空が綺麗ですよね。思わず写真を撮ってみたものの、明るい星以外は真っ暗に写ってしまった経験はありませんか。
次は、星空撮影の基本をご紹介します。
【場所】
明るい街中よりも、街灯の少ない場所や山の星空は綺麗に見えますよね。
星空を撮影する際も、街灯の少ない場所や山の方が綺麗な写真を撮影できます。
また、冬より夏の方が天の川など魅力的な星空を撮影できるでしょう。
【絞り】
露光時間を短くするために、絞りは開放で撮影しましょう。
【シャッタースピード】
シャッタースピードは、30秒から1分程度開けておく必要があります。
しかし、これ以上長く開けてしまうと、天体も少しずつ動き星が長細く写ってしまうため注意が必要です。
【感度】
何枚か撮影してみて、肉眼で見える状態と同じくらいに明るくなるよう調整しましょう。
感度を上げ過ぎてしまうと、星かノイズかわからなくなってしまうので要注意です。
SNSに上がっている鮮明な星空の写真は、実は複数の写真を重ねていたり、「赤道儀」という特殊な道具を使用したりしているケースがほとんどです。
もちろん、1枚だけでも星空は映りますが、できるだけ街から離れた場所に行ったり、明るいレンズを用意したりするなどの工夫が必要になります。
花火を撮るときは?
夏の夜空を彩るものといえば、花火ですよね。
その美しさについついカメラを向けると、何かが爆発したような写真が撮れてしまった経験はございませんか。
ここからは、打ち上げ花火の撮影方法についてご紹介します。
【場所】
花火を撮影する際は、風向きが重要になります。
誤った位置で撮影すると、煙で花火が遮られたり花火の燃えカスが降ってきて危険だったりと、せっかくのシャッターチャンスを逃すことに。
そのため、真下に近い場所よりも、花火の発射位置から、約400m〜500mほど離れた場所で撮影することをオススメします。
【絞り】
開放にしてしまうと、花火が開いて閉じるまでに数秒はかかるので明るくなり過ぎてしまいます。
そのため、ある程度まで絞る必要があります。花火は試し撮りにも限りがあるので、打ち上がる前にシャッタースピードと絞りの感覚を掴んでおきましょう。
【シャッタースピード】
『シャッタースピードは花火が開いてから消えるまでです』といわれても、ピンとこない方が多いでしょう。
実は、シャッターボタンを押している間、シャッターを開いていてくれる便利な機能「バルブモード」というものがあり、このモードを使用します。
モードダイヤルを「B」に設定し、あとは花火が開いて消えるまでシャッターボタンを押し続けましょう。
※バルブ撮影時は三脚が必須です
【感度】
打ち上げ花火は明るいため、そこまで感度を上げなくても問題ありません。
もし何度か撮影して、『暗いな』と感じた際は感度を上げてみましょう。
打ち上げ花火は明るいことから、設定を切り詰めなくても、それなりに上手な写真が撮影できます。撮影に慣れることで、何かが爆発したような写真になってしまうことも防げるでしょう。
しかし、花火大会の会場によっては、バルブ撮影に必須である三脚の使用は禁止されている場合があります。
会場付近で撮影するとしても、人通りが多く三脚を立てるスペースの確保が難しいため、しっかりと撮影するには不向きです。
花火大会の会場から少し離れた、開けた場所を事前に探しておきましょう。
夜の映え写真の編集方法を解説
カメラの中でも、明るさや色合いを変えることはできます。しかし、いざ確認してみると、『想像していた写真と違う』と感じたことはありませんか。
スマートフォンで撮影した写真のように、カメラで撮影した写真も後から編集が可能です。
カメラメーカーのウェブサイトでも、編集ソフトがダウンロードできるので、パソコンをお持ちであればぜひ利用しましょう。
パソコンをお持ちではない方でも、スマートフォンと直接通信することで、データを取り込める機能機種があります。
お手持ちのカメラの機能を、取扱説明書などで確認してみましょう。
夜の写真を編集するコツとは
夜の写真は、具体的にどのような編集をすればよいのでしょうか。
もちろん、被写体や人の好みにより、編集の設定はさまざまです。次の項目は必ずといっていいほど使用する機会が多いので、覚えておきましょう。
【明るさ】
パソコンやスマートフォンで写真を見ると、カメラのディスプレイよりも暗いことがあります。
そのようなときは明るさを調節しましょう。
明るさのことを「露出」と表現する場合もあります。詳細については、ご使用されている編集ソフトの説明書などでの確認がオススメです。
【色温度とホワイトバランス】
色温度は、文字通り暖かい色や寒い色を「K(ケルビン)」で表します。
実際の温度と同様に、数字が小さくなると寒い色合いになります。夜景などでは、4000K以下の比較的寒い色合いがよく使用され、逆に暖かい色合いはあまり使用されません。
適切な色温度が出せないときは、ホワイトバランス(WB)の設定を変えましょう。
多くのカメラでは、「WB」と書かれたボタン押すことで設定の変更が可能です。ホワイトバランスの設定から、白熱電球や白色蛍光灯を選ぶと寒い色合いに設定できます。
【ノイズリダクション】
夜間などの撮影では、高感度を使わざるを得ない場面があります。
しかし、高感度撮影をするとノイズが発生しやすくなるのです。ノイズで画質がザラザラになってしまい、せっかく綺麗な写真が台無しになってしまいます。
このようなときは、ノイズリダクションを使用しましょう。最近では、AIを活用したノイズリダクションを搭載する編集ソフトもあり、これを使用すると見違えるほど画質がよくなります。
【比較明合成】
比較明合成は、複数枚の明るいところだけを合成する編集方法です。
星空や花火などを撮影する際、長い間シャッターを開け過ぎると全体が明るくなります。
一定時間ごとにシャッターを閉じ、星や花火だけの部分を合成することで、全体的にそのままで暗さを維持できます。
夜の映え写真をさらに素敵に撮りたい場合は、機材のグレードアップも検討しよう
夜の映え写真を撮影することは至難の業です。まずは「シャッタースピード」をはじめ、「絞り値」と「ISO感度」をそれぞれ変えてみながら、感覚を掴みましょう。
最適な設定で撮影することで、大幅に写真の質を改善できます。
しかし、機材による差を埋めることは困難であるため、腕に自信が持てるようになってきた頃に、機材のアップグレードを検討してみるとよいでしょう。
いきなり上級機種を買い揃えることは経済的な負担もかかります。そのため、少しずつレンズとカメラをアップグレードし、自分が撮りたい写真に合った機材の構成をオススメします。
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