強いこだわりのあるエルメスの革素材|代表的な種類を紹介
エルメスの革製品は職人がひとつひとつ手作業で制作し、革本来の特徴を残しながら仕上げられています。革製品を長く愛用してもらうため、バッグの擦れた角の部分や傷などの修復、革製品への疑問解決にも対応しており、エルメスの革への情熱が伺えます。革への強いこだわりのあるエルメスでは、どのような革を使用しているのでしょうか。
当記事では、エルメスで使用されている代表的な革素材の種類を解説します。自分に合った革素材を知ってからエルメスの革製品を購入したい方は、ぜひご一読ください。
目次
強いこだわりがあるエルメスの革
エルメスは、馬具を中心に革製品を扱う事業として始まりました。今では高級ブランドとして高品質な革製品を製造しており、重要な素材である革への強いこだわりがあります。
エルメスにはさまざまな革製品がありますが、革のナチュラルなシワ、血脈、キメなど、革本来の素材感を残すような仕上げ作業を行っています。
牛革や山羊革、ワニ革など天然の革を使用し、職人がひとつひとつ手作業で商品を調整し作り上げていることも、革へのこだわりのひとつです。
エルメスの革製品は時間の経過とともに味わいを増し、しなやかさや艶を帯びていきます。製品を使い込むほど個性が出るため、長年愛用することができる製品として世界中からの高い評価を得ています。
【エルメス】定番の牛革素材
牛革は、エルメスの定番革素材です。牛革は天然素材であるため、革それぞれに個性があります。エルメスの牛革は高品質で柔らかく、耐久性が高いことで知られています。
また、高い耐水性があるため、長きにわたり使用することができるでしょう。
以下では、エルメスで使用される牛革素材の種類を特徴とともに解説します。
自然なままの型押し素材
自然なままの型押し素材とは、牛革を加工せずに自然な状態のまま型押しした素材で、エルメスでは最も主流の素材です。
トゴ
適度な柔らかさを持った雄仔牛の革素材です。傷や擦れにも強いため、使いやすくベーシックな素材として人気があります。やや深めで細かい革目をしています。
トリヨンクレマンス
しっとりと手に馴染むような質感で、エルメスの革素材の中では代表的な雄牛の革素材です。大きい型押しで傷や擦れに強く、女性に人気があります。
トリヨンノビーヨ
細かくはっきりとした凸凹感のある革素材です。柔らかな手触りと、マットな質感が特徴的です。
トリヨンモーリス
ほどよく柔らかな質感の雄成牛の革素材で、マットな風合いです。エブリンやピコタンロックといったバッグでよく使用されます。
フィヨルド
「トゴ」よりは柔らかく、マットな質感のある雌牛の革素材です。粗めの型押しが特徴的で、ほどよい柔軟性と弾力性、多少の防水性を備えています。
加工された型押し素材
加工された型押し素材とは、牛革を加工し表面を平らにしたり、柔らかさを増したり、光沢を出したりすることで、製品に適した状態にした素材のことを指します。
ヴォーエプソン
2003年に「クシュベル」の後継素材として登場した素材です。キメ細やかな革目の型押しと、型崩れしにくいことが魅力的な、比較的硬めの革素材です。適度な張りと耐久性があり、型押しされた革素材の中で人気があります。
マダム
2019年春夏より登場した比較的新しい素材で、バーキンやケリーに使用されることが多い素材です。細かい型押しで、控えめながらも光沢感があります。
グレネムッシュ
少し硬めの手触りで細密な型押しが施されているため、かっちりとした印象のある雄仔牛の革素材です。コンスタンスやバーキンなどで使用されることが多い素材となっています。
ヴァッシュトレッキング
しっかりとした張りがあり、「トゴ」よりも少し細かい目の革素材です。マットな質感と硬めの触感で、バッグ類を中心に展開されています。
カントリー
少し張りがあり、硬質な手触りの雌仔牛の革素材です。主にガーデンパーティーに使用されています。
【エルメス】繊細で美しい山羊革素材
山羊革は、傷などに強く色落ちしにくい特性を持ち、発色性に優れています。
牛革に比べると軽量で柔らかく、柔軟性が高いことで知られており、繊維が密に結合しているため高い強度があります。
シェーブルミゾール
産地でもあるインド南部の街が名前の由来で、使い込むと艶が増し柔らかくなる性質がある素材です。体の小さな山羊の革を使っており、財布やバーキン25など小さめのアイテムで展開されています。
シェーブル コロマンデル
目の模様がシンメトリーになる雌山羊の革素材です。比較的軽く、ほどよい柔らかさと艶やかな光沢が魅力的です。
ヴィブラート
複数の染色した山羊革を重ねて貼り合わせたものを裁断した、とてもデリケートな素材です。現在は廃盤素材となっています。
ヴィブラート スニップ
「ヴィブラート」を縦横に並べて裁断した素材で、繊細で鮮やかな色味が特徴的です。現在は廃盤素材となっています。
【エルメス】高級感のあるワニ革素材
ワニ革素材は、柔軟性が高く柔らかい肌触りで非常に硬く強いため、高い耐久性を持っています。
耐水性も高く汚れや水に強いため、長期間使用しても美しい革質を保てます。ワニ革素材はエルメスにおいて、最高級素材として位置づけられています。
クロコダイル ポロサス リセ
ワニ革素材の中で最も高級な素材です。東南アジアやオーストラリア原産の素材を指し、均等に並んだウロコが美しく、光沢感があります。
クロコダイル ポロサス マット
「クロコダイル ポロサス リセ」にマット加工を施した素材で、左右均等に並んだウロコの美しさが魅力的です。
クロコダイル ニロティカス リセ
「クロコダイル ポロサス」に比べ、少し大きなキメのウロコが均一に並んでいる素材です。アフリカのナイル川流域原産の素材で、「ニロティカス」はナイル川を意味しています。
クロコダイル ニロティカス マット
「クロコダイル ニロティカス リセ」にマット加工が施された素材です。光沢感を抑えつつ、美しい斑紋が楽しめる上品な雰囲気が魅力的です。
【エルメス】防水性に優れている水牛革素材
水牛革は、厚くて丈夫な上に表面の強度は非常に高く、一般的に使用される革素材の中でもダントツの強度があります。
革表面には独特の「シボ模様」があるため傷がつきにくく、防水性に優れているのが特徴です。
ダルメシアン
素材の凹凸感を利用しダルメシアン柄になるよう2度染色されている、ユニークな素材です。現在は廃盤素材となっています。
ブッフルガラ
本来は硬い素材の水牛革を柔らかくした素材で、比較的細かな目の大きさと光沢感がある素材です。素材の特性から、小物類にのみ展開されています。
ブッフルシンドゥ
ガーデンパーティでのみ展開されている、2007年に登場した水牛系素材です。主に使用されるのはネゴンダ(雄仔牛)とブッフルシンドゥ(水牛)で、発色の違いからカラーリングによって採用される素材が異なります。
ブッフルスキッパー
主にガーデンパーティで展開されている、防水性があり若干の光沢感と艶がある水牛革です。
バリエーション豊かなエルメスの革素材
エルメスの革素材は、牛革・山羊革・ワニ革・水牛革以外にも、ダチョウやトカゲなどさまざまな革素材が製品に使用されています。ここでは、素材別の特徴や魅力について紹介します。
オーストリッチ
クイルマークと呼ばれるプツプツとした水玉模様が特徴的なダチョウ革素材です。発色が良く、さまざまなカラーアイテムが展開されています。
リザード
細かく粒のそろった、光沢感のある独特な形状のウロコが魅力的なトカゲ革です。薄くて軽くて丈夫なのが魅力です。
リザードナチュラ
2007年に登場したトカゲ革素材です。リザード本来の雰囲気を残すため、できるだけ少ない加工が施されており、リザード本来の美しさを味わえます。
ポーク
エルメスアイテムの中では珍しい、ざらついた手触りが印象的なブタ革素材です。しっかりと丈夫な革素材で、摩擦にも強いです。
まとめ
エルメスは革素材へのこだわりが強いブランドで、商品には革独自のシワやキメ、血脈など素材感を残すような仕上げ作業がされています。
職人が手作業でひとつずつの商品を調整し作り上げていることも、エルメスの革へのこだわりのひとつです。
多くの革素材は牛革、山羊革、ワニ革、水牛革が使用されていますが、一部ではダチョウやトカゲ、豚の革も使用されています。どの革製品を使用しても、時間の経過とともにしなやかさや艶が出て、革に個性が表れるのが魅力です。