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  • 2025.02.25

九谷焼をわかりやすく解説!特徴・画風から古九谷との違いまで

鮮やかな色彩と大胆な構図が目を引く「九谷焼」。
石川県南部で生まれたこの伝統工芸品は、400年以上の歴史を持つ色絵磁器です。

多様な画風が存在し、一言でその魅力を語ることは難しい九谷焼。

当記事では、九谷焼の特徴や歴史、代表的な画風をはじめ、「古九谷」との違いまでをわかりやすく解説していきます。

九谷焼の世界に触れ、その奥深さを知るガイドとして、ぜひご活用ください。

九谷焼の歴史|400年を誇る物語

九谷焼の歴史

加賀百万石の華として知られる九谷焼。

その鮮烈な色彩と大胆な構図は、400年以上もの間、人々を魅了し続けてきました。

ここからは、九谷焼の歴史を「誕生と復活」という2つの章に分けて紐解き、その魅力の源泉に迫ります。

九谷焼の誕生

九谷焼が誕生したのは、江戸時代前期の1655年頃。加賀支藩・大聖寺藩領内の九谷村で、磁器の原料となる陶石が発見されたことがきっかけでした。

当時の藩主・前田利治は、後藤才次郎を有田に派遣し、陶技を習得させます。そして、九谷村に窯を開かせ、そこで生まれた作品は「九谷焼」と呼ばれるようになりました。

しかし、数多くの名品を生み出した九谷焼は、わずか50年ほどで閉窯を迎えます。その理由は、現在に至るまで謎に包まれています。

九谷焼の復活

閉窯から約100年の時を経て、九谷焼は再びその輝きを取り戻します。

1807年、加賀の地で春日山窯が開窯。これを皮切りに、若杉窯や小野窯など、新たな窯が次々と誕生しました。

とくに、1824年に開窯した吉田屋窯は、その卓越した技術と芸術性で、再興九谷を代表する窯として名を馳せます。

その後、1873年のウィーン万国博覧会を皮切りに、フィラデルフィアやパリといった世界へと羽ばたいた九谷焼は、「Japan Kutani」として国際的な評価を獲得。

現在も、石川県加賀市・小松市・能美市・金沢市などを中心に、多くの作家たちが伝統の技を受け継ぎ、新たな表現に挑戦し続けています。

九谷焼と古九谷の違い

九谷焼と古九谷の違い

「古九谷」とは、前田利治が開窯してから閉窯までの約50年間、初期に制作された九谷焼のことを指します。

九谷焼と「別の焼き物」ではありません。

ちなみに、再興後に作られた九谷焼は「再興九谷」と呼ばれ、古九谷と区別されています。

古九谷の特徴は、大胆で力強い構図と鮮やかな色彩です。

五彩(赤・黄・緑・紫・紺青)や、青手(黄・緑・紫・紺青)で描かれたダイナミックな文様は、現代の九谷焼にも大きな影響を与えています。

九谷焼の特徴

九谷焼の特徴

九谷焼の魅力は、以下の3つの特徴に集約されます。

● 絵画のような上絵付
● 鮮やかな五彩(九谷五彩)と厚みのある色彩
● 多彩な作風

これらの要素が織りなす、九谷焼ならではの美の世界をご紹介します。

絵画のような上絵付

九谷焼最大の特徴は、絵画のように美しい上絵付(うわえつけ)です。

山水・花鳥・幾何学模様・人物など、さまざまなモチーフが、繊細な筆遣いと鮮やかな色彩で描かれています。

上絵付は、焼成されることで透明感を増し、美しい色を発色。呉須(顔料)で描いた骨描き(模様や輪郭線)が透けて見えることで、九谷焼特有の輝きと奥行きが生まれます。

鮮やかな五彩(九谷五彩)と厚みのある色彩

九谷焼は、五彩(赤・黄・緑・紫・紺青)を基調とした、鮮やかな色彩が特徴です。

また、色に厚みがあるのも九谷焼の特徴。これは、赤を除く4色が焼成によってガラス質になるためです。

厚みと透明感を兼ね備えた色彩は、光を反射し、よりいっそうの美しさを放ちます。

多彩な作風

九谷焼は、作家や窯元によってさまざまな画風が存在します。

古九谷の伝統を受け継ぎながらも、それぞれの窯元が独自の個性を表現することで、多様な魅力を持つ九谷焼が生まれてきました。

次の章では、九谷焼を代表する7つの画風をご紹介します。

九谷焼を代表する7つの画風

九谷焼を代表する画風

個性豊かな九谷焼の世界を、代表的な7つの画風を通して探ってみましょう。

1.古九谷
2.木米(もくべい)
3.吉田屋
4.飯田屋
5.永楽
6.庄三(しょうざ)
7.青粒(あおちぶ)

1.古九谷

狩野派の影響を受けたとされる古九谷は、山水や花鳥を題材とした、豪快で絵画的な表現が特徴です。

中国や南蛮の意匠も取り入れ、独自の解釈で鮮やかに表現されています。

白い地に五彩で繊細な絵柄を描いたものや、器全体を赤以外の4色で覆った青手などが主流です。

2.木米(もくべい)

京都の名工・青木木米の画風を受け継ぐ木米。

京風の呉須赤絵写しや、赤い背景に中国風の人物や動物をユーモラスに描いた作品が特徴です。

五彩の鮮やかな色合いと相まって、明るく楽しい印象を与えます。

3.吉田屋

大聖寺の豪商(屋号吉田屋)の豊田伝右衛門が開いた窯元。

古九谷の画風を色濃く残し、黄・緑・紫・紺青を使った青手古九谷と呼ばれる画風で、器全体を色で埋め尽くしているのが特徴です。

手描きの温かさと大胆な色使いが魅力で、現代でも高い人気を誇ります。

わずか7年で閉窯したものの、その芸術性の高さは高く評価されています。

4.飯田屋(八郎手)

極細の線で描いた赤絵が美しい飯田屋。

緻密で精巧な筆さばきで中国風の意匠を描き、金彩を施した作品が特徴です。

線の密度によって赤のグラデーションを生み出し、非常に優美な仕上がりとなっています。

5.永楽(金襴手)

京焼の陶芸家・永楽和全の影響を強く受けた永楽。

赤い背景に金彩で花鳥獣虫を描いた、絢爛豪華な作品が特徴です。

赤と金のインパクトのある色彩は、九谷焼の中でもとくに華やかで、存在感抜群です。

6.庄三(しょうざ)

九谷焼のさまざまな画風を融合させた庄三。

洋絵の具も使用し、中間色を表現するなど、革新的な技法を取り入れているのが特徴です。繊細な筆遣いで花鳥・人物・山水を描き、多彩な色使いで華やかな作品を生み出しています。

海外でも高い人気を誇っています。

7.青粒(あおちぶ)

青粒は、緑の絵の具で極小のドットを描き、模様を表現する技法。

均一な間隔でドットを並べ、絵の具を盛り上げるように描く高度な技術が必要です。

白粒や金粒もあり、オリエンタルな雰囲気と独特の世界観を醸し出しているのが特徴です。

九谷焼で彩る豊かな食卓

多様な画風を持つ九谷焼は、それぞれに個性的な美しさを放ち、奥深い魅力を湛えています。

同じ九谷焼でも、まったく異なる趣の器との出会いを楽しめるのも、九谷焼の魅力の1つといえるでしょう。

お気に入りの九谷焼を見つけて、食卓に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。

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