• 着物
  • 2024.12.04

西陣織の特徴・歴史・魅力を徹底調査!美しさの秘密に迫る

西陣織は、京都で作られている高級絹織物。
先染めの糸を用いて作られ、その種類は多岐に渡るのが西陣織の特徴です。

今回は、西陣織がどのような織物なのか知るための、特徴歴史などをお話ししていきます。

国指定の12品種についてもご紹介していますので、西陣織が織りなすさまざまな美しさに触れてみてください。

西陣織の特徴

西陣織の特徴

西陣織とは、京都の西陣と呼ばれる地区で作られている最高級の絹織物のこと。

以下に、西陣織の特徴を挙げておきます。

● 先染めの織物
● 多品種少量生産
● 3つの織機を使い分ける

西陣織は、豪華であでやかな作品が多い先染め織物です。

生地になる前の糸を染色してから柄を織りあげるのが特徴で、その美しさや伝統的技術は、海外からも注目されています。

多品種少量生産を行っているのも、西陣織の特徴のひとつ。多彩な織物があり、そのほとんどが緯糸で模様を織り出す緯錦(ぬきにしき)の技法を用いています。

種類によって手機(てばた)・力織機(りきしょっき)・綴機(つづればた)の3つの織り機を使い分け、西陣織の多彩な作品が織られているのです。

西陣はどこ?

京都市北区から上京区を中心とした地域を、西陣と呼んでいます。京都市街地の北西部に当たり、西陣織発祥の地として今も織物産業が盛んな地域です。

実際、西陣という行政地区は存在していません。

西陣は、古くから織物業で栄えた土地でした。しかし、応仁の乱(1467年〜1477年)により、職人たちは京都を離れていきます。

戦いが終わり、職人たちが京都へ戻って織物業を再開。

以前より織物業が盛んだった場所が西軍の本陣跡だったため西陣と呼ばれるようになり、西陣織も発展していくのでした。

西陣織の歴史

西陣織の歴史

西陣織の始まりは古く、5〜6世紀の頃。
京都に住みついた渡来人が、養蚕と絹織物を伝えたのが由来といわれています。

平安時代には、朝廷がつかさどる織部の司で織物業が営まれていました。律令政治の崩壊とともに、織物業は国から町へと産業の場を変え、織り職人の集まる綾部町が誕生します。

室町時代には、大舎人座(おおとねりざ)と呼ばれる組織が造られ、織物業がますます発展していきました。応仁の乱の後、西陣で作られる絹織物が西陣織と呼ばれるようになり、現在に至ります。

伝統的な西陣織の技術を継承しつつ、明治時代にはジャガード織技術を導入。時代ごとに新しい技術やデザインを取り入れ、常に新しい西陣織の表現を追求しています。

西陣織の魅力とは

西陣織の魅力とは

日本のみならず、世界中の人々を魅了してやまない西陣織。

その西陣織の主な魅力を、以下に挙げてみました。

● 色彩が豊富な織模様
● 模様の緻密さ
● 絹のやわらかな輝き・柔軟性

多色の糸を使用して織り出す、色彩が豊富で鮮やかな模様は、西陣織の大きな魅力です。

50色以上の色を使った帯もあり、その美しさは日本を代表する織物としてふさわしい風格を感じさせます。

祇園祭の山鉾巡業では、きらびやかな西陣織の懸賞品をまとった山鉾に会えるのも楽しみのひとつ。西陣織は、まさに日本三大祭りを飾るにふさわしい織物といえるでしょう。

綴(つづれ)や緯錦など、さまざまな技術による緻密な模様も、西陣織ならでは。経糸と緯糸がさまざまに織りなす有職文様や吉祥文様も、ひときわ美しく見えます。

絹素材のやわらかな輝きも、西陣織の魅力です。密度が高く高級感がある一方、柔軟性にも優れています。

西陣織|国指定の12品種とは

西陣織|国指定の12品種とは

西陣織には、国の伝統工芸品に指定された12の品種があります。

一つひとつ説明していきますので、西陣織の知識を広げるのにお役立てください。

緯糸のみで模様を織り出していく技法を、綴といいます。

1日に1センチ四方ほどしか作れないこともある、緻密な作業を必要とする職人技のひとつです。

職人の爪をやすりでのこぎり状に削り、緯糸をかき寄せて織りあげる「爪掻き」でも知られています。

経錦(たてにしき)

経錦は、経糸の浮き沈みで文様を織り出す錦織です。

錦の中でも歴史が古く、飛鳥時代や奈良時代の物も現存しています。

緯錦

染色した数種類の緯糸を浮き沈みさせながら、模様を織り出す技法です。

経錦よりも簡易な技法で、和銅年間(708〜715)に日本で作られるようになったといわれています。

緞子(どんす)

緞子は繻子織り(しゅすおり)の絹織物
経糸と緯糸の組織点が少なく、豊かな光沢が特徴です。

古くは男性に用いられていた緞子ですが、元禄前後より女性にも使われるようになりました。

朱珍(しゅちん)

繻子織りの地に、2種類以上の多彩な緯糸で模様を織りあげています。

緯糸に、金糸・銀糸や箔を使った、豪華で色彩豊かなタイプが多いのが特徴です。

紹巴(しょうは)

経糸にも緯糸にも撚りの強い糸を使用した、薄地の織物です。

手触りが良い 上に軽くて締めやすい帯として、着物の好きな方から支持されています。

風通(ふうつう)

二重・三重の多層織物で、袋状の隙間ができるため、風通と呼ばれています。

二重風通は、表面と裏面で反対の色を出せるのが特徴です。

綟り織(もじりおり)

綟り織は、隣り合う経糸同士が絡み合うことで隙間が作られるのが特徴です。そのため、綟り織では、風情のある透けた表情が楽しめます。

夏は絽(ろ)・紗(しゃ)・羅(ら)などで親しまれる、風通しの良い織物です。

本しぼ織

経糸・緯糸ともに、「撚り・糊・撚り」の順で強い撚りをかけて織り込んでいきます。

仕上げにぬるま湯でもみ出して、しぼと呼ばれる凸凹を作る、高級感のある織物です。

ビロード

西陣織のビロードは、有線ビロードと呼ばれる織法です。
ビロード特有の輪奈(わな)を作るために、細い針金を織り込みます。

その後、針金を引き抜くとビロード特有のループができ、針金が通った経糸をカットして羽毛を表現する技術です。

絣織(かすりおり)

織模様を出すために、部分的に防染処理を施した絣糸を使用します。

独特のかすれた風合いが魅力で、西陣織では矢羽をモチーフにした矢絣が代表的です。

つむいだ真綿を経糸と緯糸に使用し、平織で織りあげる素朴な織物です。

西陣織の紬は「都ぶり」と呼ばれ、縫い取りの模様を入れています。

まとめ

まとめ

日本の織物の代名詞ともいえる西陣織。
一言で西陣織といっても、実に多彩な品種が存在しています。

西陣織の名が、天下を分かつ応仁の乱に影響を受けていたことにも、趣深さを感じられるでしょう。

豪華な帯や小物類などのさまざまな西陣織で、和装の楽しみをより広げてみてください。

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