複雑な歴史を秘めた「人民解放軍建軍41周年切手」の価値と魅力

1968年、文化大革命の嵐が吹き荒れる中国で発行された「人民解放軍建軍41周年切手」。

一見、人民解放軍の輝かしい歴史を祝う記念切手ですが、その背景には「毛沢東思想」の浸透、軍の政治的役割の強化、そして権力闘争の影が色濃く反映されているのです。

この切手の題字を揮毫(きごう)したのは、当時、毛沢東の後継者と目されていた「林彪(りんぴょう)」。後に毛沢東と対立し、謎の死を遂げることになる彼の存在が、この切手に特別な意味合いを与えています。

今回の福ちゃんコラムでは、1枚の切手に凝縮された複雑な中国現代史、そしてコレクターたちを惹きつけてやまない「人民解放軍建軍41周年切手」の価値と魅力を紐解いていきます。

ぜひ、最後までご覧ください。

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「人民解放軍建軍41周年切手」とは?

複雑な歴史を秘めた「人民解放軍建軍41周年切手」の価値と魅力

1968年8月1日、中国人民解放軍創設41周年を記念して発行された「人民解放軍建軍41周年切手」。

この切手は、単なる中国切手ではありません。

中国共産党の武装闘争の歴史、文化大革命の政治状況、そして林彪という重要人物の運命が複雑に絡み合った、歴史的にも非常に興味深い存在です。

建軍記念日「八一」の由来 ―

1927年8月1日、中国共産党の指導者である「周恩来」や「賀竜」らが、江西省南昌で国民党軍に対して武装蜂起を起こしました(南昌蜂起/なんしょうほうき)。

この南昌蜂起を人民解放軍の創設とみなし、8月1日を「建軍記念日」としたのです。

中国共産党が初めて独自に指揮した武装蜂起である南昌蜂起は、中国革命史における重要な転換点となりました。

その後、1933年に中共中央革命軍事委員会の決議により、8月1日(八一)が正式に、「中国工農紅軍(後の中国人民解放軍)」の創設記念日として定められたのです。

林彪(りんぴょう)の題字と文化大革命 ―

この切手の最大の特徴は、林彪が揮毫(毛筆で言葉や文章を書くこと)した題字が使われていることです。

実はこの題字、1965年に発行予定だった「中国人民解放軍切手」のために林彪が書き下ろしたものでした。

しかし当時、この切手は発行されず、3年後の1968年、文化大革命の最中に発行されることになった「人民解放軍建軍41周年切手」に採用されたのです。

参考記事
「中国人民解放軍切手」については、下記の解説記事もぜひご覧ください。
1965年発行の「中国人民解放軍切手」

文化大革命期において、林彪は毛沢東の後継者と目され、絶大な権力を握っていました。

彼の題字が採用されたのは、毛沢東思想の宣伝と軍の役割を強調する目的があったと考えられます。

5,000万枚発行の歴史的資料 ―

「人民解放軍建軍41周年切手」は、5,000万枚という膨大な数が発行されました。

これは、当時の中国における切手の普及率の高さと、この切手が持つ政治的な意味合いを示しています。

この切手は現在、文化大革命期の「社会状況」や「政治思想を反映する貴重な歴史資料」として、中国国内だけでなく、日本のコレクターの間でも高い関心を集めています。

「林彪の題字」を冠したプロパガンダ色の強い図案

複雑な歴史を秘めた「人民解放軍建軍41周年切手」の価値と魅力

「人民解放軍建軍41周年切手」は、1種類のみ発行されました。

デザインテーマは、「林彪の題字」です。

5,000万枚という、当時としては非常に多い発行枚数からも、この切手が単なる記念切手ではなく、政治的なプロパガンダとしての役割を担っていたことが伺えます。

― 林彪の力強い題字と毛沢東思想 ―

切手の中央には、林彪が力強く揮毫した「中国人民解放军是毛泽东思想武装起来的队伍、是全心全意为人民服务的队伍、因而是战无不胜的队伍。林彪」という題字が、白い枠の中に黒字で大きく配置されています。

この題字を日本語に翻訳すると、「中国人民解放軍は毛沢東思想で武装した軍隊であり、人民のために誠心誠意尽くす軍隊であるからこそ、無敵の軍隊である」という意味です。

毛沢東思想の重要性と、人民解放軍の優位性を強調するメッセージが込められています。

― 工農兵の団結を象徴する彫像 ―

切手の右側には、工場労働者・農民・軍人を表す3人の人物が「毛主席語録」を高く掲げる彫像が描かれています。

この彫像は、文化大革命期に盛んに唱えられた「工農兵の団結」を象徴的に表現したものです。

毛沢東思想を拠り所とした社会主義建設を目指し、プロレタリアート(賃金労働者階級)が一致団結して革命を進めるという理念が、この彫像に凝縮されています。

― 切手のデザインに込められた意図 ―

白地を基調としたシンプルなデザインの中に、林彪の題字と象徴的な彫像を配置することで、毛沢東思想の絶対的な権威と人民解放軍の強さを視覚的に印象づける、プロパガンダ色の強い切手となっています。

▼中国切手「人民解放軍建軍41周年」の詳細
・発行日:1968年8月1日
・額面:8分
・切手デザイン:1種類
・発行枚数:5,000万枚
・編号:文11

「人民解放軍建軍41周年切手」の価値と評価

複雑な歴史を秘めた「人民解放軍建軍41周年切手」の価値と魅力

「人民解放軍建軍41周年切手」は、歴史的価値とコレクター価値の両面から、高い評価を得ています。

激動の時代を映す歴史的価値

この切手は、「文化大革命(1966-1976年)」という、中国の激動の時代を象徴する「文革切手」の1つとして、歴史的資料としての価値が高いのが特徴です。

とくに、題字を揮毫した林彪が後に失脚し、謎の死を遂げたという事実は、この切手に特別な意味合いを与えています。また、中国郵電部の幹部たちが林彪の題字を保管していたことで、批判闘争の対象となったというエピソードも、当時の政治状況や権力闘争の激しさを物語る興味深い点です。

発行枚数は5,000万枚と比較的多いものの、コレクターの間では高い人気を誇っています。

その理由は、以下の要因が挙げられます。

文革切手としての希少性
文化大革命期の切手は、政治的な混乱の影響で、発行枚数が少なく、状態の良いものが残っていることは稀です。

林彪の題字
毛沢東の後継者と目されながら失脚した林彪の題字は、歴史的にもコレクター的にも大きな価値があります。

美品が年々減少
発行から50年以上が経過し、未使用の美品は年々減少している状況です。

これらの要因が重なり、「人民解放軍建軍41周年切手」は、コレクターにとって貴重な収集対象となっているのです。

市場価値と買取相場

人民解放軍建軍41周年切手」の市場価値は、保存状態や取引形態によって大きく変動します。

未使用品
未使用品は、使用済みよりも高値で取引されます。

シート
シート状のものは、コレクターの間でとくに人気が高く、高額で取引される傾向です。

消印
初日カバーのように特殊な消印があるものは、プレミアが付く場合があります。

状態の良い「人民解放軍建軍41周年切手」をお持ちの方は、切手買取業者に査定を依頼してみるのもよいでしょう。

買取福ちゃんでは、中国切手をはじめ、日本の貴重な限定切手など、さまざまな切手を買取中です。

切手の査定は無料ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

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まとめ

「人民解放軍建軍41周年切手」の買取は福ちゃんにお任せください

「人民解放軍建軍41周年切手」は、中国人民解放軍の創設41周年を記念して発行された、歴史的にもコレクター的にも非常に価値のある切手です。

この切手の発行日は、1927年8月1日に勃発した「南昌蜂起」を記念する、「八一建軍節(はちいちけんぐんせつ)」です。

南昌蜂起は、中国共産党が初めて独自に指揮した武装蜂起であり、中国人民解放軍誕生の礎となった重要な出来事でもあります。

また、1968年という発行年は、文化大革命の真っ只中にあたります。

毛沢東思想が国家を支配していた当時、中国共産党は人民解放軍を「人民に奉仕する部隊」として、共産主義の理念に基づく国民の支援と保護の象徴と位置付けていました。

そのような時代背景の中、この切手は、人民解放軍の歴史的な役割と価値を称えると共に、毛沢東思想に基づく国民との一体感を強調する目的で発行されました。

文化大革命のような激動の時代において、切手は国家のイデオロギーを広めるための、「強力なプロパガンダツール」として利用されたのです。

人民解放軍建軍41周年切手」も例外ではなく、単なる記念切手としての枠を超え、当時の政治状況や社会主義建設に向けた意気込みを鮮やかに映し出す鏡のような存在といえるでしょう。

この切手は、歴史の証人として、そしてコレクターズアイテムとして、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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