京友禅作家「樽本伊勢蔵」の訪問着や和装小物を数点。

査定士の買取レポート

2020/2/13

出張買取着物京友禅樽本伊勢蔵

京友禅作家「樽本伊勢蔵」の訪問着や和装小物を数点。

大阪府
60歳代
女性

樽本伊勢蔵の京友禅・訪問着、その他

今回は、京友禅作家・樽本伊勢蔵の訪問着ならびにセットの帯、これに加えて和装小物を数点、買取させていただきました。事前にお聞きしていた話では未使用品とのことだったので、保存状態の良しあしをチェックすることに注力しました。

1 ご訪問前の準備
2 訪問・査定
3 今回の買取とまとめ
- 3.1 樽本伊勢蔵の京友禅・訪問着

ご訪問前の準備

その日、バイヤー(査定士)は車を京都市上京区の住宅街に向けて走らせていました。片側には近代的なマンション、反対側には古式ゆかしき和風建築の一戸建てが目立つ葭屋町通の一角に、目指す依頼主のお宅がありました。
時刻は午後4時前。平日の昼下がりとあって人通りは少なく、静かな街角。大通り(堀川通)を疾駆する車の走行音などが、かすかに聞こえてきます。

そんな街でバイヤーを待つ出張買取の依頼主は、60代の奥様。
過去にお友達にプレゼントされた京友禅のお着物を、不要な小物と一緒に処分したいとのご依頼です。

色彩豊かな絵柄の訪問着とお聞きしていたバイヤーは、隅々までしっかりチェックして、絵柄に紛れて瑕疵(汚れ、破れなど)を見落とすことがないようにしなければと、あらためて肝に銘じます。そのうえで、買取手続きを行うために不可欠なタブレットや小型プリンターとともに、必要な道具類(風呂敷、白手袋など)をまとめて車を降ります。

訪問・査定

さて、お約束の時間となったので、バイヤーは依頼主のご自宅へ。風格ある古都ならではの和風建築の一戸建て住宅であり、玄関のチャイムを押すと屋内に響き渡るリンリンという鈴の音もどこか懐かしい感じです。
ややあって依頼主の奥様が出迎えてくださり、玄関からお邪魔します。

ここで、まずは名刺を取り出して自己紹介。

はじめまして。福ちゃんから参りました査定士です。

まあご丁寧に。どうぞ、まずはこちらへ

応接間として使用されていると思われる6畳の和室に通され、さっそくお品物を目にすることになります。たとう紙に包まれた訪問着、帯、さらに竹籠に納められた髪飾りや帯留めなどの和装小物です。

では、さっそく拝見いたします

そう告げたバイヤーの目は、早くもお着物を包むたとう紙の「小窓」に向けられています。紐を解いて広げてみる前に、小窓から覗いた段階である程度、お着物の価値を見定めています。

見たところ、その楚々としたなめらかな輝きはまぎれもなく正絹(100％シルク)。高級感たっぷりの上品な草色がやわらかく映えます。実際にたとう紙の紐を解き、お着物を見ると「良い物である」との認識はより深くなりました。

こちらは見事なお着物です

でしょう。私も絵柄は気に入っているんですけど、一度も着ないまま今になっちゃって

バイヤーが見たところ、まさしく2代目樽本伊勢蔵の京友禅に間違いありません。草色の地に、金箔と銀箔を贅沢に使用して『源氏物語絵巻』から採られた色彩豊かな絵柄がデザインされています。伊勢蔵の署名と落款も見てとれました。また、白手袋をはめた手で隅々までチェックしてみましたが、シミや汚れ、色褪せなどは皆無です。虫食いなども見られません。

続いて、セットの帯をチェック。お着物に合わせた上品な色合いのお品物で、こちらも状態は良好です。さらに、竹籠に納められた帯留めや髪飾りなど和装小物数点を見ます。こちらは玉石混交といった趣です。

引き取れないものもあるんですね？

はい、残念ながら……こちらは綺麗ですが、プラスチック製品なので

はあ、なるほど

こちらの帯留めは本翡翠が素材になっていますし、状態も良いので買取が可能です

このように適度に解説を交えつつ、ひとつひとつ丁寧に見て買取可能な物のみをより分けます。そのうえで、すべて合わせた査定額を算出し、提示させていただきます。

このような金額になりますが、いかがでしょうか。いったんご主人とご相談のうえであらためてお伺いすることも可能ですが

いいえ、大丈夫です。引き取っちゃってください

確認が取れたところで、買取手続きに入ります。奥様の身分証を確認し、契約書を作成して署名をいただき、現金を用意。受け渡しをして完了です。

以上となりますが、この機会にほかに処分したい物などはありませんか？

ご丁寧にありがとうございました。今のところはありません

わかりました。また何かありましたら、ぜひお声がけください。今後ともよろしくお願いいたします

今回の買取とまとめ

樽本伊勢蔵の京友禅・訪問着

今回注目のお品物は、2代目樽本伊勢蔵が手がけた京友禅の訪問着です。見させていただいたところ、確かに「京友禅伝統工芸士樽本伊勢蔵」という署名と落款が確認できました。典雅な雰囲気をまとった正絹のお着物は、気品あふれる格調高い筆致の『源氏物語絵巻』をデザインに取り込み、美しく仕上げられています。
一度も袖を通さなかったとお聞きしていましたが、確かに瑕疵はまったくありませんでした。しっかりとした状態で保管されていたことが伺えるひと品であり、それに見合う価格を付けさせていただきました。

このたびはありがとうございました。

今すぐお品物についてお問合わせる