黒留袖の家紋は実家or嫁ぎ先どっち?ルールはある?
黒留袖の家紋については、さまざまな考えがあります。
実家か嫁ぎ先か、黒留袖の家紋にルールはあるのでしょうか?
今回は、結婚後の黒留袖に入れる家紋をテーマにお話しをしていきます。
黒留袖の基本的な知識にも触れていますので、着物に興味を持ち始めた方もぜひ楽しんでください。
目次
黒留袖とは
黒留袖は、既婚女性が着る最も格の高い第一礼装です。
以下に、黒留袖の特徴を挙げておきます。
● 黒地の着物
● 裾に絵柄
● 五つ紋
● 比翼仕立て
黒留袖は、地色が黒く、裾だけに絵柄が入っています。
紋は、白く染め抜く日向紋(ひなたもん)を5つ入れるのが黒留袖の決まりです。また、衿・袖口・おくみ・裾に白羽二重を縫い付けて、重ね着しているように見せる比翼仕立てになっています。
黒留袖はどのようなときに着る?
黒留袖は、結婚式や披露宴で、新郎新婦の母親・親族・仲人婦人が着用します。
親族でない人がゲストとして招かれた場合は、黒留袖で参加しないのがマナーです。
昨今は節目の祝い事が多様化してきており、黒留袖を着る機会が限られています。昔は、結納式で着たり、お宮参りでは父方祖母が着たりする姿も見られました。
黒留袖の家紋について
ここからは、黒留袖の家紋を入れる場所や数について、詳しく解説していきます。
どれも黒留袖のルールとして、覚えておくとよいでしょう。
家紋を入れる場所
黒留袖には、五つ紋を入れます。
家紋を入れるのは、以下の5か所です。
● 背中に1つ
● 右・左の袖(後ろ側)
● 右・左の胸
家紋は、入れる場所によって呼び名があります。
背中は背紋、袖は袖紋、胸は抱き紋です。
家紋を入れる数
着物に入れる家紋の数にはルールがあり、以下の3種類に分けられます。
● 五つ紋
● 三つ紋
● 一つ紋
黒留袖に入れる家紋は、五つ紋と決まっています。
家紋の数は、多いほど格が上がり、五つ紋が最高格です。また、家紋を入れなければならない着物は、黒留袖を含め3種類あります。
● 黒留袖
● 黒紋付
● 色留袖
黒留袖と同じく、黒紋付も五つ紋に決められています。
色留袖の場合は、五つ紋・三つ紋・一つ紋など、着るシーンによって変わるのが特徴です。なお、三つ紋は背中と両袖の後ろに家紋が入り、一つ紋は背中に入ります。
黒留袖の家紋|結婚後はどうする?
結婚すると、黒留袖に入れる家紋が実家でよいのか、嫁ぎ先にした方がよいのか、頭を悩ます方が多くいらっしゃいます。
実家と嫁ぎ先、それぞれの場合について、さっそく見ていきましょう。
実家の家紋
結婚する前に黒留袖をあつらえた方は、実家の家紋を入れる方が多い傾向です。
実家の家紋が入った黒留袖を、親から引き継ぐこともあるでしょう。そのような場合は、実家の家紋のまま、嫁ぎ先で着用します。
どちらの家紋が正しいのか、とくにルールはありません。
ただし、地域によって風習が異なるため、嫁ぎ先の家紋に入れ替える方もいらっしゃいます。
嫁ぎ先の家紋
結婚してから黒留袖をあつらえる場合は、嫁ぎ先の家紋を入れるのが一般的です。
また、実家の家紋を入れていても、嫁いだ後に親戚の結婚式に参加する際は、嫁ぎ先の家紋に入れ直すこともあります。
女紋とは
女紋とは、女性だけが用いる紋のことです。
主に西日本で見られる風習で、母から娘へ引き継いでいきます。女紋は、藤・梅・蔦・桔梗などの優美な意匠を紋にしているのが特徴です。
また、女紋の風習が残る地方では、嫁ぎ先の家紋に入れ直しせずに、女紋を継承していきます。
家紋の入れ替えについて
基本的に、黒留袖は家紋の入れ替えが可能です。
嫁ぎ先の家紋に入れ替える際は、着物専門のクリーニング店や着物加工店に相談してみましょう。
黒留袖の場合は、部分的に着物をほどいて家紋を染め直します。
貼り紋
貼り紋とは、ワッペンのように家紋の上に貼り付けるタイプの入れ替え方法です。
家紋の入れ替えには、最も格の高い日向紋のように染め抜く方法のほか、家紋を縫い付ける切り付け紋・刺しゅうで入れる縫い紋などがあります。中でも貼り紋は、最も格が低く、黒留袖には不向きです。
急な弔事で貼り紋を施すことはあれど、結婚式のようなフォーマルな場では避けましょう。
黒留袖の家紋まとめ
黒留袖は第一礼装であり、家紋の数や入れる場所などに決まりがあります。
結婚後の家紋においては、実家・嫁ぎ先のどちらにするかのルールはありません。地域の風習や、家族との相談の上、どちらにするか決めるのがよいでしょう。
また、着なくなった黒留袖は、多くの場合、買取が可能です。家紋の付いた古い黒留袖でも、状態によっては思わぬ値段で買い取ってもらえることもあります。
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