アール・ヌーヴォーとは?世界の芸術に影響をもたらした国際的芸術様式について

「アール・ヌーヴォーってどんな芸術?」
「アール・ヌーヴォーの特徴は?」


など、アール・ヌーヴォーについて知りたい方のために、特徴や代表的な芸術家などをご紹介します。

知っておけばより西洋の芸術を楽しめ、日本美術においてもリスペクトの気持ちが深まるでしょう。

アール・ヌーヴォーの特徴

アール・ヌーヴォーの特徴

  • ✔︎ 有機的モチーフ
  • ✔︎ オリエンタリズム
  • ✔︎ ジャポニズム
  • ✔︎ 曲線と非対称性

アール・ヌーヴォーは、19世紀末から20世紀初頭にかけて盛んになった芸術様式です。

日常のすべてを芸術的観点から見るという理念で流行し、絵画や彫刻などの美術作品から、家具やファッションなど、さまざまな部分で取り入れられながら発展していきました。

芸術に近代化の波をもたらし、世界に影響を与えたアール・ヌーヴォーの特徴について、4つの観点からご紹介します。

有機的モチーフ

アール・ヌーヴォーは、動植物や虫、波などの自然や女性といった有機的なものがモチーフとして積極的に取り入れられています。

当時のヨーロッパは、植物や自然科学の著しい発達が見られる時期でした。

都市には、多数の温室や植物園が建築され、自然を芸術として鑑賞する文化の発展が見られました。

そういった自然の芸術性を高める動きは芸術家の関心を集め、大きく刺激したといわれています。

オリエンタリズム

オリエンタリズムとは、異国趣味といった意味があります。

アール・ヌーヴォーは北アフリカ、近東諸国などの異国文化も取り入れられています。

とくに、イスラム美術の複雑で華やかな装飾や、ビザンティン美術の緻密で幻想的な表現は、アール・ヌーヴォーのデザインに新たな風を吹き込みました。

これらのエキゾチックな要素が、アール・ヌーヴォー特有の優美さと融合し、ほかに類を見ない魅力的な芸術を生み出したといえるでしょう。

ジャポニズム

19世紀後半、ヨーロッパで流行した日本的趣向のことをジャポニズムといいます。

当時のヨーロッパにはなかった芸術的表現の数々は、ヨーロッパの芸術家たちのインスピレーションとなり、アール・ヌーヴォーを生み出す起爆剤となりました。

当時の日本美術は桜や梅、菊など日本人の身近な植物を写実的かつシンプルに図案化しており、そういったモチーフの取り入れ方など、ジャポニズムはアール・ヌーヴォーに大いなるものをもたらしたといわれています。

曲線と非対称性・非幾何学的

アール・ヌーヴォーの作品は、「曲線的であり、非対称であり、非幾何学的である」とよく表現されます。

有機的なモチーフを採用していることから、自ずと息づいた曲線や非対称のフォルムが生み出されているのが特徴です。

また、アール・ヌーヴォーの前に盛んだった「ロココ美術」が重視されているという見方もあります。

「ロココ美術」は自由で華やかに表現される様式で、19世紀中頃に富を得はじめた中産階級から支持されていました。

その名残がアール・ヌーヴォーにも現れ、現代的な新しい表現として美しく有機的な曲線が生み出されたと考えられています。

アール・ヌーヴォーが世界に生じたわけ

アール・ヌーヴォーが世界に生じたわけ

アール・ヌーヴォーは、1800年代後半に世界各地で同時多発的に起こりました。

グローバルにアール・ヌーヴォーが発展していったのは、各国で万博が開かれたことが1つの理由となっています。

1851年のロンドン万博をはじめ、次々と大きなスケールで博覧会が開催されたことで、世界の芸術がさまざまな人の目に触れました。

アール・ヌーヴォーは万博ですばやく世界に広がり、多くの分野のさまざまな作家に刺激を与え、作品に影響を及ぼしたといわれています。

1900年に開催されたパリ万博はアール・ヌーヴォーの最盛期ともいわれ、最も華やかで大規模な博覧会となりました。

アール・ヌーヴォーとアール・デコの違い

アール・ヌーヴォーとアール・デコの違い

アール・ヌーヴォー
  • ✔︎ 19世紀末から20世紀初頭
  • ✔︎ 優美で装飾的
  • ✔︎ 曲線・非対称・非幾何学的

アール・デコ
  • ✔︎ 20世紀初頭
  • ✔︎ モダンで機能的
  • ✔︎ 直線・幾何学的

アール・ヌーヴォーに続いて盛んになったのは、「アール・デコ」という、ヨーロッパやアメリカで流行した芸術様式です。

アール・ヌーヴォーとアール・デコ。どちらも日常生活に美を見出すという理念を共有しながらも、その表現方法は驚くほど対照的です。

アール・ヌーヴォーは、自然界の植物や昆虫などをモチーフに、流れるような曲線や非対称なデザインを多用します。まるで、生命力あふれる植物が自由に伸びやかに成長していく姿を表現しているかのようです。

一方、アール・デコは、直線や幾何学模様を基調とし、シンプルで機能的なデザインを追求します。都会的で洗練されたモダンな美を体現しているといえるでしょう。

たとえば、アール・ヌーヴォーの建築や家具は、曲線で構成された装飾や植物モチーフが特徴的です。対して、アール・デコの建築や家具は、直線的でシンプルなフォルムが印象的です。

このように、アール・ヌーヴォーとアール・デコは、同じ美の理念を持ちながらも、まったく異なるデザインアプローチで私たちを魅了します。

どちらのスタイルにも、時代を超えて愛される魅力が詰まっているといえるでしょう。

アール・ヌーヴォーの代表的芸術家

アール・ヌーヴォーの代表的芸術家

  • ✔︎ エミール・ガレ
  • ✔︎ ルイス・カムフォート・ティファニー
  • ✔︎ ルネ・ラリック

アール・ヌーヴォーの代表的な作家として、ガラス工芸家の「エミール・ガレ」と「ルイス・カムフォート・ティファニー」「ルネ・ラリック」の3人をご紹介します。

エミール・ガレ

エミール・ガレは、革新的なガラス工芸を生み出した巨匠です。

植物や生物を主題とした繊細なガラス作品が評価されています。

酸や金属をガラスに混ぜて独自の色彩を作り出すなど、新しい技術を開発することにも熱心でした。

1867年のパリ万博で触れたジャポニズムに深く感銘を受け、自然の姿をそのまま描写するという日本工芸の特徴を取り入れた作品にも力を入れた作家です。

ルイス・カムフォート・ティファニー

ルイス・カムフォート・ティファニーは、アメリカのアール・ヌーヴォーを牽引した第一人者です。

ラグジュアリーブランドTiffany & Co.を創業した、「チャールズ・ルイス・ティファニー」の息子としても知られています。

ステンドグラスやモザイク加工のガラスランプをメインに、美しいガラス工芸品を作り出す芸術家でした。

ガラス工芸に限らず、絵画や家具、ブロンズなど、さまざまな分野で活躍したといわれています。

ルネ・ラリック

ルネ・ラリックは、アール・ヌーヴォー、アール・デコの両時代にわたって活躍しました。

作家としての前半はジュエリー作家として、後半はガラス工芸家として躍進し、アール・ヌーヴォーやアール・デコを代表する作品を多く残しています。

1900年のパリ万博では、連日ブースが大盛況で大勢の人々に作品が高く評価されました。

新たなる芸術を生み出した「アール・ヌーヴォー」

新たなる芸術を生み出した「アール・ヌーヴォー」

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に世界を席巻したアール・ヌーヴォー。

自然界の植物や昆虫などをモチーフに、流れるような曲線や非対称なデザインが特徴的なこの芸術様式は、多くの芸術家にインスピレーションを与え、現代の芸術にもその影響を色濃く残しています。

1851年のロンドン万博を皮切りに開催された数々の博覧会で、アール・ヌーヴォーは世界中に広まり、人々を魅了しました。

その自由で有機的な表現は、「建築」「家具」「宝飾品」「ポスター」など、あらゆる分野で取り入れられ、新たな時代の美を創造したのです。

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