中国古代の至宝!「殷代の青銅器」切手に秘められた歴史と文化をわかりやすく解説

1964年に中国で発行された「殷代の青銅器」切手は、中国古代「殷代(商朝)」の高度な技術と芸術性を現代に伝える、貴重なコレクターズアイテムです。殷代の青銅器は、宗教儀式や日常生活において、権力と富の象徴として用いられていました。

当記事では、「殷代の青銅器」切手の特徴やデザイン、市場価値について余すところなく解説いたします。複雑な形状や文様、高度な鋳造技術など、殷代青銅器が誇る魅力の数々を、切手という小さな芸術品を通じてご堪能ください。

中国の歴史と文化に興味をお持ちの方は、必見の内容です。

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「殷代の青銅器」切手とは

中国古代の至宝!「殷代の青銅器」切手に秘められた歴史と文化をわかりやすく解説

中国古代、殷代(紀元前17世紀~紀元前11世紀)に花開いた青銅器文明。

その最高傑作である「殷代の青銅器」は、技術的にも美術的にも極めて高い水準を誇り、中国の重要な文化遺産として今なお輝きを放っています。

1964年、中国郵政はこの殷代青銅器をテーマに、8種類の特殊切手を発行しました。長い時を超えて現代に蘇る古代文明の粋を、切手という小さなキャンバスに凝縮したのです。

殷代の青銅器は、主に銅と錫の合金で作られ、「工具」「調理器具」「武器」「祭祀用の酒器」「食器」など、多種多様な用途で用いられました。

これらは、当時の貴族階級の権力と富の象徴であり、その精巧な装飾は、古代中国の高度な技術力と豊かな精神性を物語っています。

とくに注目すべきは、大型の青銅器を制作するための「分鋳法」と呼ばれる高度な鋳造技術です。複数のパーツに分けて鋳造し、後で組み立てるこの技法は、殷代の青銅器が持つ複雑な形状や精巧な文様を可能にしました。

また、青銅器の表面を彩る装飾文様も、殷代青銅器の魅力の1つです。神獣をモチーフにした、「饕餮文(とうてつもん)」「夔龍文(きりゅうもん)」。幾何学的な「雷文(らいもん)」など、多様な文様は、当時の人々の宗教観や世界観を反映しており、現代の私たちに古代中国の神秘的な世界を垣間見せてくれます。

1964年に発行された「殷代の青銅器切手」は、これらの代表的な青銅器8点を精巧に描写し、殷代青銅器の素晴らしさを世界に発信する役割を担いました。

この切手を通して、古代中国の技術力と芸術性の高さを再発見できるでしょう。

「殷代の青銅器」切手の特徴とデザイン

中国古代の至宝!「殷代の青銅器」切手に秘められた歴史と文化をわかりやすく解説

中国切手「殷代の青銅器」は、殷代を代表する8つの青銅器をモチーフにデザインされています。

その内訳は、祭祀や宴などで使用された7種類の酒器と、食物を盛るための1種類の食器です。それぞれの青銅器は、精巧な装飾や独特の形状をしており、古代中国の美意識や技術の高さを現代に伝えています。

各デザインテーマと額面、発行枚数は以下のとおりです。

✔ 父戊舟爵(額面4分、発行枚数300万枚)
✔ 亜觚(額面4分、発行枚数300万枚)
✔ 父乙觥(額面8分、発行枚数450万枚)
✔ 斝(額面8分、発行枚数450万枚)
✔ 四羊尊(額面10分、発行枚数150万枚)
✔ 戊箙(額面10分、発行枚数150万枚)
✔ 龍虎尊(額面20分、発行枚数100万枚)
✔ 司母戊鼎(額面20分、発行枚数100万枚)

青銅器の名称には、普段あまり目にしない漢字も含まれますが、殷代の文化を正確にお伝えするため、原文のまま表記しています。それぞれの切手の画像と見比べながら、古代中国の息吹をお楽しみください。

「父戊舟爵」4分切手

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この4分切手に描かれているのは、殷代の青銅器「父戊舟爵」です。「父戊」は祭祀における父への呼び名、「」は官職名と考えられています。この貴重な酒器は、現在北京の故宮博物院に所蔵されています。

爵(しゃく)」と呼ばれるこの酒器は、注ぎ口・尾・柱・三本の足を持つ独特の形状で、酒を温めたり保存したりするのに用いられました。精巧な装飾と機能美が融合した、古代中国の技術力の高さを示す逸品です。

「亜觚」4分切手

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この4分切手には、殷代の青銅器「亜觚(あこ)」が描かれています。宴の席で酒を注ぐために用いられた、古代中国ならではの優美な酒器です。

ラッパ型の口、細い腰、すらりと伸びる円形の足が特徴で、その美しいフォルムは見る者を魅了します。大きな口の下にはバナナの葉の紋様が施され、胴部と足には「獣面紋(じゅうめんもん)」が刻まれています。

「父乙觥」8分切手

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この8分切手のデザインには、殷代の青銅器「矣父乙觥(いふつこう)」がデザインされています。「父乙」は祭祀における父への呼び名を示し、神秘的な文字「」は、この器の独特な形状から生まれたものです。

觥(こう)」と呼ばれるこの酒器は、獣の頭をかたどった蓋と、鳥の紋様が施された胴体を持つ、ほかに類を見ない造形が特徴です。左右には鳳凰の紋様、その前には小さな蛇が描かれ、多様な動物たちが一体となり、神秘的な世界観を創り出しています。

この精巧な酒器は、芸術性と実用性を兼ね備えた、古代中国の技術力の結晶といえるでしょう。現在、上海博物館に収蔵されており、古人が小さなお玉で酒を酌み交わした様子を今に伝えています。

「斝」8分切手

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この8分切手に描かれているのは、殷代の青銅器「斝(か)」です。1957年に安徽省で出土したこの貴重な酒器は、現在中国国家博物館に収蔵されています。

平底に、丸い口・1つの取っ手・2本の柱・3本の足を持つ独特の形状で、胴体には乳釘紋と雷紋が施されているのが特徴です。この「」は、酒を温めるだけでなく、祭祀の際に神を招き降ろすための神聖な儀式にも用いられたと考えられています。

古代中国の人々の信仰と深く結びついた、歴史的価値の高い青銅器です。

「四羊尊」10分切手

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この10分切手には、殷代の青銅器「四羊尊(しようそん)」がデザインされています。湖南省で出土したこの酒器は、四隅に力強く立つ羊の姿が特徴です。羊の頭が器の外に突き出ていることから「四羊尊」と名付けられました。

酒を温めたり保存したりするための器として用いられたと考えられており、その荘厳な姿は、古代中国の祭祀における重要な役割を物語っています。四匹の羊が守護するように配置されたデザインは、豊穣や繁栄への願いが込められたものかもしれません。

「戊箙」10分切手

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この10分切手には、殷代の青銅器「戊箙卣(ぼかんゆう)」がデザインされています。楕円形の口・深い胴体・円形の足・そして、蓋と取っ手を持つ、荘重で雄大な酒器です。

卣(ゆう)」は取っ手付きの酒器を指し、とくに黒黍と香草で造られた「秬鬯(きょちょう)」という特別な酒を入れるために用いられました。蓋の内側には、この酒器の持ち主である一族の紋章「戊箙」の文字が刻まれており、その文字が名前の由来(戊箙卣)とされています。

深い陰影を持つ美しい紋様と堂々たるフォルムは、殷代の青銅器の中でも傑出した芸術性を誇ります。現在、上海博物館に収蔵されているこの「戊箙卣」は、古代中国の高度な技術と洗練された美意識を現代に伝える貴重な文化遺産です。

「龍虎尊」20分切手

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この20分切手に描かれているのは、殷代の青銅器「龍虎尊(りゅうこそん)」です。1957年に安徽省で出土したこの酒器は、現在中国国家博物館に収蔵されています。

太鼓腹で大きな口、そして高く伸びる円形の足が特徴的なこの器は、肩口に3匹の龍が絡み合い、腹部には2頭の虎が向かい合う姿が力強く刻まれています。龍と虎が今にも飛び出してきそうな躍動感あふれるデザインから、「龍虎尊」と名付けられました。

古代中国の人々の力強さと勇猛さを象徴する龍と虎。この2つの神獣が一体となった「龍虎尊」は、見る者に圧倒的な迫力と神秘的な魅力を感じさせます。

「司母戊鼎」20分切手

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この20分切手には、中国の国宝として名高い殷代の青銅器「后母戊鼎(こうぼぼてい)」がデザインされています。高さ約133cm、重量約875kgという巨大なこの鼎は、かつて「司母戊鼎(しぼぼてい)」と呼ばれていましたが、近年に正式名称が変更されました。

后母戊鼎」とは、祭祀において母を指す言葉であり、この鼎は殷代の王が母を祀るために作られたと考えられています。「鼎(てい)」は古代の食器であり、肉などを煮炊きしたり、盛ったりするために用いられました。殷周時代には、戦争の勝利や豊作祈願など、国家的な重要行事の際に鼎を用いた祭祀が行われていました。

鼎は権威と国家権力の象徴とされ、「中原に鼎を問う」「鼎の軽重を問う」といった言葉が現代にも残っています。この「后母戊鼎」は、古代中国の社会や文化を理解する上で欠かせない、歴史的価値の高い貴重な文化財です。

▼中国切手「殷代の青銅器」の詳細
・発行日:1964年8月25日
・額面:4分~20分(※100分=1元)
・切手デザイン:全8種類
・発行枚数:100万枚~450万枚

「殷代の青銅器」切手の市場価値は?高く売れる?

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殷代の青銅器切手」は、その芸術性や歴史的価値から、切手収集家にとって魅力的なアイテムであり、比較的高値で取引されています。とくに、全8種類が揃った完全セットは、保存状態が良ければ数千円から数万円で取引されることも珍しくありません。

初日カバー(FDC)切手であれば、さらに高値が期待できます。

ただし、中国切手市場全体で見ると、文化大革命期に発行された切手の方が高額で取引される傾向です。しかしながら、「殷代の青銅器切手」の価値は、決して低いものではないといえます。

切手の価値は、保存状態や市場の需要によって変動します。そのため、売却を検討される際は、中国切手に精通した専門業者に査定を依頼することが重要です。専門知識を持つ業者であれば、市場の最新動向を踏まえた適切な査定額を提示してくれるでしょう。

福ちゃんの切手買取では、「殷代の青銅器切手」をはじめ、中国切手や記念切手の買取を積極的に行っています。

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まとめ

中国古代の至宝!「殷代の青銅器」切手に秘められた歴史と文化をわかりやすく解説

20分切手の図案である「司母戊鼎」には、日中戦争という激動の時代を生き抜いたドラマティックなエピソードが残されています。

1939年、河南省安陽県で発見されたある巨大な青銅器は、日本軍の略奪や破壊から守るため、地元の人々によって再び地中に埋められました。そして、戦争終結後の1946年に掘り起こされ、新中国へと引き継がれたのです。

殷代は、中国青銅器文明の黄金期であり、高度な技術と芸術性を兼ね備えた青銅器が数多く生み出されました。青銅器に刻まれた銘文は、殷代の歴史や社会制度を解明する上で、貴重な資料となっています。

「殷代の青銅器切手」は、このような殷代青銅器の価値を広く伝えるために、文化大革命前夜という、伝統文化が見直され再評価されていた時代に発行されました。中国が誇るべき文化遺産を国内外に示すという、当時の文化政策の一環を担っていたのです。

このように、「殷代の青銅器切手」は、中国の歴史と文化を象徴する重要なコレクションアイテムです。

その美術的価値だけでなく、歴史的背景や逸話も相まって、現代においても中国文明の偉大さを伝えるシンボルとして、多くの人々を魅了し続けています。

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