エレキギターにあるトーン・ボリュームの役割とは?仕組みや使い方も
エレキギターは、20世紀から21世紀の現在にいたるまで、多くの音楽ファンやミュージシャンから愛される楽器です。エレキギターには多彩な魅力があり、表現の幅広さも大きな魅力の1つでしょう。
クリーンなサウンドから歪んだサウンド、さらにはエフェクターやアンプを使用して、さまざまなテクスチャを持つ音が生み出せます。
とくに、メタルやロックなどの音楽ジャンルでは、エレキギターテクニックも魅力です。
そこで今回は、テクニック向上にも欠かせないパーツ、エレキギターのトーン・ボリュームの役割や仕組みについて解説いたします。
目次
エレキギターにあるトーン・ボリュームの役割とは?
エレキギターのコントロールパネルは、ギタリストが演奏中に音質や音量を微調整するためのパーツです。
主にコントロールパネルには、いくつかのコントロールノブが付いており、それぞれのノブに異なる役割があります。
一般的なコントロールノブとしては、「トーンノブ」と「ボリュームノブ」が挙げられます。
トーンノブは、ギターの音色を変化させるパーツです。トーンノブを操作して高音域の成分をカットすると、より暖かみのあるサウンドや柔らかなサウンドへと変化させられます。
一方、ボリュームノブは、名前のとおりギターから出る音量を調整するためのパーツです。
トーンノブやボリュームノブを適切に操作することで、ギタリストはさまざまな楽曲やシチュエーションに合わせて、自分の求める最適なサウンドを作り出します。
トーンの役割
エレキギターのトーンノブは、ギターの音色を調整する重要なパーツです。
具体的に、トーンには高周波の割合を調整する役割があり、トーンノブを回すことでギターの音色が変わります。
ギターのピックアップから拾われる音には、低音から高音までのさまざまな周波数が含まれます。
トーンを最大にした状態では、高音が直接アンプやエフェクターに送られることで、鮮明なサウンドとなるのです。
一方、トーンを絞ると高周波の成分量が減少し、より暖かみのあるこもったサウンドになります。
エレキギターにとってトーンノブは、音色のニュアンスや、表現力を豊かにするために欠かせないパーツです。
ボリュームの役割
ボリュームノブは、エレキギターの出力音量を調整するパーツです。ギターのピックアップが拾う音量、すなわち電気信号の強さを変える役割があります。
具体的には、ボリュームノブを操作すると、ギターからの出力音量を調節できる仕組みです。
ボリュームを最大にした状態では、ピックアップでキャッチした音の信号が直接アンプやエフェクターに送られ、もっとも大きな音量でサウンドが再生されます。
反対に、ボリュームを絞ると音量は減少し、ゼロに近づくほど音が出なくなります。
このようにしてギタリストは、ボリュームノブで表現を豊かにしたり、特定部分に強弱をつけたりして演奏しているのです。
エレキギターのトーン・ボリュームとピックアップの関係
ギターのピックアップは、弦の振動を電気信号に変換する役割を持つパーツです。
ピックアップはボディに埋め込まれており、弦の振動によって生じる磁場変動を、ピックアップ内の磁石とコイルが電気信号として捉えます。電気信号はアンプに送られ、音として増幅される仕組みです。
ピックアップ信号は、ギターのコントロールノブ、すなわちトーンやボリュームを通ってアンプやエフェクターに送られ、最終的な音の出力を形成します。
トーン・ボリュームとピックアップの関係でわかるように、ピックアップはエレキギターにとって必要不可欠なパーツです。音に直接影響するパーツのため、不具合などを感じたら交換を検討しましょう。
また、ピックアップにはいくつか種類があり、交換するだけで自分好みの音色を追求できます。
もし、ピックアップの交換をお考えでしたら、下記の記事をご参考にしてください。
エレキギターのトーン・ボリュームの構造と仕組み
コントロールノブの背後には、「ポット」と呼ばれる可変抵抗が隠れています。
可変抵抗は、可動するつまみなどを動かすことで、用途別に抵抗値を変化させられる電子部品です。
ボリュームポットは、ピックアップからの電気信号がポットを通る際、ノブの位置に応じて信号が強弱します。ノブを最大に回すと、信号はほとんど変わらずそのままアンプへ送られます。
反対に、ノブを絞りポットの抵抗値が増すことで、信号も弱まり結果として小音になるのです。
また、トーンポットは、主に高周波の電気信号のみを減少させる特性があり、コンデンサと組み合わせて使用されます。
トーンノブを回すと、コンデンサを経由する電気信号の量が変化し、高周波成分の量が変わる仕組みです。
ノブを上げると、高周波がそのまま通過しクリアなサウンドに。一方、ノブを絞ると高周波成分が減少し、より暖かみのあるサウンドとなります。
【種類別】エレキギターにあるトーン・ボリュームの違い
ギターの種類によって、付いているノブにも違いがあります。
ここからは、エレキギターに付いているトーン・ボリュームの違いとして、ストラトキャスターとレスポールを取り上げてご紹介します。
【種類1】ストラトキャスター
「ストラトキャスター」は、Fender(フェンダー)社によって1954年に発売されたエレキギターのモデルです。通称「ストラト」とも呼ばれています。
ストラトキャスターは、基本的にノブが3つです。
●上から1つ目のノブ:マスターボリューム
●上から2つ目のノブ:フロントトーン
●上から3つ目のノブ:センタートーン
ストラトキャスターのほとんどは、リアトーンが付いていないモデルです。
しかし、最近では上から3つ目の、センタートーンと共用でリアトーンも使える配線を施したモデルも増えました。
【種類2】レスポール
「レスポール」は、Gibson(ギブソン)社が1952年に発売したエレキギターのモデルです。
レスポールは、当時Gibson社とのエンドース契約を持っていたギタリスト、「Les Paul(レスポール)」の名前が由来です。
レスポールは、4つのノブが付いています。
●右上のノブ:リアボリューム
●右下のノブ:リアトーン
●左上のノブ:フロントボリューム
●左下のノブ:フロントトーン
レスポールは、フロントとリアの操作部分が独立しています。
そのため、どちらかのボリュームをゼロにしておくことで、「スイッチング奏法(音のONとOFFを繰り返し、断続的に鳴らす演奏方法)」が可能です。
たとえば、ピックアップセレクターをリアにしている際は、フロントのつまみを調整しても出音に影響はありません。
エレキギターのトーン・ボリュームの使い方
コントロールノブは、時計回りに回すと値が増加し、反時計回りに回すと値は減少する作りが一般的です。
そして、上記でもご説明したとおり、トーン・ボリュームを調整すると音量や音色が変化します。
エフェクターなどを用いたサウンドとコントロールノブを組み合わせることで、ギターの音量と音色に余裕を持たせられるのです。
ギター用エフェクターのサウンドには、歪みがない「クリーン・トーン」と、歪みを効かせた「ドライブ・サウンド」に大きく分けられます。
ここからは、コントロールノブの使い方による音の変化を、クリーン・トーンとドライブ・サウンドに分けて解説いたします。
クリーン・トーンの場合 |
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クリーン・トーンは、ほとんどがボリュームノブを絞るとそのままの音色で音量が落ちていきます。ドライブ・サウンドの使用が少ないジャズギタリストなどは、ボリュームノブだけで十分演奏が可能です。 |
ドライブ・サウンドの場合 |
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ドライブ・サウンドは、ボリュームノブを絞ることで歪みの度合いが少しずつ減少します。その後、クリーン・トーンに変化し、次第に音量が落ちていきます。 |
これらをうまく使いこなせれば、クリーンな音から歪んだ音までボリュームノブ1つで作れるのです。
たとえば、ノブが4つ付いているレスポールタイプで、フロントボリュームを絞りトーンを上げます。反対に、リアボリュームを上げてトーンを絞った状態に設定します。
すると、透明感のあるクリーンな音とソロ演奏にも使用できるリードサウンドを、ピックアップセレクター1つで切り替えが可能なのです。
まとめ
エレキギターにあるトーン・ボリュームには、それぞれ音量や音色を変える役割があります。
ノイズカットやスイッチング奏法など、演奏中のさまざまなタイミングで使用できるパーツです。
また、ストラトキャスターとレスポールでは、トーン・ボリュームの個数や配置に違いがあるため、購入時は実際に触って確認してみるとよいでしょう。
コントロールノブをうまく活用することで、同じエレキギターを駆使して多種多様なサウンドや雰囲気が引き出せます。
演奏のシチュエーションや楽曲のニュアンスに応じて、トーン・ボリュームの調整をうまく行い、より表現豊かな演奏を目指しましょう。
さらに、下記の記事ではFender社とGibson社のほか、「エレキギターの主要メーカー」をご紹介しております。
エレキギターの選び方についても記述しておりますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。