備前焼の人間国宝「金重陶陽」について|買取相場や花入などの価値を紹介
「金重陶陽は買い取ってもらえる?」
「金重陶陽の作品はどれくらいいの価値がある?」
など、金重陶陽が手がけた作品の買取について知りたい方のために情報をまとめました。
陶芸家としての略歴と作品の価値などを解説します。
ぜひ参考にしてください。
目次
人間国宝「金重陶陽」とは?
金重陶陽は、「備前焼中興の祖」と呼ばれる備前焼の巨匠です。
備前焼には、「備前六姓」と呼ばれる窯を共同で運営する6つの名家があり、江戸時代初期から継承されています。
そのなかの1つである金重家にて、勇という名前で1896年に誕生しました。
そして、陶芸家として数々の功績を残すことになります。
金重陶陽の古備前復元
陶芸界に革新をもたらしたことで有名な金重陶陽は、19歳のときに家督を継ぎました。当時は有田や瀬戸などが盛んで、かつて栄華を誇った備前焼は、その輝きを失いつつあったのです。
金重陶陽は、まず桃山時代の古備前を徹底的に研究することに着手しました。数奇者や入札会を訪ね、古備前を鑑賞し、その技法や美しさに深く感銘を受けます。そして、失われた伝統を現代に蘇らせるという強い決意を固めるのです。
その際に土の重要性に気づき、金重陶陽は34歳のとき、釉薬を使わずに古備前と同じ土味を再現することに成功しました。
備前焼復興への道を模索する過程で、陶陽は「土こそが備前焼にとって最重要である」と深く理解します。そして、その土へのこだわりは尋常ではありませんでした。田んぼからとれる土が良いとわかると朝夕に採取し、見つけた土は年単位で寝かせるなど、徹底的な土の研究に没頭しました。
それほど土にこだわる金重陶陽は、「良い土は食べてみておいしい」という言葉を残しています。
また、彼は土だけでなく、窯にもこだわりを持っていました。木炭を用いて「サンギリ」と呼ばれる窯変を出すなど、さまざまな工夫を凝らしました。
こうした土と窯への深い探求心と、備前焼への凄まじいまでの情熱によって、金重陶陽はついに古備前の再現に成功したのです。
彼の作品は、桃山時代の古備前に匹敵する土味と風合いを持ち、現代陶芸界において高く評価されています。
職人から作家へ
40代、金重陶陽は古備前を用いた茶陶へと挑戦します。
自身で茶道を習い始めるなど、茶道具に求められる美を追求しました。
そして、古備前の土味を生かし、堂々とした茶道具を作り上げます。
それをきっかけとし、備前焼としては数百年ぶりに三千家との交流再開、銀座資生堂や大阪阪急百貨店で個展を開催するなど、多くの茶人から愛される道具を次々に作り上げていきました。
そのころには「北大路魯山人」が運営する星岡窯の築窯を手伝い、備前焼の焼き方を教えるなどの親交があり、魯山人を通して備前焼の良さがさらに広まっていきました。
後進の育成
金重陶陽の多大な功績の1つは、後進の育成です。
人間国宝である藤原啓をはじめ、弟の金重素山、息子である金重道明、金重晃介など、多くの才能ある陶芸家を育て上げました。
金重陶陽は、「土に素直に、火に素直に、火に逆らわず、窯焚のときは窯に仕える気持ちだ」という言葉を後世に残しました。
この言葉には、入念な土づくりから古備前を再現するための窯の工夫、1,200度を超える高温で一週間以上も焼き続ける備前焼のすべてが凝縮されています。
金重陶陽にとって、土や火は単なる素材や道具ではなかったのです。
また、彼が遺した言葉は、単なる陶芸の技術論にとどまらず、人生哲学に通じるものがあります。私たちに自然への畏敬の念と、謙虚な心を持って物事に取り組むことの大切さを教えてくれます。
岡山県初の人間国宝
金重陶陽は、1956年に岡山県初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
この出来事は、彼の卓越した技術と、備前焼復興への貢献が認められた証であり、金重陶陽の名が全国に轟くきっかけにもなりました。
日本を代表する陶磁器研究家である小山富士夫は、そのような金重陶陽のことを「備前中興の祖」と称賛したほどです。
金重陶陽は、古備前技法の再現に成功し、衰退期にあった備前焼を現代陶芸として確立させた功労者として、その名を残しています。
晩年は後進の育成にも力を注ぎ、1967年、金重陶陽は71歳でその生涯を閉じました。
金重陶陽が手がける陶芸品の買取相場
金重陶陽は、湯呑み、大皿、花入れなど、さまざまな形態の陶芸作品を生み出しました。
彼の作品はすべて一点ものであり、大きさや状態、付属品などの有無によって買取価格は多く変動します。
陶芸品は上述したように価格が変わるため、一概に相場の提示ができないのです。
数万円から数十万円の作品が一般的ですが、状態が良好で付属品が揃っている場合は、100万円を超える高値で取引されることもあります。
金重陶陽は著名な陶芸家であり、高い評価を受けている作品が多数あります。
そのため、状態が良好な作品であれば、高額査定が期待できます。
しかし、状態が悪い場合は、査定額が低くなる可能性もあります。
花入を含む金重陶陽の注目作品
- ✔︎ 備前花入 金重陶陽 道明識
- ✔︎ 陶陽作 備前耳付花入 山水ノ文アリ
- ✔︎ 備前 花入 陶陽造
- ✔︎ 陶陽作 ヒダスキ 徳利
金重陶陽の作品で注目されているものを花入を中心に紹介します。
備前花入 金重陶陽 道明識
現代的なデザインと古備前の土味があわさった逸品です。
金重陶陽の作品ですが、識箱は長男の道明によって箱書きされています。
陶陽作 備前耳付花入 山水ノ文アリ
こちらは表と裏に「山」と「水」の字がある作品です。
あまり見られない希少な作品であるため、コレクター等から注目されています。
備前 花入 陶陽造
美しい胡麻の模様が目を惹く作品です。
中央に引っかいたような線があり、茶人と交流した陶陽らしい作品に仕上げています。
陶陽作 ヒダスキ 徳利
緋襷(ひだすき)は藁などを敷いて意図的に模様を作り出す技法です。
本人のサインではなく息子の道明氏や晃介氏の識箱ではやや評価が下がる傾向にあります。
金重陶陽の作品買取なら福ちゃんにお任せください
金重陶陽は、岡山県出身の陶芸家で、備前焼の人間国宝として知られています。彼の最大の功績は、桃山時代の古備前と呼ばれる技法を現代に蘇らせたことです。
当時、衰退期を迎えていた備前焼を復興するため、金重陶陽は古備前の技法を研究し、見事に再現することに成功しました。
金重陶陽の努力によって、備前焼は現代陶芸として確立され、今なお多くの人々を魅了し続けています。また、金重陶陽は後進の育成にも力を注ぎ、多くの才能ある陶芸家を育て上げました。
彼の教えを受けた陶芸家たちは、それぞれ独自の作風を確立し、現代の備前焼を支える重要な存在となっています。
金重陶陽が陶芸界に残した功績は計り知れません。彼は、備前焼を現代に蘇らせ、後進の育成に尽力した、まさに備前焼の巨匠といえるでしょう。
金重陶陽は、現在も高い人気を誇る陶芸家であり、彼の作品は高額買取を期待できる可能性があります。しかし、作品の状態や付属品、市場の動向などによって、買取価格は大きく変動します。
そのため、正確な査定額を知るためには専門家による査定が必要です。
福ちゃんでは、金重陶陽の作品をはじめ、人気作家の作品を数多く買取した実績があります。正確な価値を見極めるために、陶芸に関する深い知識を持つプロの査定士が対応いたします。
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