【中国切手】「船シリーズ」記念切手の特徴と詳細、買取市場について解説
中国切手「船シリーズ」とは
中国切手の「船シリーズ」切手は1972年に中国で発行された記念切手です。切手には特徴的な4種類の船が描かれています。
中国の海運業と船舶建造の歴史は、古代から現代に至るまで、一貫して世界の中心的な役割を果たしてきました。
中国の船舶建造の技術は古代から非常に進んでおり、とくに6世紀から16世紀にかけての「大航海時代」には、中国の船舶技術は世界をリードしていました。その象徴ともいえるのが「鄭和」の航海でしょう。
15世紀初頭、明の永楽帝によって数回にわたり遠征が行われ、彼の指揮する船団は東南アジアからアフリカ東部までを航海しました。これらの船団には大小さまざまな船が含まれており、一部の船は長さが100メートルを超える巨大なものもあったといいます。
しかし、19世紀に入ると西洋の勢力が東アジアに広がるにつれて、中国の海運業は大きな変化を迎えます。清朝の衰退とともに、海上での影響力も低下し、西洋の商船と軍艦が中国沿岸を往来するようになったのです。
そして、20世紀後半には中国の海運業は急速に発展しています。中華人民共和国は国際貿易の成長を支えるために大規模な港湾開発を行い、主に外資を引き入れる形で海運業の拡大を進めました。
現代の中国は、世界最大の貿易国であり、船舶登録国であるとともに船舶建造国でもあります。中国の造船所は、コンテナ船からタンカー、バルクキャリアー、さらにはクルーズ船まで、あらゆる種類の商船を建造しています。
同切手が発行された時期である1971年には、中国が国連の中華人民共和国代表権を取得し、世界の主要な国際組織に加盟することで、国際社会との交流が逐次拡大しました。この結果、中国と他国との間の貿易、とくに海運による貿易が増え始めた時期でもあります。
この翌年である1972年に発行された「船シリーズ切手」も、これらの背景を踏まえ世界に羽ばたく意欲を示すものでもあったのでしょう。
「船シリーズ」記念切手の特徴やデザイン
「船シリーズ切手」は4種類のデザインからなる中国切手で、以下の船がそれぞれデザインされています。
・風雷号
・大慶30号
・長征号
・険峰号
「風雷号」は大型外航貨物船で、東から昇る日の出と朝焼けの空を背景として船体が力強く描かれたデザインです。「大慶30号」は大型石油タンカー船で、紺碧の海を突き進む様子が描かれています。
「長征号」は中国初となる大型外航客船で、青い空と緑がかった海がクリーム色に近い白色の船体を引き立てています。「険峰号」は大型自走式の浚渫船(しゅんせつせん)で、浚渫作業する姿を表現するかのような色合いの海を背景にしたデザインです。
切手市場において、この4種の中では「風雷号」「険峰号」に若干人気が寄っている傾向にあります。ただし、これらも時期やタイミングによって変動するため、参考程度に留めておきましょう。
▼「船シリーズ」記念切手の詳細
・発行日:1972年7月10日
・額面:8分
・シリーズ:全4種
・発行枚数:各800万枚
「船シリーズ」記念切手の市場価値や高く売るコツ
「船シリーズ」記念切手は、切手の状態が良ければ高値で取引されることもある中国切手です。ここからは、買取に出す際に少しでも高く売るためのコツやポイントを紹介します。
良い状態を保てるよう保管しておく
切手の価値は希少性やデザイン性も大事な要素ですが、それ以上に「切手の状態」は価値に大きく影響を及ぼします。
切手買取では破れや汚れのないきれいな状態が好まれるため、状態の良いもののほうが買取額も高めです。また、ヒンジ跡の有無や色あせも査定時に確認される項目の一つですので、可能な限り良い状態で保管しておきましょう。
まとめ売りする
「切手のまとめ売り」は高く売るために有効な手段です。切手の枚数が多いと単純に買取額が増えるため、査定に出す際にはまとめて出すのがオススメです。
また、大量の切手や切手アルバムの中にプレミア切手が混ざっていて、思わぬ買取価格になったと驚かれるケースもよくあります。切手の枚数が多いときは、プロに任せるのもひとつの手です。
福ちゃん切手買取では価値のある中国切手の買取はもちろんのこと、大量の切手買取でも大歓迎です。切手の枚数が多すぎて仕分けができない場合でも、お気軽に弊社オペレーターにご相談ください。
まとめ
「船シリーズ記念切手」はシリーズ4種の中国切手ですが、実は当初の予定では他のデザイン案も持ち込まれていたとされる逸話があります。
当初は5種類のデザインとして、今回のデザイン採用となった「風雷号、大慶30号、長征号」の他に、「造船家」が描かれたものと石炭船である「安源号」が描かれたデザインもありました。
しかし、最終的には「造船家、安源号」が外され、新しく「険峰号」が加わり、現在の4種がデザインされた構成になりました。
「造船家」と「安源号」のデザインは切手になることはなかったものの、ポスターや封筒への印刷として利用されています。もし、すべてのデザインが切手で採用されていれば、全6種類の切手になっていたかもしれません。
このように、切手買取市場においても高値で取引される機会の多い中国切手ですが、その時代背景とともに切手発行の経緯などを知ると、よりいっそう楽しめるでしょう。
また、コレクションを手放したくなったときは「切手を買取に出す」という選択肢もあります。思っていた以上の金額になるプレミア切手も存在しますので、次の休日に昔の切手がどこかに眠っていないかどうか、押し入れを探してみるのも良いのではないでしょうか。