ギターのピックアップ交換に関する基礎知識・交換方法

ピックアップはエレキギターの弦の振動を感知し、電気信号に変える重要な部分です。音に直接影響する部分なので、プロのミュージシャンを含め、ピックアップにこだわる方は少なくありません。また、ピックアップの不具合により、交換を検討している方もいるでしょう。

この記事では、ピックアップを交換するメリット・デメリットに加え、交換の流れや自分で行う際のポイントなどを詳しく解説します。また、プロに任せたほうがよい理由や、交換の前に試したい高さ調整についても触れるため、ぜひ参考にしてください。

1. ピックアップ交換のメリット・デメリット

ピックアップ交換のメリット・デメリット

ギター用ピックアップを交換するメリットは、理想の音色をどこまでも追求できることです。弦の振動を伝える役割を持つピックアップの交換は、ギターの音色に大きく影響します。もっと低音にこだわりたい、明るいニュアンスのトーンにしたいなど、奏でたい音色のイメージに合わせて選択が可能です。

また、価格が安いギターのピックアップを高価なものに変えることで、音色がグレードアップする場合もあります。販売価格や種類も豊富にそろっているため、それぞれの特徴を踏まえて選択すれば、満足のいく音色を追求できます。

しかし、ギター用ピックアップの交換にはデメリットもあります。新しいピックアップと手元のギターの相性が良いとは限りません。ピックアップはギターに取り付けて初めてその音色を確認できます。せっかく選んだピックアップが、高音と低音のバランスを崩してしまうことは少なくありません。高価な商品を購入しても、弾いてみるとイメージしていた音色と違うといったケースも考慮しなければなりません。

ギターは、ピックアップ以外にもアンプやギター材質など、さまざまな部品が影響し、バランスを取り合って音色を奏でています。エレキギターピックアップは、あくまでも理想の音色に近づくためのパーツの1つと言えるでしょう。

2. ピックアップ交換はプロによる作業が推奨される

ピックアップ交換はプロによる作業が推奨される

ギター用ピックアップの交換には、商品の選び方や注意点など、細かな知識が必要であるため、基礎知識がない場合は、熟練のプロによる作業をおすすめします。

ピックアップの交換は、ネックやナット周りなどの調整と異なり、ギターリペアの中では比較的シンプルな作業です。修理に慣れた専門のギタリストにとっては、特に難しい作業ではありません。

しかし、初心者の場合は、取り付けを誤ると楽器に不具合が生じることも考慮しておきましょう。演奏中に断線が起きたり、ノイズが発生したりする場合もあります。ピックアップメーカーによる違いから、ピックアップのサイズがギターと合わず、調整が必要になる場合があることにも注意が必要です。

3. ピックアップ交換の基本的な流れ

ピックアップ交換の基本的な流れ

交換作業の流れはピックアップの種類によって異なります。多くの場合、まず弦とボリュームのノブを取り外します。次に、ハンダごてを使って配線のハンダを溶かしながら、ボリュームやトーンを調整するポットからピックアップを外します。

ギター本体から、ピックアップを取り付けているエスカッションを外すと、ピックアップを簡単に抜き取ることが可能です。ポット裏のハンダが残りやすいため、すべて溶かしながら作業を進めるのがよいでしょう。

ピックアップを外した後は、交換用ピックアップのコードを配線の穴に通します。ピックアップを本体に合わせて、もとの配線があった位置に1か所ずつハンダで固定します。

4. ピックアップ交換を自分で行う場合のポイント

ピックアップ交換を自分で行う場合のポイント

エレキギターには、通常2~3個のピックアップがついています。本家ギブソンに代表されるレスポールタイプのピックアップは、ブリッジに近いリアピックアップとネックに近いフロントピックアップが交換可能です。

ピックアップ交換作業は、ハンダごてを使った作業が続きます。細かい作業が苦手という場合には、ハンダ付けが最小限で済むソケットタイプのピックアップを選ぶとよいでしょう。ソケットタイプのピックアップは、本体とポット・スイッチがセットになっているため、ボディに取り付けて結線したら、弦アースをハンダ付けすれば作業終了です。ギター初心者でも手軽に交換できます。

自分でピックアップを交換する方は、まずは以下で紹介する基本を押さえましょう。

ピックアップの種類について把握する

ピックアップは、ギターの種類によって異なり、主に次の3種があります。

シングルコイル
一列のポールピースにコイルを巻いた形状で、出音のバランスが良く、高音域がきれいに出ますが、ノイズを拾いやすいという欠点があります。

ハムバッカーピックアップ
シングルコイルにはノイズが出やすいという弱点があり、その弱点を克服するモデルとして登場したのが、ハムバッカーピックアップです。逆巻きのコイルを2つ合わせることで、ハムノイズを打ち消しています。出力が高く、中音域に特徴のある音を奏でます。ハムバッカーピックアップは、取り付けるコイル位置によってフロントとリアに分かれます。

アクティブピックアップ
ノイズを軽減するためにコイルの巻きを少なくしたピックアップです。コイルを巻く代わりにプリアンプを搭載しているため、出力も安定しています。

既存のピックアップと交換するピックアップがどのタイプに該当するかを確認しておきましょう。

マグネットの種類について把握する

ギターのピックアップには、大きく分けて2種類のマグネットが使用されています。マグネットは、音量や音圧を左右する部分です。それぞれの特徴を把握し、適切なものを選びましょう。

アルニコ・マグネット
中音域の豊かなサウンドが特徴です。アルニコは、アルミニウム、ニッケル、コバルトの合金の略称で、「アルニコ2」「アルニコ5」など、アルニコの後ろに表記されている数値は、合金の成分比を指しています。

セラミック(フェライト)マグネット
音色にパワーがあり、高音域の美しい伸びが特徴です。1960年代に開発されました。

配線材について確認する

ピックアップの交換には、配線材を確認する必要があります。本体から出ている配線材は、多くの場合、赤、黒、白と色分けされています。メーカーごとに配色が異なるため、取り付ける前に配線を確認しましょう。

ピックアップ購入時の取扱説明書や、各メーカーのWebサイトを確認し、簡単な配線図を書いておくと安心です。配線を誤って取り付けても、ピックアップが壊れることはありませんが、音が出ない・ノイズが出やすくなるなどの不具合が生じます。

逆位相に注意する

初めてピックアップを取り付ける時は、逆位相に気をつけましょう。ピックアップには、ホットとコールドと呼ばれる極性の線が出ています。ホットはピックアップを選ぶ時に使用するセレクターにつなぎ、コールドはポットの後ろにつなげて、アースを落とします。

誤って逆につないでしまうと、ピックアップの位相が揃っていない逆位相となり、小さな音量しか出すことができません。ハンダ付けをやり直す手間を省くため、取り付け前の確認がおすすめです。

5. ピックアップ交換の前に試したい「高さ調整」

ピックアップ交換の前に試したい「高さ調整」

ピックアップを交換する前に、高さを調節してみることもおすすめです。同じピックアップでも、高さ、つまり弦との距離を調節するだけで音量が変わります。

ピックアップから弦までの距離を調整するには、ドライバーのほかに定規があると便利です。エレキギターのピックアップの高さは、1弦は1.5~2mm、6弦は2~2.5mmが目安です。調節前のピックアップと弦の距離を測ってメモしておくとよいでしょう。調整中に元に戻したくなった時に役立ちます。

ギターの種類にもよりますが、基本的にはピックアップの両サイドにあるビスを回すと、高さを調整できます。ピックアップを弦に近づけると、音が大きくなり、ピックアップを弦から離すと、音が小さくなる仕組みです。

1弦側と6弦側の最終フレットを押さえ、ポールピースと弦の幅を調節します。例えば、もっとギターの出力がほしい場合は、ピックアップを弦に近づけると、音量が大きくなります。

まとめ

ギターのピックアップを交換すると、音質や音圧を変えることができます。一方で、ピックアップとギター本体の相性によっては、音のバランスが悪くなることもあるため注意が必要です。

また、ピックアップの交換にはある程度の専門知識が必要であるため、初心者の方や自分で交換するのが不安な方は、プロに依頼することがおすすめです。自分で交換する際は、比較的取りつけが簡単な、ソケットタイプのピックアップを選ぶのがおすすめです。

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