トロンボーンの種類|選び方・主要メーカーも紹介!
トロンボーンはオーケストラで中低音を支える金管楽器で、スライド管を動かすことで音が変わります。息を吹き込むスピードを変えると、音の高さを調節することが可能です。トロンボーンはパワフルな曲や、ゆったりとした曲にも合うため、幅広いシーンで活躍します。
当記事では、トロンボーンの種類や選び方、主要メーカーを解説します。トロンボーンにはいくつか種類があるため、自分の演奏したい曲に合ったメーカー・種類を選びましょう。
目次
トロンボーンとは?
トロンボーンとは、オーケストラ、ジャズ、ポップスなど、多くのジャンルに使用される金管楽器の1つです。音楽の土台を支える中低音のパートを担当することが多く、ときには主旋律を任されることもあり活躍の場は多岐にわたります。
トロンボーンには、他の金管楽器のようにピストンが備わっていません。ピストンの代わりに、スライド菅を伸び縮みさせる方法によって音程を変えます。スライドによって細かい音の調整やビブラートをかけられるのも、トロンボーンの特徴です。マウスピースが大きめなので、比較的吹きやすい楽器と言われています。
スライド部には印がついていないため、正しい音程を出すには基礎練習を積み、ポジションを体感で覚える必要があります。
トロンボーンの歴史
トロンボーンの起源は15世紀中頃に遡ります。トロンボーンはトランペットの形を大きくしたもので、「大きなラッパ」という意味です。当時は音色が人の声と近いこともありコーラスの伴奏に使用され、多くの方に親しまれていました。
18世紀に入ると世俗音楽で用いられることが少なくなり、教会をはじめとした宗教的な場で活躍するようになります。18世紀半ばに生まれたモーツァルトやハイドンは宗教曲の中で、トロンボーンをメイン楽器として用いていました。
現代のようにオーケストラで使用されるようになったのは、19世紀になってからと言われています。
トロンボーンの種類・選び方
- ・演奏するジャンル
- ・吹き心地
- ・持ちやすさや重さ
トロンボーンには種類があり、それぞれ特徴が異なります。自分の演奏したい音楽に合わせたトロンボーンを選びましょう。
トロンボーンの選び方のポイントは上記3点です。
ここでは、上記のポイントを踏まえた上で、メジャートロンボーンを4種類紹介します。
テナートロンボーン
トロンボーンの中でシンプルな形をしているのが、テナートロンボーンです。
他の種類と比較すると管が細く、肺活量をそこまで必要としません。また、比較的軽量であることも特徴です。はっきりとした明るい音色は、少人数で演奏することが多いジャズに向いています。
低音に限りがあるため、吹奏楽やオーケストラといった規模での演奏に用いられることはほとんどありません。
テナーバストロンボーン
テナートロンボーンに低音域の拡大装置であるF菅アタッチメントを付属したのが、テナーバストロンボーンです。F菅のおかげで、腕を伸ばすことなく低音が出せます。
テナートロンボーンでは出せない一部の低音が出るため、より厚みのある音色で演奏できます。どのジャンルでも活躍できますが、特にオーケストラで多く使用されているトロンボーンです。
テナートロンボーンよりも少し重いため、購入前に持ちやすさや使いやすさについて確認しておきましょう。
アルトトロンボーン
アルトトロンボーンは、テナートロンボーンよりも高い音域が出るのが特徴です。高音域を出した際に安定感があり、人の声との相性がよいため、宗教音楽や古典派の作品などの合唱曲に使用されます。高音域を演奏するのは少し難しいので、コツを掴むまで練習が必要となるでしょう。
テナートロンボーンよりもサイズが小さめで軽量なため、少ない肺活量で演奏できるのが魅力です。
バストロンボーン
バストロンボーンは、テナーバストロンボーンより太管であり、より低音を出すことが可能です。管の太さ以外は、テナーバストロンボーンと同じ構造をしています。トロンボーンの中では最も低い音域を担当し、オーケストラやビッグバンドで全体を支えるパートに向いた楽器です。
トロンボーンの演奏は片手で楽器を支えながら、もう片方の手でスライド操作を行います。バストロンボーンはトロンボーンの中でも特に重量があるため、重さに耐えられるか購入前に確認しましょう。
トロンボーンの主要メーカーのラインナップ
トロンボーンは国内と海外のメーカーがあり、それぞれ特徴が異なります。
トロンボーン初心者の方は、多くの初心向けのモデルを取り揃えているYAMAHA(ヤマハ)を調べるのがおすすめです。トロンボーンらしい豊かな音を演奏したいという方は、Bach(バック)もよいでしょう。
ここでは、トロンボーンの主要メーカーを4つ紹介します。
Bach(バック)
Back(バック)は、トランペット奏者であるヴィンセン・バック氏が創設したアメリカのメーカーです。マウスピースの製造も手がけており、細部にわたって強いこだわりのある楽器を作り続けています。力強い音色と強弱のコントロールのしやすさが多くのファンに愛されています。
- ・42B:Backの大定番モデルであり、1枚取りベルでダイナミックな音が出る
- ・42BO:F管の曲がりを極力減らし、バルブ使用時の息が抜けやすい
YAMAHA(ヤマハ)
YAMAHA(ヤマハ)は、日本の有名な楽器メーカーです。テナートロンボーンやテナーバストロンボーンはもちろん、アルトトロンボーンまで幅広く販売しています。
トロンボーンのモデルも、初心者からプロが使うものまで豊富に取り揃えています。初心者向けのモデルであれば、10万円台と比較的低価格なので、予算を抑えたい方にもおすすめです。
- ・YSL‐820GII:操作性に優れており、繊細さと重厚感を自由に操れる
- ・YSL‐882:よりトロンボーンの音色を追及しており、多彩な表現ができる
Courtois(クルトワ)
Courtois(クルトワ)は、200年にわたり金管楽器を製造するフランスのメーカーです。吹奏感のある音色がより遠くまで届くように設計されているほか、変わったデザインの楽器も取り揃えています。
素材として銀が用いられており、音を出すのにコツが必要です。他には出せない独特の音色が多くのプロを魅了しています。
- ・AC440BR:コントロールがしやすく、明るさと上品さを兼ね備えた音が出る
- ・AC422MBOST‐1:フランスを代表するトロンボーン奏者ミシェル・ベッケ氏が開発に協力しており、エレガントな響きを演出す
KING(キング)
KING(キング)は、ジャズ界をメインにプロ向けのトロンボーンを製造しているメーカーです。ジャズ演奏者から圧倒的なシェアを誇り、ジャズの定番とも言われています。
KING(キング)のトロンボーンはシンプルな作りでありながら伸びがあり、心地よく耳に響き渡る洗練された音色です。
- ・2B:息の入りがスムーズで、高音域の伸びがよい
- ・2BL:甘い音色が美しく、高い表現力が実現できる
まとめ
トロンボーンとは、音楽の多くのジャンルで活躍する金管楽器の1つです。演奏する際は、スライド管を伸び縮みさせる方法で音程を変えます。スライド部には印が付いていないため、音程のポジションを体感で覚える必要があります。
トロンボーンには、テナートロンボーンやテナーバストロンボーンなど種類が複数あり、それぞれ大きさや音階が異なります。トロンボーンを選ぶときは、自分の演奏したいジャンルや、吹き心地、重さなどに注目して選びましょう。