クラリネットの種類|選び方・主要メーカーも紹介!
クラリネットは18世紀頃に登場した木管楽器です。木管楽器ならではの、温かみのある深い音は吹奏楽やオーケストラ、ジャスなど幅広いシーンで活躍します。吹奏楽で使用されるクラリネットは「B♭クラリネット」といい、管楽器の中では一番音域が広い楽器です。他にもクラリネットにはいくつかの種類が存在します。
当記事では、クラリネットの種類や選び方、主要メーカーについて解説します。クラリネットの購入にぜひお役立てください。
目次
クラリネットとは?
クラリネットとは、「グラナディラ」という木で作られた木管楽器です。主にオーケストラや室内楽、吹奏楽などのシーンで用いられています。木製以外にABS樹脂製のものもあり、ABS樹脂製のクラリネットは屋外での演奏に多く使用されます。
クラリネットは、マウスピースにリードを取り付け、リガチャーという器具で固定します。マウスピースとリードの隙間に息を吹き込み、圧力でリードが振動して音を発する仕組みです。
音色は、音域が広く、素朴で柔らかく温かみがあるのが特徴です。オーケストラでは主旋律を演奏したり伴奏を担ったりと、さまざまな役割をこなせます。
クラリネットの歴史
クラリネットの誕生は18世紀初頭であり、歴史は木管楽器の中では新しい部類に入ります。「Clarino(クラリーノ)」と呼ばれる楽器と音が似ていることから、クラリネットと名付けられました。
クラリネットは誕生当時、キィが2つしかなく音域が限られていました。改良の結果、クラシックや吹奏楽など幅広い音域の演奏に使われるようになります。
20世紀に入ると、ジャズを中心にポピュラー音楽にも利用され、ディキシーランドジャズやスィングジャズといった音楽では不可欠な存在となりました。
クラリネットの種類・選び方
クラリネットには複数の種類があり、それぞれ音域や利用シーンが異なります。クラリネットを選ぶ際は、演奏したい曲や予算に合わせてクラリネットの種類と材質を選びましょう。
クラリネットの材質には、グラナディラとABS樹脂(プラスチック)があります。グラナディラで作られたクラリネットは、木の使用部分や保管時期、保管方法、メーカー独自の音響選別によって音が異なります。一方で、ABS樹脂のクラリネットは温度や湿度の変化に強く、環境の変化で音があまり変化しません。
ここでは、主なクラリネットを種類別に紹介します。
E♭クラリネット・E♭アルトクラリネット
E♭クラリネット(エスクラリネット)は、通称「エスクラ」と呼ばれ、オーケストラや吹奏楽で使用されるクラリネットです。コンパクトなサイズで高音が出ます。
E♭アルトクラリネットは、大編成の吹奏楽や室内楽でよく用いられます。E♭クラリネットよりも1オクターブ低い音域を出し、中低音域を担当する楽器です。ベルリオーズ「幻想交響曲」のソロで使われていることでも有名です。
B♭クラリネット・B♭バスクラリネット
B♭クラリネットはベークラとも呼ばれ、初心者用にもおすすめの標準的なクラリネットです。オーケストラや吹奏楽、ジャズやポップスなど多彩なジャンルで使用されます。
B♭バスクラリネットは、B♭クラリネットと比べ1オクターブ低い楽器です。強力で重厚な低音域の音色を持ち、強弱が自由に付けられるため、大編成の吹奏楽では低音で全体を支える役割を果たします。
Aクラリネット
Aクラリネット(A管クラリネット)は、B♭クラリネットよりも2度低い音域で、柔らかく深みのある音色が特徴の楽器です。
モーツァルトやブラームスに愛され、協奏曲などで用いられています。またAクラリネットを指定して書かれた楽曲が多数あります。オーケストラでは必須とも言える存在ですが、吹奏楽で用いられることはほとんどありません。
Fバセットホルン
ホルンという名前が付いているものの、クラリネットの仲間に入る楽器です。ソプラノクラリネット(B♭クラリネットやAクラリネット)とバスクラリネットの中間の音域を出します。
Fバセットホルンは現在、アルト・クラリネットで代用されることが多く、あまり使用されていません。音量はアルトクラリネットが勝りますが、Fバセットホルンはアルトクラリネットよりもキーが多く、半音低い音が出る点が異なります。また、クラリネットと比べ、クリアで暗めの音域が出ることも特徴です。
クラリネットの主要メーカーと機種ラインナップ
- ・YAMAHA(ヤマハ)
- ・Buffet Crampon(ビュッフェ・クランボン)
- ・Patricola(パトリコラ)
- ・SELMER(セルマー)
クラリネットは多くのメーカーが製造しており、さまざまなブランドや製品があります。
たとえば、1986年の創業から現在も世界各国で評価を受ける「JOSEF」、北米で高評価を受けるフランスの楽器メーカー「ルブラン」などです。クラリネットメーカーとして、人気が高いのは上記4つのブランドです。
YAMAHA(ヤマハ)
YAMAHA(ヤマハ)は、クラリネット以外の楽器でも知名度の高い、国内の楽器メーカーです。
YAMAHAブランドのクラリネットは、1967年に誕生しました。基礎研究に力を入れ、職人の技術と演奏家たちの試奏から進化を重ねてきたブランドです。操作性と音程のよさに定評があります。スチューデントモデルも高評価を受けており、学校の備品でも使用されています。
人気のモデルには、マウスピースやリードを含めてセットになっている「YCL-450」などがあり、初めて楽器を持つクラリネット初心者におすすめです。
- ・YCL-CSGIII
- ・YCL-CSGIIIA
- ・YCL-450
- ・YCL-255
Buffet Crampon(ビュッフェ・クランボン)
1825年に創業された、世界中のプロ奏者が愛用するフランスの楽器メーカーです。ジャンルを問わず広く愛用され、ほぼ業界標準とされているほどのブランドです。Buffet Cramponのクラリネット特有の、多彩な表現力や豊かな響きが、世界中で支持を集めています。
人気機種には、世界中の奏者から定番として知られる「R13」のほか、初心者でも吹きやすくきれいな音が出せる「E11」など、数多くのバリエーションがあります。
- ・R13
- ・E11
- ・E12F
- ・C13
Patricola(パトリコラ)
イタリアの管楽器メーカーで、家族経営を中心とした小規模の工房ながら、厳選した素材と最高の職人技で世界中に名を馳せるブランドです。
木材にはグラナディラとローズウッドを使用し、全工程を自社の手作業で行うことで、高品質を維持しています。丁寧なハンドメイドのクラリネットは、艶やかな美しさを放つ見た目と、独特の明るい響きを備えた魅力ある仕上がりです。
- ・CL.1S
- ・CL.1S Artista
- ・CL.2 Artista
- ・CL.1(B♭) Virtuoso
SELMER(セルマー)
1885年にクラリネット奏者だったヘンリー・セルマーによって設立された、フランスの管楽器メーカーです。
モデルごとに異なる音色を持つ、個性の豊かなラインナップが揃っています。オーケストラや吹奏楽などの広いジャンルで、音域を問わず広いシーンで活躍できるモデルが充実しています。
- ・Privilege B♭
- ・Signature B♭
- ・Presence B♭
- ・Prologue
まとめ
クラリネットとは、木でできた木管楽器です。木管楽器の中では歴史が新しく、18世紀初頭に誕生しました。マウスピースとリードの隙間に息を吹き込み、圧力によってリードが振動することで音が鳴ります。
クラリネットにはいくつか種類があり、それぞれ音域や大きさ、使用されるシーンが異なります。クラリネットを選ぶときは、演奏したい曲や予算に合わせて種類・材質を決めましょう。
主要なメーカーには、YAMAHA(ヤマハ)やBuffet Crampon(ビュッフェ・クランボン)、Patricola(パトリコラ)などがあります。木製のクランネットを選ぶ場合、メーカー独自の音響選別により音が異なるため、事前に楽器の音を確認するとよいでしょう。