エレキベースの種類|選び方・主要メーカーも紹介!

エレキベースにはさまざまな種類と形が存在し、メーカーによっても作っているエレキベースが異なります。そのため、エレキベースを始めるときは、自分がどのような音楽をしたいか、どのようなエレキベースの音が好きかなどを知ることが重要です。購入を検討するときは実際に持ってみて、弾きやすそうかどうかも確認しましょう。

当記事では、エレキベースとはどういった楽器か、種類や主要メーカーを解説します。エレキベースに興味がある方や、エレキベースを始めたい方は、ぜひご一読ください。

エレキベースとは?

エレキベースとは?

エレキベースとは、演奏者が鳴らした弦の音を電子信号に変換し、「ベースアンプ」と呼ばれるスピーカーから音を出して演奏する楽器です。エレキベースの弦の本数は4本あり、ギターで使用する弦よりも太く、値段が高いのが特徴的です。

音楽は、複数の音が同時になる「和音(コード)」によって楽曲となります。ピアノやギターは、2つ以上の音を同時に鳴らす和音で、ベースは和音の中でも一番低い音を鳴らします。和音の中で一番低い音を鳴らし、和音を補強し、楽曲を支えることがベースの役割です。また楽曲のリズムを支えるという役割も持っています。

エレキベースは、先端からネック、指板、ボディ、ピックアップ、ブリッジという4つの構造からできています。指板で弦を押さえて音程をとり、ピックアップ付近の弦を指またはピックで弾き、音を出すという仕組みです。

ベースの種類

ベースには、エレキベース以外にもいくつか種類があります。ここでは、エレキベース以外の3種類のベースを紹介します。

アコースティックベース
アコースティックベースとは、アコースティックギターと同じような形状をしているベースです。
ボディに空洞があり、エレキベースよりも大きさや厚みがあります。
生音での演奏もできますが、バンドで演奏するには音量が足りないため、「ピエゾピックアップ」というピックアップに、アンプを繋げて演奏するのが一般的です。

アコースティックベースの一番の魅力は音色です。
アコースティック独特の温かな音色は、ジャズの演奏やラテン系やカントリー系のバンドの編成にも向いています。

ウッドベース
ウッドベースとは、ジャズ等で使われる「コントラバス」の名称の1つです。
音楽での役割や音の並び、弦の数は、エレキベースとほぼ同じですが、楽器の見た目や大きさが違います。
ウッドベースは、エレキベースよりも大きく、バイオリンのような見た目が特徴的です。

弾き方にも違いがあります。
ウッドベースは大きいので、一度に3つの弦にしか指が届きません。
そのため、ウッドベースを弾けるようになるには、エレキベースを弾くのとは違う技術が必要です。
また、ウッドベースは、ボディの大きさ、弦の長さや太さがエレキベースとは全く異なるため、奏でる音も違います。

エレクトリック・アップライトベース
エレクトリック・アップライトベースとは、ウッドベースのボディをコンパクトにして、ピックアップなどが搭載されたベースです。
ウッドベースを使用できない場面や、家での練習用として使用されることもあります。
収納時には、パーツを分けてコンパクトにできるモデルもあり、ウッドベースよりも簡単に運搬が可能です。

生音で演奏できますが、ウッドベースよりもコンパクトな形状のため、音量や音質は劣ります。エレキベースと同じように、アンプを通して演奏する機会の多い楽器と言えるでしょう。

アクティブとパッシブの違い

エレキベースは、「アクティブベース」「パッシブベース」という2種類に分けられます。2つのベースの違いについて紹介します。

アクティブベース
アクティブベースとは、本体に「プリアンプ」と呼ばれる機械が内蔵されているベースです。
プリアンプがあるおかげで、音色を細かく調整できます。プリアンプを動かすために、電池が入っているのもパッシブとの大きな違いの1つです。

パッシブベース
パッシブベースは、弦の振動によって自家発電をするため、電池が不要なベースです。
電池を使わないため、電池切れなどのトラブルが起こりません。
ベース本来の音を奏でられるため、演奏者の癖や表現がしっかり音に現れます。

アクティブベースは、音色の調整ができるため初心者向けベースで、パッシブベースは本来のベースの音が出るため、上級者向きと言えるでしょう。

エレキベースの形の種類|基本の2種類

エレキベースの形の種類|基本の2種類

エレキベースの形にはさまざまな種類があります。

ここでは、基本の形の「ジャズベース」と「プレシジョンベース」について紹介します。

ジャズベース

ジャズベースは、1960年にプレシジョンベースの上級モデルという形で発売されました。

ジャズベースのボディは座って演奏する際に、体にフィットしやすくするために、左右非対称に設計されています。

ジャズベースには、ピックアップが2つあり、ネックに近いフロント部分と、ブリッジに近いリア部分に分けて設置されています。

ピックアップが2つあるため、音のボリュームを調整するつまみが2つと、トーンのつまみ1つが設置され、計3つのつまみで音を表現します。

どのようなジャンルの音楽にも合うため、エレキベース初心者向けのモデルと言えるでしょう。

プレシジョンベース

プレシジョンベースは、1951年に世界初のエレキベースとして生まれました。発売当初は、現在のモデルとは見た目が異なり、ボディにはアッシュ材、ネック素材としてメイプルが使用されていました。1957年に現行モデルに近いベースが生まれ、小さなモデルチェンジをしながら現在も販売されています。

ボディは、左右対称の高さにくびれがあります。ネック部分に厚みがあり、骨太なサウンドを奏でることが可能です。

プレシジョンベースは、小さめなピックアップが2つ設置されており、2つをコイルでつないで1つのピックアップとしています。ピックアップが1つとして扱われるため、音量を調整するつまみとトーンのつまみの計2つで構成されています。

音色は力強く無骨なのが特徴的です。力強い音色に惹かれて、今でも多くの人に愛されています。

エレキベースの形の種類|その他の8種類

エレキベースの形の種類|その他の8種類

エレキベースの形の種類は、ジャズベースとプレシジョンベースが基本で、他にもさまざまな形のベースが存在します。プレシジョンベースとジャズベースの特徴を生かしたベースや、指版に打ち付けられている、フレットという金属がないベースなど、多彩なベースから選ぶことが可能です。

ここでは、ジャズベースとプレシジョンベース以外の形を8種類紹介しますので、ベース選びの参考にしてください。

PJベース

PJベースとは、プレシジョンベースのピックアップの下に、ジャズベースのピックアップを1つだけ付けたベースです。ピックアップが2つ装着されているので、ピックアップが1つのプレシジョンベースよりも、音のバリエーションが増やせるというメリットがあります。

PJベースの中には種類があり、ジャズベースのボディのフロントピックアップをプレシジョンベースに交換したものもあります。前述したタイプよりも、ジャズベースと似たような音色が特徴的です。

周りと被らない音作りがしたい人や多彩な音楽ジャンルを演奏する人には向いているおすすめモデルと言えるでしょう。

フレットレスベース

エレキベースには、指板に「フレット」と呼ばれる金属パーツが打ち込まれており、弦を押し当てて音程を変化させます。フレットレスベースとは、フレットが打ち込まれていないベースです。

フレットがないため、丸く柔らかなサウンドを奏でられ、弦をスライドさせるとウッドベースのような雰囲気が出せます。また半音ごとにフレットで区切られていないため、半音以下の音程を出せるのもメリットの1つです。

フレットがないことによって音程を取りづらいため、正しい音程で演奏するには、相当な練習が必要になります。

ミュージックマン・スティングレイベース

​ミュージックマン・スティングレイベースとは、「アクティブサーキット」と呼ばれる回路が搭載されているベースです。イコライザーを内蔵しているため、演奏中に手元でサウンドを変化させられるのが大きな特徴です。

見た目はプレシジョンベースを参考にしているため、ボディが左右対称でくびれがあり、ネックに厚みがあります。ピックアップはブリッジ寄りに1つだけ付けられており、特徴的な大きめなピックアップは「ミュージックマンタイプ」とも呼ばれます。

個性の強いベースなので、音の変化を楽しみたいという人にはおすすめのベースです。

リッケンバッカー

リッケンバッカーのベースは、ビートルズのメンバーが愛用していたことで世界的に有名になりました。最も有名な人気モデルである「4001」をはじめ、「4002」「4003」など多彩な種類があります。

リッケンバッカーのベースの大きな特徴は、ボディの終わりまでネックが貫いている「スルーネック構造」です。部品の数が少ないため、ハイポジションでの演奏がしやすくなり、音の鳴りがよくなるというメリットがあります。

リッケンバッカーのベースは、高音から低音まで幅広いサウンドを表現できます。「個性派ベース」と呼ばれるリッケンバッカーの音色を楽しんでみてはいかがでしょうか。

多弦ベース

ベースの弦の本数は4本が基本ですが、5弦や6弦など4本以上の弦があるベースを「多弦ベース」と呼びます。多弦ベースは、弦の数が増えるため、演奏できる音域が広がります。5弦ベースの場合は、低音側に弦が追加されるため、より低くヘビーな音を出すことが可能です。

弦を通常より多く張る必要があるため、ネックが太く、ボディもやや大きくなります。また、弦と弦の間が狭いので、高い技術やテクニックが必要です。

​バイオリンベース

バイオリンベースとは、バイオリンに似ているベースのことです。1950年代に誕生して以来、広い世代に人気があります。

バイオリンベースの大きな特徴は、「ホロウボディ」である点です。ホロウボディとは、ベースのボディの中が空洞になっている構造を指します。ホロウボディであることで、アコースティックで温かみのある音が奏でられます。

ベース本体のボディが非常に軽く、女性でも扱いやすいというのがメリットです。ボディが軽くてヘッドが落ちやすいため、取り扱いに注意しましょう。

SGベース

SGベースとは、1961年にギブソン社から発売されたベースです。SGベースの最大の特徴は、ベース弦の長さが30.5インチという「ショート・スケール構造」である点です。弦の張力が弱くなるため、余韻の長い温かみのある音色を奏でられます。

また、コンパクトで軽量なボディも特徴的で、見た目に反して重低音を出せるピックアップも、SGベースの魅力の1つです。

ショート・スケールにしか出せない独特の音が好きな人には、おすすめできるベースです。

サンダーバード

サンダーバードは、ギブソン社を代表するベースで、ロックといえばサンダーバードと言われるほど人気の高いシリーズです。

ボディの形がとても特徴的で、ボディの形状を上下反転させたような見た目の「リバースシェイプ」が採用されています。リバースシェイプはロッカーに高い人気があり、現在も同じデザインのベースが販売されています。

2つのピックアップが付いているため、ある程度自分でサウンドを作ることが可能です。太く重いサウンドを奏でられるため、ロックを演奏する人にはぴったりなベースと言えるでしょう。

エレキベースのスケールの種類

エレキベースのスケールの種類

ベース弦の長さは、「スケール」と呼びます。エレキベースの種類によってスケールが異なるため、自分のベースのスケールを把握していないと、購入した弦が違って弦の張替えができないということもあります。

ここでは、スケールの種類を4つ紹介しますので、ぜひ弦を購入する際の参考にしてください。

ショートスケール

エレキベースの中で一番短いショートスケールは、30インチ(762mm)です。

ショートスケール独特の弾き心地とサウンドに魅力を感じているベーシストも多く存在します。

比較的安価で購入できるのも特徴の1つです。スピーカー内蔵のミニベースや、ムスタングベースによく使用されます。

ミディアムスケール

少し短めの32インチ(812mm)を採用しているのが、ミディアムスケールです。

全体的に弦のサイズが小さいため、女性でも演奏しやすいのが魅力です。

ミディアムスケールを採用している代表的なモデルはなく、各メーカーが既存のモデルをダウンサイズして販売しています。

ロングスケール

ロングスケールの弦長は34インチ(864mm)で、エレキベースのスケールで基準となります。

テンションもしっかりあり、音もはっきりしているため、ベース初心者にはロングスケールを選ぶのがおすすめです。

Fender(フェンダー)のジャズベースやGibson(ギブソン)のサンダーバード、初心者用ベースなど、多くのベースに使用されます。

スーパーロングスケール

35インチ(889mm)以上のスケールをスーパーロングスケールと呼びます。

より強いテンションを感じられ、ハードロックを演奏する場合や、多弦ベースを使用する人におすすめです。

一般的なベースと比べると、演奏方法や、チューニングの管理などが難しいため、初心者には不向きでしょう。

エレキベースの主要メーカーとラインナップ

エレキベースの主要メーカーとラインナップ

エレキベースには、数多くのメーカーが存在し、購入時にどのメーカーにするか迷ってしまう人は多いのではないでしょうか。

エレキベースのメーカーには、1880年に創業した老舗楽器メーカーのHofner(ヘフナー)や、初心者から上級者向けまで幅広い楽器を取り扱っている国産メーカーのBacchus(バッカス)など、多種多様なメーカーがあります。

ここでは、エレキベースの主要メーカーを4つ紹介します。

Fender(フェンダー)

Fender(フェンダー)は、1939年にK&F社として誕生しました。1951年にプレシジョンベース、1960年ジャズベースが発売され、どのような演奏にも対応できるジャズベースの誕生は、音楽界に革命を起こしました。

「ジャズベース」と正式に名乗れるのは、Fenderのモデルのみです。

ジャズベースはFenderの中でもいくつかラインナップが存在します。ジャズベースの最高峰と呼ばれるフェンダーカスタムショップのジャズベースや、本場のアメリカやメキシコで生産されるフェンダーUSAジャズベースなどがあります。

Gibson(ギブソン)

Gibson(ギブソン)は、1902年にギブソン・マンドリン・ギター製造会社としてスタートしました。エレキギターのイメージが強いGibsonですが、エレキベースメーカーとしても非常に有名です。

1962年に発売されたサンダーバードは、豊かな低音と、個性的なルックスから多くの人に支持されています。サンダーバード・スタジオやサンダーバード・ノンリバースシェイプなど、価格の異なるさまざまなラインナップで販売されています。

Rickenbacker(リッケンバッカー)

Rickenbacker(リッケンバッカー)は、1925年にロサンゼルスに金属パーツの製造会社を創設したのが始まりです。何度か社名を変えながら、1931年から現在のRickenbackerのブランド名を使用しています。

ギターやベースをビートルズのメンバーが使用したことで、Rickenbackerの名は世界中に知られるようになりました。ベーシストであるポール・マッカートニーは、「4001」というモデルを使用しており、もっともスタンダードなベースとされています。

MUSIC MAN(ミュージックマン)

Fender(フェンダー)の創始者であるレオ・フェンダーが、1972年にアメリカで立ち上げたのがMUSIC MAN(ミュージックマン)です。プレシジョンベース、ジャズベースと並んでスタンダードなベースと言われているスティングレイが同社から誕生しました。

スティングレイには、クラシックスティングレイやスティングレイ5などさまざまなラインナップが揃っています。

まとめ

エレキベースとは、鳴らした音をベースアンプで増幅させて演奏する楽器です。バンドでは低音を鳴らして、楽曲のリズムを支えます。

エレキベースは主に、プリアンプと呼ばれる機械が内蔵された「アクティブベース」と、内臓されていない「パッシブベース」に分かれます。また形状によって細かく分かれ、基本はジャズベースとプレシジョンベースの2種類です。しかし、基本以外にフレットレスベースや多弦ベース、バイオリンベースとさまざまな種類があります。

FenderやGibson、Rickenbackerなどの主要メーカーが、それぞれ多種多様なエレキベースを販売しています。エレキベースとメーカーの特徴を知り、お気に入りのエレキベースを手に入れましょう。

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