着物作家・小宮康助とは?買取相場はどのくらい?
今回は、「江戸小紋」で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されている着物作家・小宮康助(こみやこうすけ)についてまとめてみました。小宮康助は伝統的な江戸小紋の技術を受け継ぎ、さらに「しごき染め」のような洗練させた功績を持っています。超絶技巧的な繊細な技術により、細密な模様が特徴的な江戸小紋の名作を数多く世に送り出しており、作品の中には名だたる美術館に所蔵されているものも少なくありません。
着物買取の世界でも高く評価されており、特に状態が良いものであれば高価買取が期待できます。ここでは、そんな小宮康助のプロフィールや主な作品、また実際の買取相場などについてまとめています。
目次
小宮康助とはどんな作家?
1882年、小宮康助は現在の東京都墨田区で生まれました。
1894年、12歳のときに早くも江戸小紋の職人のもとに弟子入りし、将来への道を歩み始めます。
師のもとで研鑽を積むこと13年。1907年に独立を果たし、以後は天才的な手腕を誇る江戸小紋の職人として活躍することになります。
ちなみにこの頃、まだ「江戸小紋」という名称は使われていませんでした。
小宮康助の功績は多々ありますが、伝統を重んじ、従来の考え方を尊重しつつも合理的な至高のもとで現代的な技術を持ち込んだこともそのひとつです。たとえば、色があせにくい化学染料を導入して染める技法を積極的に活用し、江戸小紋の技術改良に寄与しました。
こうして、業界で注目される職人として活躍していた小宮康助ですが、災難に見舞われたこともあります。
戦前には関東大震災による被害を受け、さらに戦時中には激しい空襲にさらされて工場が焼けるという悲劇に襲われました。
しかし、転んでもタダでは起きないのが小宮康助の人生。関東大震災で焼け出されたときは、より着物づくりに適した水質の中川河畔で仕事を再開します。
また、戦時中の空襲では家屋や工場は灰燼に帰してしまったものの、江戸小紋の着物を作るために欠かせない型紙だけはかろうじて持ち出しており、それだけは守り抜いたという逸話が残されています。
その後は、「しごき染め」などの技法も駆使した江戸小紋の着物を数多く手がけ、日本を代表する着物作家としての地位を築きます。
1952年には、文化財保護委員会(現在の文化庁)によって無形文化財に認定されます。また、その3年後には文化財保護法が改正されたことを受けて、あらためて人間国宝に認定されました。
ちなみに、小宮康助は史上初の「江戸小紋」の人間国宝でしたが、この「江戸小紋」という名称は、文化財保護委員会が康助を無形文化財に指定するにあたって考案したものといわれています。
ある意味では、小宮康助は江戸小紋という名付のきっかけになった人物でもあるといえるでしょう。
そんな小宮康助は人間国宝に認定されてから6年後の1961年にこの世を去りましたが、息子の小宮康孝、さらには孫の小宮康正もそれぞれ人間国宝に認定されており、江戸小紋の伝統は現代に受け継がれています。
地染めの技法「しごき染め」
小宮康助は、江戸小紋の世界に品質が良くて色あせがしにくい化学染料を導入するなど、伝統的な江戸小紋の世界に新風を吹き込んだ存在でしたが、彼が得意とした「しごき染め」もそのひとつといえます。
しごき染めは、江戸小紋を仕上げるために欠かせない地染めの技法であり、「しごき」という色糊を使い、生地の表と裏をまったく違う色に染めることができるというものです。
裏と表にそれぞれ色の異なる色糊を引き延ばしてヘラで色をつけるという方法で、スピーディに仕上げることができる点が革新的でした。
ちなみに、小宮康助ならではの技術としては、非常に繊細な模様付けができたということも挙げられます。
江戸小紋は、まっさらな生地に柄のカタチを彫った型紙を当てて、柄の部分に糊を塗って色がつかないようにする作業を延々と行います。型紙を少しずつずらしながら糊を塗っていくという繊細な作業が必要で、未熟な人がやれば柄は細密になりません。
しかし、康助は抜群の集中力と繊細なワザで細かい作業をこなし、繊細きわまりない江戸小紋の柄に仕上げることを得意としました。
小宮康助の作品紹介
ここでは、現存する小宮康助の作品の中でも、特に主なものを紹介したいと思います。
結城紬地江戸小紋着物「竹の節」
「竹の節」とは、文字通り竹の節を細かく並べたような模様のこと。節の部分が濃くなり、凹凸と陰影のある深みのある見た目になるのが特徴です。
小宮康助ならではの緻密な技術が活かされた作品であり、1957年に制作されました。人間国宝の認定を受けてから2年後の作品ということで、円熟味のある仕上がりになっているのもポイントといえるでしょう。
清雅地江戸小紋着物「よろけ縞」
「よろけ縞」とは、「~」のような波打った曲線を並べた独特の縞のことで、通常の縞よりも立体感があり、厚みのある高級感が感じられる仕上がりになるのが特徴です。
晩年の1958年に制作されたこちらの作品、通常の「よろけ縞」よりは穏やかな曲線ですが、「よろけ縞」ならではのオシャレでありなおかつ高級感も感じさせる雰囲気はさすがです。
清雅地江戸小紋着物「極鮫」
江戸小紋の世界では、“極”がつくのは特に緻密な技術が要求される細かい模様であることを意味します。
江戸小紋における「鮫」は、円弧が延々と並んで「遠目からはまるで鮫肌に見える」ということから名づけられた模様ですが、こちらの「極鮫」は、その名の通り通常の「鮫」よりもさらに柄が細かく仕上がっています。
小宮康助の着物買取価格はどれくらい?
伝統にとらわれすぎず、効率よく美しい着物を仕上げるためなら化学染料を使用することもいとわず、積極的に技術の向上につとめた小宮康助。江戸小紋を染める技術の高さには定評があり、じっと見つめていると引き込まれそうな繊細な模様が特徴的な着物を数多く手がけました。
康助の息子で、同じく「江戸小紋」の人間国宝に認定されている小宮康孝の着物のほうがやや価値としては高い傾向にありますが、小宮康助の着物も高い価値を持つことに変わりはありません。
2万円の値がつくこともありますが、着物の価値は常に変動しており、時期によってはそれ以上の査定額が提示されることも十分にあり得ます。
しかしながら、買取査定を依頼した業者が未熟だったり、小宮康助の着物の価値に精通していなかった場合や、そもそも高い価値がある着物についての知識がそれほどないところが多いリサイクルショップや古着店などでは、価値に見合わない安い額を提示されてしまう場合もあります。
そこで、心がけるべきことは着物の査定に精通し、多くの経験を持つ査定士が在籍する買取業者です。
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